第374話◆もったいない症候群
「ステータス・オープン」
性別:男
年齢:19
職業:勇者
Lv:108
HP:979/979
MP:16150/16150
ST:866/866
攻撃:1192
防御:868
魔力:12940
魔力抵抗:2259
機動力:656
器用さ:19280
運:224
【ギフト/スキル】
▼器用貧乏
刀剣98/槍47/鈍器32/体術69/弓57/投擲48/盾68/身体強化89/隠密49/魔術41/変装47
▼クリエイトロード
採取70/耕作45/料理72/薬調合78/鍛冶41/細工68/木工46/裁縫43/美容35/調教49
分解73/合成64/付与65/強化40/美術32/魔道具作成48/飼育41
▼エクスプローラー
検索(MAX)/解体79/探索84/察知93/鑑定39/収納96/取引41/交渉49
▼転生開花
【称号】
オールラウンダー/スライムアルケミスト/無秩序の創/
朝食後、倉庫の作業場でステータス画面を開き、一人渋い顔になる。
なんだかんだで最近いろいろな魔物と戦ったから、いろいろ上がっているのだが、俺が見たかったのは戦闘系のスキルではない。
「薬調合は七八か」
確認したかったのは調合のスキル。
薬の調合自体は非常によくやっているのだが、そのほとんどはランクの低いポーションばかりなので、ここに越してきて三しか上がっていない。
「ぐぬぬぬぬぬ……」
器用貧乏の恩恵があるのは三〇くらいまでなので、すでにスキルの高い薬調合は非常に上がりづらいのだ。
これくらいになるとハイポーションでも渋いんだよなぁ。
かと言ってエクストラポーションを作るには心許ない。
「く……食材ダンジョンは敵が強そうだし、エクストラポーションを多めに用意しておきたかったが自作は厳しいか」
収納の中に入っているドラゴンフロウの数を確認しながら悩む。
リュンヌの花もたくさん手に入ったので石化解除のポーションを作っておきたいのだが、これもエクストラポーションレベルの難度である。
そしてそのランクのポーションとなるとストックしている素材もあまり多くない。
使うとすぐなくなってしまいそう。次に入手できる機会はいつになるかわからない。
そして発動するもったいない症候群。
仕方ない、面倒くさいがハイポーションを少しずつたくさん作ってスキルが上がらないか試してみるか。
「グランー、食材のダンジョンに出発する日、次回のポーション納品日の翌日でいい? 毎週獣の日だよね。うっわ、どうしたのこの鍋とポーションの数!?」
「アベル!? え? もうそんな時間!? やば、夕食の準備とか何もしてない! 食材ダンジョンの出発日は了解!」
少量ずつ丁寧にハイポーションを作っていると、倉庫にアベルが入って来て我に返った。
やべ、もうアベルの帰って来る時間だったのか!?
ポーション作りに熱中しすぎてしまった。
纏めて作らず、少しずつ何度も同じ作業をすることによって、扱い難い素材の調合に慣れようと思い集中しすぎてすっかり時間を忘れてしまっていた。
作業机の上には、作り終えたハイポーションが入ったままの小さな鍋がいくつも並んでいる。
途中から洗うのが面倒くさくなって、収納に入っている鍋を次々と出してひたすらポーションを作っていた。
帰ってきたアベルに焦って時間を確認すると、昼時を少し過ぎたくらいだ。
あれ? 今日もいつものように王都に行っていたみたいだから、帰るのは夕方くらいだと思っていたのに。
「用事が終わったから早く帰ってきたんだ。それにしても鍋いっぱい出して何やってるの?」
「薬調合のスキル上げ。食材ダンジョンは敵が強そうだし、エクストラポーションを多めに用意しておこうと思って、その前にちょっとハイポーションで練習中」
朝食後からひたすらハイポーションを作り続けて、かなり安定して特上品質になるようになってきた。
しかし、エクストラポーションはハイポーションとは作成の難度が段違いである。失敗すれば低品質になってしまい、特上品質のハイポーション以下の効果になってしまう可能性がある。
「ルチャルトラでたくさんドラゴンフロウを採って来たのは?」
「怖くてまだ使ってない」
ドラゴンフロウを使ってハイポーション以下の効果のものができたら、もったいなくて間違いなく大後悔して夜寝られなくなりそう。
「え? ものすごくたくさん採って来たよね? 少しくらい失敗しても扱い難い素材で練習した方が上達は速くない?」
「やだ、ドラゴンフロウは高いからもったいない!!」
高品質のドラゴンフロウ一つでハイポーションの特上品質が何個買えると思っているのだ!!
「俺の転移魔法で行けるから足りなくなったらまた採りに行けばいいじゃん」
「それはそうなんだけどさ」
確かにそうなのだが、失敗せずにそのまま売った時の金額を考えるとついもにょもにょしてしまう。
今はたまたまシュペルノーヴァが活動期だから手に入りやすいだけで、本来なら手に入りづらくめちゃくちゃ高い薬草なのだ。
ぐぬぬぬぬぬ……、確かにアベルの言う通り扱い難い素材も使っているうちに慣れて技術は上がるし、慣れているものばかり弄るよりそちらの方がスキルは上がりやすい。
やっぱ、ドラゴンフロウ少しだけ弄ってみようかな?
いや、やっぱもったいないな……アッーーー!!
もにょもにょしていたら魔力操作を失敗してしまい、作っていたハイポーションの品質が下がってしまった。
魔力の乱れは心の乱れである。
「もしかしてグラン朝からずっとポーションを弄ってたの?」
「時々おやつは摘まんでたけど、朝食の後からほぼずっとだな」
しょんぼりしながら失敗したハイポーションの鍋を机の隅に置いた。
気を取り直して次……アッ! 鍋も在庫切れだ。というかもう鍋を置く場所もないから瓶に詰めて鍋を洗わないと。
失敗して品質が下がったのは普段使いにして、品質がいいのは……売りたくなってくるな……いやいや、敵が強い場所に行く時のために残しておこう。
「朝からずっと弄ってるなら集中力も切れてるんじゃない? 少し気分転換した方が失敗も減るんじゃない?」
「あーそうだなぁ」
ずっとポーションを作っていたし、さすがに集中力が切れてきたのかもしれない。
気分転換するにしてもまずはここを片付けないと。
「ねぇ、片付けを手伝うからさ、気分転換にちょっと遊びに行こうよ」
「どこに?」
「ルチャルトラ? ドラゴンフロウを採りにいこうよ」
いきなりだな、おい!? これだから転移魔法持ちはっ!!
「ほら、早くポーションを瓶に詰めて。そしたら鍋は俺が魔法できれいにしてあげるから」
くっそ、浄化魔法も便利だな!!
俺はずっと手で洗っているっていうのに!!
くっそ! 気分転換だ気分転換!! ドラゴンフロウもたくさんあれば失敗しても気にならないかもしれない!!
……いや、気になるな。
それでも、ないよりはある方がいいからな。
気分転換ついでにドラゴンフロウ集めだ。
ついでにバロンの様子も見て来るかな。
とアベルと一緒に薬草採りに向かったのだが――。
「うおおおおおおおお! へんてこりんな魔物のくせに思ったより足が速えーぞ!!! くそ! 速度バフくれ!!」
「くそ! 素速くて魔法が当たらないし、転移魔法で追いついたと思ってもすでに移動してる!! 速度バフならさっきあげたでしょ!?」
「お前らよく来た、また会えてバロン嬉しい。バロン、追っかけっこ大好き。追っかけっこ、楽しい。バロンも一緒にやる」
ルチャルトラのジャングルに転移して一時間も経たないうちに、とある魔物を追いかけてジャングルの中を走り回っていた。
何故かバロンも一緒に。
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