少年と少女と守り神様
蒼井青葉
プロローグ
今、わたしは山の頂上にある小さな神社から町の様子を眺めていた。ま、これがわたしの仕事でもあるのだけれど。
「ん、あの子だ」
山の階段を上って公園に入っていく少年の姿をわたしは捉えた。あの子のことはよく知っている。よーく、知っている。
ずっと、見てきたから。
彼にとってあの公園はとても思い入れのある場所のようだ。幼い頃は幼なじみの少女と遊んでいた。そして彼女が去ってからもひとりで景色を眺めるために訪れている。
「そろそろかな」
空を見上げると分厚い雲が一面を所狭しと覆っていた。
予知の通りならこの後あの公園にひとりの少女が訪れる。そして彼と会っていくらか言葉を交わした後、雨が降ってきて二人は公園を去っていく。
そして今日の夜、この神社に雷が落ちて祠が燃えてしまう。明日から約三週間以内に神社が再建されなければそのときは・・・・
「ごめんね」
わたしは前もって謝罪しておく。誰に、したのか。さぁ、誰でしょうね。
ここが燃えてしまうとわたしにはいろいろと不都合があり、いろいろとヤバいのだけれど、ほぼ100パーセントここに雷が落ちる。予知をはずしたことはない。
ま、あの子には悪いけどここからただ町民を見守るのもそろそろ退屈してきたから。
さて、もうしばらく彼の様子を見ていよーっと。
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