セッション1 逃げる風と留まる石 前編

もしもし


お、おー。久しぶりだね。


うん。返事くれてありがとね。


いやいや、全然。


勇利の声が聞けて良かった。


ああ、そっか。てか、俺のこと勇利って呼んでたっけ


うん。そうだったよ


そっか


懐かしいね


うん


それでね、さっそく本題というか、本当は会って話したかったんだけど


うん


まあ、なんていうか、私ね…


うん


すごく言いづらいんだけど、まあ…クラミジアと淋病持ちだったの



驚かせちゃったよね、突然。


性病ってこと?


うん、そう。残念だけど


いつから?


分からない。勇利と付き合ってた時にはもうすでに、ってこともあるかも


そっか


うん。だから電話してるの。過去の人に全員。


あっ、そうなんだ


うん




俺、多分、検査行った方がいいよな


そう。そういうのを促す電話。


だよな。


うん。




私たちさ、いろいろあったし、いまだにあなたのことあんまり許せないんだけど


ああ


このことに関しては、完璧に私が悪いし、本当にごめん。


いいよ、そんな。俺だって性病持つくらいヤリまくってたし、昔は。こういうことも、仕方ないよ




じゃあ、ありがとう、菜月。


いや、待って。


え?




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