第13話 新たな仲間の予感
「でも条件がある。お前と2人暮らしは嫌だ。だから、パーティが4人揃うまで、この話は無しな。」
「何でよ!」
「常識人が欲しい。」
「私だって知識も教養も兼ね備えたスーパーウーマンなんですけど!」
「ハハッ。」やべ、渇いた笑い声が出てしまった。
「何笑っているのよ。」
「知識も教養も常識が伴わないと意味無いじゃん。知識10あっても、それに0掛けたら0だから。」
「そんなに言う?」
「言うって。だってヤバいもんお前。」
「あー・・・なんかシンプルにそう言われると傷つくわね。意外と。」
「だから、ちょっと真面目にパーティ募集しないとなぁ。俺達のパーティ、今何が弱点なんだろうか・・・。」
一旦冷静になって考えてみた。
俺は役割として、どんな硬い相手でもダメージを与えられるという特徴がある。攻撃手段は主に砂利等の投合だが、今発注している装備さえ出来れば近接も申し分ない性能になるのではないかと思う。どんなモノでも武器に出来て、一定数のダメージを与えられるのだから、1on1の戦いならば、結構いい線行くのでは?という自信もある。まだ使用していないスキルも解禁すれば、格上殺しも可能かもしれない。それに、俺は状態異常が効かないので、絡め手で封殺してくる相手には滅法強くなれると思われる。
出来ない事は、主に他者へのサポートだ。
俺はそういったスキルを未だ獲得していない。クラスも、アスタリスク表示になっており、何故かクラス変更も出来ない状態になっている。なので、これから俺が新しく覚えられるスキルは未知数で、恐らくだがサポートや治癒といったスキルは獲得しないと思われる。
一方、ルヴィはステータスカードを見せてくれなかったので分からないが、多分こいつは何でも出来る。そうじゃないとSSランクに単身の業績で駆け上がるのは不可能に近い。
正直、何が出来るかは全く分からないが、噂によるとえげつないスキルを持っているらしく、それがどういう意味なのかも分からない。魔剣も持っているし、欠点らしい欠点が無い。
ただ、欠点を上げるとするなら、俺みたいな奴に負けたという点だ。
なんかよく分からないけど、変な技使って、常識外れでトリッキーな戦い方をしてくる相手には弱いかもしれない。正攻法じゃない責められ方をすると、何が起きているか分からずに負けてしまう恐れもある。・・・まぁ、これは誰にでも当てはまる事だと思うけど。
・・・そう考えた結果、補助要員が足りないという結論になった。
「あとは陽動したり攪乱したり、相手の技を使わせない器用な人材が欲しいわね。」
「・・・となると、シーフとか?」
「パーティの中に泥棒がいるのは、ちょっと」
「いや泥棒って言い方よ。相手の武器を奪ったり、罠に掛けたりするなら、シーフが適任じゃないか?連携も組みやすそうだ。」
「・・・・・・シーフか・・・。」
ルヴィが、少し嫌そうな顔をする。
「何だよ?嫌なのか?」
「・・・嫌って訳じゃないけど、シーフってほら、変な子多いじゃない。」
「お前よりは変じゃないと思う。」
「はいはい私は変ですよ。でもね、職業選択する時、わざわざシーフ選ぶ?って話なのよ。普通剣士とか魔法使いとかじゃない。あえてそこ狙うって、なんか怖くない?しかもシーフだけカタカナなのよ。盗賊ってのが言葉的によくないから、わざわざこういう措置にしているらしいわ。」
「偏見だろ。そういうお前のクラスは何なんだ。教えてくれよ。」
「貴方と同じアスタリスク、不明よ。」
そうなんかい。
通りで、ステータスカード見せた時、反応薄いと思ったわ。
「・・・じゃあ、俺達2人が例外過ぎて、えり好みしている場合じゃないと思うんだが。」
「・・・それもそうね。じゃあ、シーフを募集しておきましょう。アンヴィルを通して掲示板に張ってもらいましょう。」
―――――そうして、一週間が経過した。
「・・・来ないじゃない。」ルヴィは怒り心頭だった。
「まぁそうなると思ったわ。」
俺達2人の噂は、冒険者の街ピレスで話題になっていた。ネインが色んな人に広めたらしい。勇者パーティから追放された俺と、SSランクの問題児ルヴィが決闘の末に手を組んだ、と。
そんな2人が、人員を募集しているのだ。まー、来ない。
が、街を歩いているだけで、チラチラ見られるようになった。皆、何か言いたげだが言えないような感じで、俺の事を何だか腫物に触るみたいに扱った。
そんなにルヴィって人望無いのか、と思ったものだ。
「こっちからスカウトするしかないかも。」ルヴィがだらしなく頬杖をしながら言う。
「それ名案だけど、どうやってすんの?スカウトって。」
「連れて帰るのよ。」
「拉致じゃん。」
「もうそれ以外方法あるの?」
「お前知識教養の前に倫理観0じゃん。」
――――――その時、ギルド内の扉が勢いよく、バン!と開いた。
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