第7話 これからの話
―――取り敢えずクエストの話は後にして、まずは正式に仲間になったので、ルヴィに自分の能力、そしてステータスカードを晒した。
それを聞いて、ルヴィは驚いていた。
「レベルの数値分のダメージしか与えられないの?!」
「そう。でも通常なら0としてカウントされる攻撃も、その分の数値としてダメージが与えられ る。でも威力があるって訳でも無くて、その場合傷として残らない。どっちかと言うと、触れたら痛い呪いみたいなモノかもしれない。」
「・・・だから怪我が無かったのね・・・。」
「そういう事。《リミオン》はHPの数値が低かったから、レベル3の俺でも倒せたって訳。な?話を聞くと、そんなに強いスキルでも無いだろ?」
「・・・確かに・・・。」
納得しちゃったよ。いや本当に、そんなに強くないんだよ、俺のスキル。
むしろこれのせいで、散々勇者パーティにいた時は苦労したんだし。どんな凄い武器を装備しても、3ダメージしか与えられなかったとなると、そりゃ勇者も無能扱いしてくるのは当然だ。
「だから、昨日砂利を投げたのは結構、合理的な攻撃なんだよ。」
「・・・防御力は無視するのね?」
「ああ。固定ダメージを直接与える。」
「・・・なんか、人間が使うようなスキルに思えないわね・・・。」
「そりゃそうだ。俺は悪魔に助けられたんだ。」
「・・・え?」
「・・・・あ、いや、何でもない、忘れてくれ。」
ついうっかり、口を滑らしてしまった。
奴隷だった過去は、何としてでも隠さなければいけない。
ようやくSランクに上がったというのに、そいつが元奴隷だった知られたら、どうなるか分かったもんじゃない。煩わしい事になる前に、秘密を隠しておく必要がある。
「ま、そういう訳。で、ルヴィ。お前のステータスカードも見せてくれ。」
「それはごめんなさい。見せられない事情があるの。」
「おいおいおい!俺、見せ損じゃん!」
「来るべき時が来たら見せてあげる。」
「もったいぶって。そんなにいい女なのかお前は。」
「うるさいわね。ていうか、これからどうするの?」
「取り敢えず、
「呑気な事抜かしてんじゃないわよ。クエスト受けるわよ。」
「まぁ待ってくれ。今、《リミオン》の装備を作っている途中なんだよ。」
「関係無いわ。クエスト受けるわよ、時間がもったいない。」
「・・・だから」
「こうしている間にも、魔王軍幹部と戦っている冒険者はいるのよ。英雄にならずして何が冒険者よ。」
「人の話聞けよ馬鹿。」
「馬鹿とは何よ。」
「お前の事だよ‼冷静になって考えてもみろ、俺とお前、2倍のレベル差があるんだぞ‼お前が受けようとしているクエストにほいほい俺がついていったら無駄死にするだけじゃねーか‼」
「うっさいわね‼あんたは遠くから石投げてれば済む話でしょ!」
「俺原始時代の猿じゃねーんだからもうちょいまともなアイデアをくれよ。」
「いや結構役に立つと思うわよ。それだけでも。」
「お前昨日負けたくせに何上から来てんだよ。くれぐれも、背中には気をつけろよ。」
「何私を背後から暗殺しようとしてんの。もういいから、クエスト行くわよ。」
もう少しでキスするんじゃねぇか、ってくらいにまで顔を近づけてしまっていた。あわてて顔を離す。今度口論になったらマジでキスしてやろう、マジでムカつくわ。
・・・まーでも、こんな強い奴が仲間にいるんなら、そうそう負けないだろう。
どんな難しいクエストを受けても。
何て言ったって、SSランクだぞ。
「―――で、お二方に受けてもらいたいクエストというのが、こちらでして・・・。」
受付嬢のリラが持ってきたクエスト内容を見て、絶句した。
~ワイバーン討伐、お願いします!~
最近、ワイバーンが大量発生していて困っています。
100体以上いますのでどうか、冒険者の方宜しくお願いします!
場所はセノカ村~ルールー村の道中です!ワイバーンの素材は自由に使ってくれて構わないそうなので、一獲千金を狙う方待ってまーす!
――――いや、無理だって。
ワイバーンって、あれでしょ?飛竜でありながら火を吹いてくるめっちゃ強い奴じゃん。
しかもなんか、口調が軽くない?このクエスト依頼。
「――よし、これにしましょ。」
「帰ろう。」
「大丈夫だって!私一人で何とかするから‼」
「なるわけねーだろ。」
―――少し、前の事を思い出した。
勇者パーティに居た頃だ。
あの時、遭遇した1体のワイバーンにより、勇者一行は全滅し掛けた事があった。
何とかギリギリ勝利したものの、全員が傷だらけになった思い出がある。
そんな奴らが、100体もいるなんて。
「受けるにしても、俺はとにかく逃げ回るからな!期待すんなよ‼」
「分かってるわよ。私一人で何とかしてみせるわ。それに、いいモノが見れるかもしれないわよ。」
・・・もういいや、こいつにぜーんぶまーかせよ。しーらね。
――――今頃、勇者一行は何しているんだろうか。
また何処かのダンジョンに潜って、名声を得る為に頑張っているんだろうか。
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