第5話 女騎士の尊厳破壊
場外が凄く盛り上がっていた。何せ、幻獣種を倒した俺と、SSランクのルヴィが戦うのだ。どっちが勝つかで賭け事する奴まで出て来たのだ。これはもはや、コロシアムと何も変わらなかった。
「・・・えっ、本当に戦うのですかルヴィ様・・・?」
「急に敬語・・・それ気持ち悪いからやめて。」
ギルドの外に俺は引っ張られながら連れ出され、なくなく乱闘用スペースに放り込まれた。
ピレスは冒険者の街で、決闘に関する法律が無い。筋を通すなら冒険者として筋を通せの精神で、ギルドの外を出てすぐに乱闘用のスペースが設けられていた。力こそが正義、それが冒険者ギルドの戒律である。
「ルヴィ様、レベルはどのくらいあるのでしょうか・・・?」
「レベルは、67よ。」
「・・・雑魚狩り、楽しいですか?」
「いや、雑魚に幻獣種は狩れないだろう。」
「ちなみに、俺はレベル34です。2倍の差があるんですけど・・・。」
「問題無いわ。全力で行く。」
「ひぃぃぃぃぃっ、鬼!悪魔!魔王!!」―――情けない声を出してしまった。
「鬼でも悪魔でも魔王でも、無いわよッ!」
そう言って、ルヴィが剣を抜いた瞬間、物凄いスピードで斬りかかって来る。
え、何あの剣。なんか黒くてすっごい禍禍しい。あれ金髪の女性が使うタイプの剣じゃないじゃん。あれ、敵がよく使う魔剣って奴じゃん。人間が使いこなすには外見いかついって。
「―――喰らえ、必殺‼」
「―――あ――、もう!!これでも喰らえや!!」
地面の砂利を掴み、それを思いっきり、投げた。
散り散りになって飛んでいった砂利は、青銅の鎧にこつんと当たっていく。
「クッ‼目くらましかグハァァァァァァァァァッ‼」
34!34!34!34!34!34!34!34!34!34!34!34!34!34!34!
―――――え―、結論から言うと、なんか勝てました。
相手の必殺技を見れませんでした。見る前に、俺の投げた砂利が15回ヒットし、相手が一人でに倒れていきました。
・・・こんな事言っていいのか分かりませんが、えー、達成感が全くございません。
そりゃそうですよね。普通目くらましか何かだと思いますもんね。それがメイン攻撃だと思いませんよね・・・。そりゃ、顔の当たりを覆って防御しようとか思いますよね。避けるって発想、浮かばないですよね・・・。
俺達の決闘を多くのギャラリーが拝見しており、何が起こったのか理解できなかった人たちは一層、俺の事を触れてはいけないヤバい奴みたいに扱いました。一瞬でケリがついたのが悪かったみたいです。なんかズルみたいなスキルを使って圧勝したみたいな見え方してないといいけど・・・でも、きっと、見世物としても最悪だったに違いありません。場外の人間が引いていたのを、とても覚えています。
経験値は貰えませんでした。そりゃそうです、相手が死なないと獲得出来ないので。
ルヴィはすぐに医者の元へと連れて行きました。目立った外傷は無い為、取り敢えず一週間の入院だそうです。僕も、何か申し訳無くなって、《リミオン》討伐時に貰った20万Gの内、1万Gを使って色んな効能のあるお薬を、「なんで敗れたんだ、私は・・」と言いながら魘されている彼女の枕元に置いていきました。早く元気になって下さい、という置手紙を残して、もう彼女には2度と会わないのだろうなと思いながら、その日は過ぎていきました。
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