第2話 すげぇ相性良かったっぽい・・・。
――――えー、結論から言うと・・・・・・勝てました。
なんか、勝てました。勝っちゃいました。
いやぁ・・・まさか、本当に勝てるとは・・・・・・・・。
あのー、自分でも何が起こったか分からなかったので、状況を整理しようと思います。
まず俺は、《リミオン》発生地域であるオリオ砂漠に到着しました。
到着後すぐに、《リミオン》と遭いました。すっげー、でかかった。
あっ、いきなりかよ、って思いつつ、ダメ元で地面の砂を拾いあげ、思いっきり投げつけたのです。うわぁ、あっち行け!!、みたいな感じで。
くんなよっ‼とか、叫んでました。
倒す為に来たのに支離滅裂ですよね・・・。
そしたら、鈍重な《リミオン》は僕の砂投げつけ攻撃を全部喰らいました。
3!3!3!3!3!3!3!
7発の当たり判定の後、《リミオン》は、よくボスが死ぬ時に上げる咆哮みたいな感じで、
「グオオオオオオオオ‼」
と叫んだ後に、倒れました。
ピュイーン!ピュイーン!ピュイーン!ピュイーン!ピュイーン!ピュイーン!ピュイーン!ピュイーン!ピュイーン!ピュイーン!ピュイーン!ピュイーン!ピュイーン!ピュイーン!ピュイーン!ピュイーン!ピュイーン!ピュイーン!ピュイーン!ピュイーン!ピュイーン!ピュイーン!ピュイーン!ピュイーン!ピュイーン!ピュイーン!ピュイーン!ピュイーン!ピュイーン!ピュイーン!ピュイーン!
・・・拍子抜けなレベルアップ音が31回鳴り響いたと思ったら、気付けば俺は、《リミオン》を倒した経験値で、34レベルになっていました。
・・えー、後々分かった事ですが、《リミオン》は、防御力は数値上カンストしていたけど、HPはとても低かったようで、俺のスキルと物凄く相性が良かったっぽいんです。普通なら、全力の攻撃で1ダメージずつちまちま削るのが常道らしいのですが、砂投げつけという攻撃にも俺のスキルは反応するらしく、当たった箇所に全てダメージ判定があったみたいなんですね・・・。
一応、予想はしていました。俺のスキルが通用するのでは?みたいな、硬いからHP低いだろ?みたいな・・・・。
でも、いざ現実に起こると、正直引いてます。あっけな過ぎて。
…いや、何だったんだあの悩みは。
・・・え、ひょっとして強いのこのスキル?
今回はたまたま勝てたって事にして、クエストを完了したので、今こうしてギルドに帰って来たんですね。《リミオン》の死体をアイテムボックスに入れて。
受付嬢のアンヴィルさんは、この話を聞くと泡を吹きました。
そりゃそうです。《リミオン》に喰われた冒険者は今までに腐る程存在します。
実際に証拠として《リミオン》の死体を出すと、酒を飲んでその場にたむろっていた冒険者達に、なんか胴上げされていました。
僕は、ずっと思ってました。あれ、こんな筈じゃなかったのにな・・・。
なんか、策略とか練って、低レベルで工夫して、辛勝を収めるヴィジョンしか無かったのに、決め手が砂投げつけなんて誰が予想すんの?
「飲めよレント!お前は英雄だ!」
酔っ払ったフラットと名乗る冒険者が、馴れ馴れしく肩を組んで叫びました。
砂投げつけて英雄になった奴、過去の歴史見てもいないんじゃないだろうか。
・・・何だろう・・・悪い気はしないけど・・いい気もしない・・・。
一応、《リミオン》は毒を持っていて、身体の表面に触れただけでも全身に毒が回って危ないとされている敵でもありました。一応、《状態異常無効》を持っていたのでその面はクリアだな!とか、あの時は思っていたのです・・・。まさか砂利投げで終わるとは・・・。完
敵との相性が良すぎた事を鑑みても、この結末は誰が予想しただろうか・・。
ていうか、こんなんでいいのか・・・?
――――――――――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます