第10話 修学旅行
夏休みも残すところ一週間。コネクト・ミーが着信を告げた。
過去の俺:修学旅行終わった
現在の俺:人生も――
過去の俺:――終わった
未来の俺:振り返れば、いい思い出
現在の俺:まあね
過去の俺:……
現在の俺:気にしすぎるな、過去の俺
過去の俺:って言われても、あんなことになるとは……。お前も前に言ってたじゃん、苦い思い出だったって。
現在の俺:……すみません、見栄張りました。今でもときどきあのときのことを思い出して夜眠れなくなる
過去の俺:トラウマにまでなってるじゃん。未来の俺はどう?
未来の俺:……
過去の俺:おい、何か言え。ひょっとしてお前も……
未来の俺:はい、嘘つきました。今でも私の中では苦い思い出です
現在の俺:一人称が変わってる
過去の俺:そこまで動揺しなくても
未来の俺:いや、でもまさか国際通りで食べ歩きしただけで怒られるとは
現在の俺:我が家じゃ怒られないもんな、食べ歩き。普段家でのんびり好きなように過ごせるのはいいんだけど、修学旅行では裏目に出たな
過去の俺:帰りの機内で他の乗客もいる中で何故か謝罪させられるし、その後「声が聞こえなかった」って先生に言われて、もう一回空港のロビーで生徒以外も大勢見ている中で謝ることになるし……ほんとトラウマ
現在の俺:今思うとマジで先生意味わからんよな、そこまでするか普通
未来の俺:まあ、ちょいと理不尽だったかもな
現在の俺:おい、大人ぶってんじゃねえぞ
未来の俺:ごめんなさい、悪いのは全面的に先生です。俺たちは一切悪くなかった
現在の俺:その通り! まあ、過去の俺もそこまで気負うことはないよ。別にトラウマで飛行機乗れなくなったとかはないし、たまにベッドの上で思い出して眠れなくなるだけだから
過去の俺:それでも十分な後遺症だと思う
現在の俺:……うん、自分で言っていて、何だか悲しくなってきた
未来の俺:どんまい
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