第11話 文化祭

 夏休みも終わって十月になり、銀杏の葉で構内が黄色く色づき始めたころ、大学図書館で午後の空いた時間を過ごしていると、コネクト・ミーの通知がきた。

 

 過去の俺:文化祭終了!

 現在&未来の俺:おつかれー

 現在の俺:中二だよな。クラスの出し物なんだったっけ?

 過去の俺:ジェットコースター

 現在の俺:ああ! あれ中二のときか。担任が物理教師で、それでジェットコースター作れるぞって話になって、しかもジェットコースター走らせるのが教室内っていう、今思えばかなり無茶苦茶なことしてたよな。

 未来の俺:今でも覚えてる。コースターのスピード結構出てた。よく怪我人が出なかったなっていうレベルで。

 過去の俺:本当に。みんな無事でよかった。文化祭三日間もあって、耐久性の点で心配だったから。

 現在の俺:それそれ。よく持ちこたえたよな。特にカーブ部分の外壁。コースターが曲がるときにかなり負荷かかるから、壊れないかと内心冷や冷やしてた。

 未来の俺:懐かしい(しみじみ)

 現在の俺:確か、ジェットコースターを解体したときに出た木の欠片、記念にクラスメイト全員がそれぞれの家に持ち帰るってことしなかったっけ。

 過去の俺:した。まさに今、通学鞄の中に入ってる。

 現在の俺:俺、どうしたっけ、それ。実家出てくるときに持ってきた記憶がないんだけど……。置いてきちゃったかな。

 未来の俺:俺も記憶にないな。

 現在の俺:過去の俺、それ大事にしろよ――って言っても、俺である以上失くしちゃうんだろうけど

 過去の俺:そうなるだろうな(笑)

 現在の俺:いっそのこと、それ使って絵馬作れば?

 過去の俺:なんで絵馬?

 現在の俺:修学旅行での出来事を忘れられますようにって

 過去の俺:……思い出させるなよ

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