第54話

     Zany


 中二になろうとする、その春休み。こうして長い休みになると、呼ばれるのが幣原家だ。ただし、あくまで忍びこむ形であって、ふつうのお呼ばれではない。

 窓から入っていくと、すぐにオレの手をひいて部屋に招じ入れ、キスしてくるのは一つ上の真清。眼鏡をかけた真面目そうな少女に見えるのに、エッチが大好きで、オレとはセックスをするだけの関係だ。

 彼女はオレの顔をみると、それだけで濡れてくるぐらいのエッチ好き。というよりも、オレはエッチ相手であり、それ以外では会わないので、オレの顔をみると……むしろ連絡しただけで、体が反応してしまうらしい。

 お互いに服を脱ぐのももどかしく、すぐに彼女はオレをベッドに押し倒し、跨ってくる。前戯もいらない。オレの顔をつかんでキスしたり、自分で動いたり、彼女はそういうエッチが好きなのだ。オレも彼女が満足するまでは、為すがまま。あまりに慌てて始めたため、ベッドからスベリ落ちるようにして、カーペットを敷いた床の上に仰向けになって、上半身を少し起こしながら、彼女がするのを眺める。眼鏡をかけているときは、とてもまじめで優等生に見えるのに、眼鏡を外して全裸になると、とてもエッチな体だ。オレの下腹部にまたがって上下するのも、まるでゴムが撥ねるような感じである。

 教師に狙われ、それをオレに救われて以来の関係だけれど、もう五年以上もつづく。オレとのエッチは好きだけれど、頭がいい、年上がいい、といって恋人関係は否定するので、ただのセフレだ。今はまだ早い話だけれど、彼女が結婚しても、夫とのエッチが気に入らなかったらこの関係がつづきそう……、そんな予感もしていた。


「今年は受験だろ?」

 彼女が疲れて、大の字に横たわった後のピロートークで、そう尋ねてみる。

「うちは中高一貫だもの。高校受験はないの。ただし、大学はないから、みんな高三の大学を受験するときまでに、勉強をしておくのよ」

「六年越しの受験になるのか……。大変だね」

 彼女は私立の進学校に通っており、地元の中学に通うオレとはちがう。隣で寝ている彼女の胸にふれると、

「本当にアナタは、胸が好きね」

「キミの胸が魅力的だからだよ。最初はホント、小さかったのに……」

「それは小学四年生の胸と、今を比べられてもね。この前、電車で痴漢がいて、胸を揉まれたけれど、下手で……。マチバリで思い切り突き刺したら、悲鳴を上げて逃げていったわ」

「こ、怖いね……」

「痴漢でも、上手かったら少しは赦せるかもしれないけれど、そんな上手い人間が痴漢なんてするはずもない。女の子に相手にもされないぐらいの下手な奴には、触られるのも嫌!」

 彼女は嫌いな相手をばっさり切る傾向もあり、オレが気に入られていることにホッとする。


 しかし、今回の春休みは大変なことになった。野崎 奏美から「こっちに来て、女の子の相手をしてよ」という誘いがあったのだ。

 野崎も私立の一貫校の中学に通う、女の子だ。ただ、進学校というわけでもなく、どちらかといえば、その逆かもしれない。

 電車でわざわざ向かうと、今日は両親がいない、という女の子のマンションへと誘われた。そこに入ってびっくりしたのは、女の子ばかり二十名ぐらいいて、もう下着姿になっていたり、それこそTシャツにパンツといったラフな姿で、部屋中でくつろいでいるのだ。

「……え? 前回は一日つかったけど、今日は半日で、この人数?」

「今日は順番とかないから、一度に三人、四人を相手にしてくれていいわよ」と、野崎がいうが早いか。自らパッとTシャツを脱ぐ。すでにその下はパンツ一枚で、やる気十分だ。

「あぁ! カナ、ずるい!」

 すぐに続いてブラを外すのは島岡 なつみと、兵頭 小糸の二人だった。

「あれ? 小糸、前は泣いて帰ってきたじゃん?」

「今はちがうの!」

 姉が処女でなくなったと知り、体験して以来、エッチ好きになっていることを知るのは、この中ではオレぐらいだ。ただ、その三人で済むはずもない。やる気満々の女の子たちを満足させ続けないといけない。しかも、幣原のようにエッチ好きで、自分から動いてくれるのならまだしも、こちらがリードして、イカせないといけないのだから……。これは一大事……一大性事である。


 彼女たちにとっては、エッチが上手く、出さないオレが便利なのだ。出さないので、ゴムを替える必要もなく、そのままでいい……という彼女たちのリクエストもあって、一つのゴムで何人も相手をする。一々、交換する時間ももったいない、ということだ。

 前回がマラソンなら、今回は中距離走といった感じのエッチをこなし、大体一巡したのを見計らって、オレもトイレに向かう。休憩をしたかったのだ。

 ただトイレを開けると、そこに少女がすわっていた。ただ、別にお花を摘みに来たわけではなく、Tシャツに下はパンツを穿いたままですわっており、オレと同じで逃げてきた様子が伝わる。ほとんどの少女がすでに全裸になっている中、まだ服を着ている……ということで、その子がこれまでここに隠れていて、彼女とはエッチをしていないと気づく。

「あぁ、葛西……さん、だっけ?」

 中学の文化祭で、エッチをせずに帰ったのは兵頭と、もう一人がこの葛西だった。

 全裸で、まだキャップを嵌めたままのオレをみて、葛西はパッと赤くなって、顔を隠してしまう。

 あのときは処女ということもあり、カウンセリングをしたところ、やっぱりいいとなって辞退した。でも、今日もこの場にきてみたものの、ここに隠れていたように、何だか煮え切らない感じだ。

「キミは、エッチが怖いのかい?」

「こ、怖くない! 怖くないけど……」

 彼女は二度もこういう場に足をはこんでおり、興味はあるのだろう。いくら友達の誘いとはいえ、小糸がそうだったように、エッチしていない子の情報は、他の子にも筒抜けなのだから、前がムリだったのなら、何も今日だってここに来なくてよかったはずなのだ。


 こじらせ処女か……。エッチをするのが怖い一方、興味もあって、でも肝心なところで逃げてしまう。ならは打つ手はある……と、トイレにいる葛西を立ち上がらせ、その唇を強引に口でふさぐ。それと同時に、有無を言わさず下着の中に手をいれ、未開通のそこを指で開拓しはじめた。

「やめて! ダメ!」

 ふりほどこうとするも、ここでまたダメだと、本気でこじらせてしまう。まるで狭いトイレで、彼女を犯しているような感じになっているが、エッチに肯定的な考えになるために、こういう少女はその気持ちよさを体験すべき……と考える。それこそ下手な奴として、本気で恐怖症に陥ってしまう前に。

 彼女が抵抗するので、パンツを下げられない。そのままずらし、強引に挿しこむことにする。

「ダメ~ッ‼」

 声が大きくなったけれど、構わずにいく。勢いをつけたことで、一気に奥まで到達した。その状態で、Tシャツの下に手をつっこんで、二つの乳房を揉みしだく。

「どうしたの~?」

 大きな声がしたことで、トイレまで見に来たのは、今関 友梨佳と兵頭 小糸の二人だった。

 ただそのときには、葛西 彩陽はトイレで激しく突き上げられ、歓喜の声を上げていた。

「彩陽もようこそ。エッチ好きの世界へ」小糸がそういうのが、妙に生々しかった。




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