第7話

   Back Order


 七海のときは、ほとんど体が動かせない中、何も知らない七海が勢いよくすわってきたことで、意外とすんなりと挿入できた。ただ、まだ大人のそれではないし、しかもAVの知識しかもっていないオレが、こうして少女相手に自らいって、大丈夫なのだろうか……。

 でも、時の強制力により彼女が今晩、子供であることを捨て去る……それが宿命だとしたら、オレがここで躊躇ったら……。

 彼女はもう、顔を両手で覆ったままじっとしており、そうなることを受け入れる体勢だ。

「いくよ」そういって、指で支えながら全身をつかって前にすすむ。

「イ、イタイ、イタイ……」

 止めることも脳裏を過ぎったけれど、時の強制力という言葉に後押しされ、そのまま突き進む。彼女は逃げるようにせり上がっていくけれど、ヘッドボードで行き止まりとなった。

 彼女にとって行き止まりだけれど、オレはそのままゆっくりすすむと、彼女の頑なだった封印を破ることに、見事成功した。


 そのままお互い、抱き合うようにして横たわる。つながっている……ということではなく、今の儀式を終えたタイミングで、一息入れたかったのだ。

 七海のそこは温かかったけれど、むしろぎゅっと締め付けられて動くのも大変だった。リアのそこは、自由に動けそうな……。きついけれど余裕がある……? これがもしかして……感じる、濡れる、ということなのか?

 未だに顔を隠したままで、無言になってしまったリアだけれど、ここで声をかけるのも違う気がして、そのまま律動をはじめる。

 これが夢にまでみた……。七十七歳、童貞のまま逝ったオレが、人生の半分からは諦めていた行為なのか……。

 腰を動かしながら、手を胸にもっていく。さっき、痛いと言われていたので、軽くふれるぐらいにして、律動に合わせて円を描くようにして、ゆっくりとマッサージのように手も動かす。

 リアは右手で目の辺りを隠し、左手で口を押さえるスタイルに変わった。でも、イヤとは言わないので、そのまま続ける。

「……ん~……」語尾が上がるようにして、リアが吐息を漏らす。

 オレも……絶頂を迎える。全身がしびれるように、ビ~ンという感覚があり、イッタ……。七海とはイケなかったけれど、リアの中ではイケた。ただ、きっと彼女はオレに起こったその変化に気づいていないだろう。何しろ彼女の中では、何も起きていないのだから……。


 動きを止めたオレに、リアはそっと顔の手を放す。

「ど、どうしたの……?」

「変な感覚があって……。大丈夫?」

 さすがに「イケた」という告白をするのは避けた。

「気持ち悪いけれど、私は大丈夫。まだ……つながっているんだよね?」

「入っているの、分からない?」

「何だか……すごいそこだけ熱くて、自分のそれじゃないみたいで……」

 摩擦……? そんな感想に答えを返せるほど、中身は七十七歳でも、こうした体験が少なくて……。ただ申し訳ないけれど、彼女はまだイケていないことだけは、今の言葉で分かった。

「つづけて大丈夫?」

「ちょっと待って」

 リアはそういうと、再び顔を両手で覆う。

「どうしたの? 恥ずかしい?」

「それもあるけど……、声が漏れちゃうと、隣のお父さんが……」

 なるほど、部屋に鍵がかけられる……といっても、隣には父親がいるはずなのだ。家族がいる家で、こんなことをしているなんて、ある意味ではかなり凄いことにも思えるけれど、今はそんなリアがいじらしく感じられた。


 二度目……、こちらがイッても、彼女は先ほどと変わらず顔を隠したままだ。

 小学生のそれでは、物足りないのか? 最初で、女の子を満足させられるなんていうのが、傲慢な考えなのだろうか……。二度目を終えても、萎える気配すらないのはさすが小学生……というか、若さだろう。でも、彼女をイカせないと終われない気がした。それは前の人生、その世界では父親のそれを入れられ、またテクニックすら異なり、まったくその感覚にはとどいていないはずだからだ。

 ちがう体位を試してみるか……。今日は泊まりである。夜はまだ長いけれど、子供の感覚では、もうそろそろ寝る時間だ。その前に彼女を満足させて、これを終わらせないと、時の強制力がどう働くのか……。

「ちょっと仰向けになって」

「え? うん……」

 彼女は背中をみせた。AVでは色々な体位をみたけれど、まだ上手くできる気がしない。とりあえず、バックというのが次の選択肢と考えたのだ。

 胸は膨らんできても、まだ腰の辺りは子供のそれだ。逆に、小さなそのお尻の辺りをこじ開けるのが申し訳なくなってくるけれど、今はとにかく彼女に後ろから責めたてる。すると、すぐにちがう反応が返ってきた。

「ひゃ!」

 これまで顔を隠して、動きをほとんどみせなかったリアが、一回一回にぴくん、ぴくんと反応する。腰をよじらせ、声を漏らさないよう、ベッドに顔を押し付けるものの、それでも小さく声が漏れる。

 これは……。オレも確信した。彼女はこちらの体位が好き……否、感じるのだ。あまりの反応に驚くけれど、身もだえする彼女に、興奮するオレがいた。


 リアは「ひゅ~ん……」と、よく分からない吐息を漏らして、脱力した。イッたのか……? これで、オレのミッションも終了だ。父親に無理やり奪われ、女の子から女にされた彼女が、オレによって女になった……。

 変な言い方になったけれど、オレはそれだけで達成感があった。

 そっと背中から手を回して、彼女の胸にふれる。

 父親が、この歳で胸のふくらんできた娘に、欲情したのも分かる気がした。年齢ではなく、大人の女性に近づいている彼女に動揺し、戸惑い、そして女として興味をもった。

 ただ、それは彼女にとって最悪だ。

 それを回避することは……できたのか? 彼女がイケたことで、時の強制力により彼女が無理やりそうさせられる、ということは回避できたはずだ。

 突っ伏したまま、恍惚とした表情で横たわるリアから離れようとした。すると、それまで脱力していた彼女が急にガバッと起き上がって、窮屈そうに振り返りながら、オレの手をつかんできた。

「ううん。もっと……。もう一度……」

 もう一度? もっと……なのか? むしろ彼女が前者で語った方が願望で、それを丸めたのが「もう一度」なら……。

 そうした懸念は、すぐに現実のものとなった。彼女はその体位でするのが、特に気に入ったようで、止めることを中々許してくれず、何度も、何度も、何度も……。

 今日はお泊り会。夜は長くなりそうだった……。


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