第6話
Day Dream
「お父さんに……襲われるってこと?」
オレの問いに、答える代わりにリアはため息をつく。
「お風呂ものぞかれている……。お母さんがいれば大丈夫だけど……」
今日、オレが呼ばれた理由が分かった。母親が一晩、家を空けることが彼女にとってはつらかったのだ。父親と二人きり……。自分が穢される、父親により凌辱される、そんな恐怖だ。
そして、今日一緒にいるのが女トモダチでない理由も、何となく類推できた。父親の狙いが娘だけでなかった場合、元々幼い女の子が好きで、ターゲットが誰でもよかった場合、誘った相手も犠牲になるかもしれない。だから、誘う相手は男である必要があった。
でも、何でオレなんだ……?
彼女は隣にすわっているオレの肩に、自分の肩をぶつけてくる。次第に大きく、やがて強くなった。頭をこつこつとぶつけてくる、といった話は聞いたことがあるけれど、それが肩同士なのは、リアの方がやや背が高いからだ。
「痛いよ……」
そう文句を言うと、急にリアは立ち上がって、オレの上にのしかかるようにまたがってきて、オレのパジャマの胸倉をつかんだ。
「小山内さんを助けた、英雄なんでしょ? 女の子の味方なんでしょ? 私のことも助けてよ!」
隣の部屋に聞こえないよう……むしろドアの外で聞き耳を立てているかもしれない父親に聞かれないよう、声量を抑えているけれど、彼女の心にある深い慟哭だけは声の鋭さ、パジャマをつかむ握力の強さで伝わってくる。
でも、助けるってどうやって……?
「私の恋人になってよ。お母さんがいないときだけでいいから……」
なるほど、もし娘に恋人がいる……となったら、いくら父親でもおいそれと手を出せなくなるだろう。ナゼなら、恋人には話してしまうかもしれない。恋人経由で発覚するかもしれないからだ。それが性的な問題なら、尚更それを前提とする彼氏の存在が、抑止力となる……。
そして、オレが呼ばれた理由も分かった。瀕死の重傷を負いつつ、誘拐犯に立ち向かっていったオレ……。そんな評判を聞いて、彼女も期待したのだろう。あの熊のような父親に、立ち向かってくれる、と……。同級生の、あまり話したことのない私でも、助けてくれるかもしれない、と……。
「お母さんがいないときだけ……。仮ってこと?」
リアは小さく頷く。いつも強気の彼女が、とても小さく見えた。オレに跨って迫ってきているのに、まるで小動物が必死で、自分を食べようとする肉食動物にむけて、大きく見せようとしている……そんな風にも感じる。
迷うまでもない。それはオレが英雄だからじゃない。こんな必死で、家族にまつわる恥部を打ち明け、さらけ出してさえ助けを求めてきた少女を、むげに扱えるわけ、ないじゃないか。
「分かった。そうするよ」
「……ありがとう」
ホッとしたのだろう。ただ、次の行動はオレにとって、とても予想外のことでもあった。胸倉をつかんでいたリアが、その手を放すのではなく、むしろ自分の方に引き付けると、唇を重ねてきたからだ。
「恋人同士なら……。こうするんだよね」
唇を離すと、彼女はおもむろにパジャマを脱ぎ始める。さっき、お風呂の中では見ているけれど、大きくてスタイルのよい裸身が、蛍光灯で明るく照らされた部屋の中で、肌の白さも手伝って煌々と輝いてみえる。
全裸になったリアは、驚いて声もだせずにいるオレの唇を、ふたたび塞ぐ。そのままベッドに押し倒してきた。
このとき、思い出していたのは〝時の強制力〟だ――。
もしかして今日、彼女は父親によって無理やり奪われる……子供から、大人にされる運命だったのではないか? だから、肉体関係を結ぼうとしている。体をかきまわされる、そんな感覚があって、その感覚を埋めるために、目の前にいる異性と……。
前の人生では、このときオレはやっと学校に復帰したぐらいだ。そんな彼女の変化に気づけるはずもないし、そのころはまだ同級生という関係で、話をしたこともほとんどなかった。
もし、彼女が父親によって心と体に傷をつけられていたとしたら……、急にオレをイジメだした理由にも説明がつく。実の父親だからこそ、それは逃れられない柵。彼女を苦しめ、その鬱屈した気持ちを、どうしようもないやるせなさを、七海を守れなかった同級生の異性にむけた……。七海を助けられなかった、そんな貧弱な男子を懲らしめようと思った……。
キスが加速する……。顔をはさむようにして両手でもち、粘膜同士を擦りつけるように、強く押し付けてくる。慣れている……? 否、慣れていないから荒々しいのか……?
中身は七十七歳、童貞のオレでも、さすがにキスも二人目ともなれば、落ち着いて対応できるというもの。
小学二年生にしては、立派な膨らみもあるそこは、小学二年生の手にはちょっと手に余るほどであり、両手でぎゅっと握りこんだ。
「きゃッ⁉」
さすがに驚いたのか、唇を離して仰け反る。ヘッドボードに押し付けられていたオレは、その隙に体を起こすと、逆に彼女の肩をつかんで体制を入れ替えると、ベッドへおし倒した。
「恋人なんだから、互いに楽しもうよ」
そういって、全身でリアの体をおさえつけるようにし、首元にそっと舌を這わす。あのままキスをつづけていたら、きっと唇が腫れ上がって、互いに外すら歩けなくなっていただろう。それは父親を、さらに怒らせる要因になりかねず、お泊り後のことを気にした面もあった。
首に這わせていた舌が、胸元まで辿りつく。色白の肌……といっても、黄色人種系の黄色がかったそれではなく、静脈が浮くため、肌は青白くすらみえる。その中心では桜よりはもう少し白に近い、小さなその中で、さらに小さくピンと存在を主張するそれに、唇を寄せた。
初めての体験なのだろう。リアは小さく「……あ」と声を漏らす。手で握ったときは少し硬くて、脂肪というよりはぱんぱんに膨れた風船のようだったけれど、中心にあるそこは鉛筆の後ろについた消しゴムのようで、それを唇と舌で弄ぶ。
「あ、や……ダメ!」
ぐっと体を押され、オレも唇を離す。
「ご、ゴメン……。ちょっと痛い……」
成長途上の胸であり、あまり刺激を与えてもいけないのかもしれない。さすがにAVで得た知識では、こんな幼い少女の扱いまで補えるわけではない。
ただ、これからが本番だ……。
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