第一話 帰国子女・前編
出会いは、唐突に始まる。
なんの予兆もなく起こり、そしていかなる時も例外はなく終わりを迎える。
私と彼の出会いは、この言葉を体現したかのようだった。唐突に出会い、唐突に命を助けられ、そして言葉を交わすことなく別れを迎えた。
そして、出会いには運命も、また含まれている。
***
「ホームルーム始めまーす」
ホームルームは、唐突に始まる。
「あーでは。今日の予定を—――」
7月4日。
転校二日目である。初日は何事もなく登校し、そしてその日のほとんどを学校説明に費やされた。
だが…なんで。
なぜだか他のクラスメイトからはわかりやすく避けられている。
あまり近寄られない。
半径1メートル以内に入っても、別に首を絞めたりなんかはいしないんだけど。
別に、露骨に顔を青ざめたり、悲鳴を上げたりは、しない。
だろうね。
別に不良でもないんだし
まあ、友人を作ろうとは思わない。後腐れなく処理されるだけし。
事実。
小学生の頃の、友人は一人としてこの世にいない。
……どう捉えるかは、人それぞれだけれども。
一人悶々としているうちに、SHRは締めくくられた。
暇でもないんだろう。担任は、瞬き一瞬で何処か行った。
そして生徒も。さっきの静寂さは、彼方へ消えた。
こういうのが、普通というのだろうか。…どうでもいいか。
窓際から、生暖かい風が吹く。言葉は踊り、俺は肘をつく。
詩的に言うなら、なんていうのか。
わからない。
***
計画は、ぬかるみなく、進んでいるだろう。
詳細は知らない。知っていたら、この計画は破綻する。
どうせ、あの人のことだ。
すべてわかって、そのうえで行動している。理解しているとは限らないが。
白髪がちらつく
くそっ。 気持ち悪い。
…ふう。
にしても。そろそろじゃないだろうか? 俺でも一応、自身に関係することは知っている。
彼女は、もうすぐ投入だ。
***
ID:因子ナンバー00251-J4327 投入完了
ID:因子ナンバー00252-J4327 準備完了。直ちに投入可能
ID:特殊工作員(プレイス)-J4327 Op2開始。異常なし。
ID:特殊工作員(-02) 任務続行不可能。
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