第11話

 いつもの駅にいた。

 高校の3年間通った駅だ。


 今日、私はここから旅立つ。

 家を出ることに決めたのだ。


 初めて、両親に自分の意志で自分の意見を言った。

 せっかく入った大学だけれど、辞めたいこと。

 どうしても進みたい道があること。


 父親は激怒した。

 母親はオロオロするばかり。

 何度か説得を試みたが、分かってはもらえなかった。


 けれど、私の気持ちは揺るがない。

 最終的には、勘当同然な形で家を出ることになったが、それでも構わない。

 バイトをしながら浪人し、もう一度受験する。


 ねぇ綾、私にも夢があるんだよ!

 いつか聞いてね。


 電車がやって来て止まる。

 この電車に彼女は乗ってないけれど、彼女に近づくための一歩を踏み出した。



ーーー了ーーー







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初恋 hibari19 @hibari19

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