第2話
私たちの高校はミッション系の、いわゆるお嬢様学校だ。
けれど、全員がお嬢様なわけもなく。
私は第一志望の進学校に落ち、滑り止めとして入った。
もちろんお嬢様などではなく一般家庭だ。
綾はスポーツ推薦で入った。
綾もお嬢様という言葉とは無縁だ。
同じクラスになった私たちだけど、初めは立場もグループも違っていて仲良くなることはなかった。
入学早々、級長を勝手に拝命された私。
授業中はほとんど居眠りしている綾。
全く、何しに学校に来ているんだか。
あ、部活か。
綾は、陸上部に所属していて、種目は走高跳び。
ある日の放課後、教室の窓から見かけた綾のジャンプが忘れられない。
綾は、背も高くて、スポーツが出来て、髪型がショートカットで。
女子高において、モテる要素が備わっていたから。
一学期の終わりには既にファンクラブ的なものが出来ていた。
ショートカットの生徒は、運動部のごく一部、数人しかいない。
校則で、ショートカットは禁止だったからだ。
それもどうかと思うけど、堂々と校則を破るのもなかなかのものだ。
毎回、生活指導の先生に髪型指導をうけていた。
そんな、ちょっと悪い感じもモテる要素なのか。
クラスの中には怖がってる人もいて、行事にも積極的ではなかったし。
級長としては迷惑なクラスメイトだったけど。
気になる存在ではあった。
わざと居残って、こっそりジャンプを見る程度には。
それが恋だと気付いたのはいつ頃だったか。
仲良し、とまではいかないが
少しずつ交わす会話で近づく距離。
居心地の良い空気。
それなりの絆。
告白する機会は何度かあったが、それはしなかった。
この関係を壊したくないと思ったから。
近くにいられるなら、友達のままでいいと思ったから。
けれど、卒業してしまったら、会えなくなる。
綾は、まめに連絡なんて取らないだろうから、このまま、友達として何年かに一度の同窓会で会えればいい方だろう。
だったら。
どうせ会えなくなるなら、玉砕覚悟で告白してみようか。
そう思って誘ったデートだった。
いや、デートと思っているのは私だけだけど。
私の第一志望の大学の、合格発表のニ日後だったから、綾は「祝勝会だね」と言っていた。
けれど「残念会」になってしまった。
そう、私は、またしても第一志望に落ちたのだ。
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