1028. 鍛冶ギルドの状況

 お次は鍛冶ギルドです。

 ここは新市街に新しい鍛冶場を建てると聞いています。

 それまでの間の繋ぎをなにか用意してもらえないでしょうか?


「うーん、繋ぎ、ですか?」


「はい。鍛冶場ができるまでの間、なんらかの方法で教育の場を設けていただけないかと」


「なるほど。できれば協力したいですが、私たちは防音設備のない場所だと騒音をまき散らしてしまいますからね。あとは炉の問題。きっちりとした高熱の出る炉を準備しなければいけません」


 騒音対策と炉の問題ですか。

 僕が手を貸せば簡単ではあります。

 しかし、鍛冶ギルドマスターがそれを求めてこないということは、そこまで協力をしてもらうつもりはないということでしょう。

 なにか考えがあるのでしょうか?


「幸い、炉については一基だけなんとかなりそうです。シュミットの皆さんが昔使っていた携帯魔法炉をひとつ譲っていただくことになりました。あとは、防火設備のある建物と騒音対策ですね」


「そちらは対策が取れないと」


「残念ながら私たちではどうにもできませんでした。新市街は住宅地か歓楽街が多く、職人街と呼べる場所がないのです。そういった場所でしたら多少の騒音は大目に見ていただけるでしょうが、住宅地や歓楽街の中で騒音を立てては昼であっても見逃してもらえないでしょう」


「わかりました。そちらは僕が力を貸しましょう」


「申し訳ありません。借りが雪だるま式に膨れ上がっていってしまい……」


「気にしなくても結構ですよ。同じコンソールのギルド評議会議員なんですから」


 鍛冶場としたい建物には目星を付けてあるそうです。

 この先建築される新市街鍛冶場のすぐ近くで、鉄鉱石などの一時保管場所にも使われる倉庫の一角を臨時の研修用鍛冶場にすることを希望してきました。

 現地に行って確認してきたのですが、この広さでしたら問題ないでしょう。

 炉も携帯炉らしいですから、それほど大きくはないはずですし、倉庫部分は十分過ぎるほど広いです。

 シュミットの携帯炉ということは魔力可動式の魔道具でしょう。

 炭などは使わないので、そちらに燃え広がる心配はしなくても大丈夫でしょうね。

 そうなると、木でできた倉庫内側の壁をどうするか、ですね。


「いかがでしょう。なんとかなりますか?」


「部屋を作る時に建材を加工すればなんとかなります。明日にでも木工ギルドに行って発注してきますよ。あそこでもまだ取り扱ったことのない品物でしょうから、作り方を教えるついでです」


「なにやら、大事になってしまい申し訳ありません。よろしくお願いいたします」


「はい。任せてください」


 今日はここまででしょうか。

 明日は木工ギルドで建材の発注からですね。

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