1012. リッタール国とリッタール村
村長の話によれば、あの男は相当な厄介者のようですね。
釈放して国外追放処分とするだけなら簡単なのですが、それだけでは済まない可能性があります。
とりあえず、そのリッタール国とリッタール村というのを調べてみましょうか。
『スヴェイン、リッタール国とリッタール村について調べ終わったぞ』
「早いですね、ワイズ。昨日指示を出したばかりなのに」
『あの国について知っている聖獣がおったからじゃ。説明するがよいか?』
「お願いします」
ワイズの説明によると、リッタール国があったのはおよそ250年ほど前までだそうです。
国の存続期間は50年ほどだというで、300年前から250年前くらいが国として成立していた時期でしょう。
国としては、かなり短い期間のような気がしますが、小規模な国家なら仕方がないのかもしれません。
『いや、スヴェイン。それが、それほど小規模な国でもなかったらしい』
「そうなのですか?」
『うむ。肥沃な土地と豊かな鉱山資源に恵まれた国じゃったようじゃ。それ故に、他国からも狙われていたようじゃがな』
なるほど、ワイズの追加説明によるとこういうことです。
規模としてはそれなりの規模があった国ではあるものの、人口的にはそこまで多くなかったのがリッタール国でした。
そのため、長期間、様々な国が連携して多方向から攻め込んでくることには耐えきれず、戦線が崩壊したために国が滅んだそうですね。
その際、リッタール国の主立った王族、貴族は全員処刑されたようです。
しかし、一部の逃げおおせた兵士によって作られた村、それがリッタール村でした。
ただ、リッタール村は決して恵まれた土地にあるわけではなく、むしろ暮らすには不向きな場所らしいです。
その結果として、リッタール国を滅ぼした国々は、リッタール村を監視はすれど攻め込みはせず、放置しました。
その後、リッタール国を占領した国々の興味も薄れ、監視も解かれたのがいまのリッタール村のようです。
『こういうことは言いたくないが、恵まれない土地に逃げこんだのが幸いじゃったな。生きることに精一杯になり、反抗する気力も湧かなかったからこそ生かされた』
「そのようですね。それで、あの村にリッタール国の貴族は逃げこんでいないんですよね?」
『そのはずじゃ。リッタールの貴族筋は全員処刑されておる。逃げこんでいたとしても、貴族とは到底名乗れぬほど遠縁の者よ』
うーん、そうなると、あの男はその遠縁の者の子孫なんでしょうか?
そうだとしても、国が滅んでいるのに大使を名乗ることは無理がありますし、どうしたものか。
本当に面倒くさい問題ですね。
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