995. 麻薬の追加調査
裏社会のボスに目覚めのあいさつも済ませ、数日間家で大人しく調べ物をしていると、ティショウさんとジェラルドさんがやってきました。
ミライさんからの依頼で、僕が病み上がりなのに調べ物ばかりしていることを気にかけたそうです。
まったく、余計なことを。
「で、お前がそこまで真剣に調べ物をしているってなにを調べてんだ?」
「ああ、止める気はないんですね?」
「ミライの嬢ちゃんは心配してたが、アリアの嬢ちゃんとユイの嬢ちゃんがそばにいて止めないってことは問題ないってことだろ。で、なにを調べてんだ?」
「例の麻薬の件です。正確には『腐敗竜』と『人竜族』という存在について」
「ふむ、その件か。この家にある資料ではなにもわからなかったのでは?」
「わかりませんでしたね。なので、関係がありそうな資料を僕の拠点から持ち出してきました」
関係がありそうなもの、と一言で表現してもはっきり言って雑多すぎます。
統一されていことは『古い歴史や伝承について記録されている資料』ということだけで、それ以外の繋がりはほとんどありません。
それくらい今回の調べ物は厄介です。
「いまのところわかったことはあるのか?」
「いえ、まったく。『パンツァー』が数万年と表現した以上、本当に太古の文明です。ひょっとすると僕が持っている資料には存在していないかもしれません」
「そこまでか。本当にやべぇもんに目をつけられたな、コンソールは」
「まったくですね。なにが気に障ったのか」
ここが一番の謎です。
はっきりと言っていま攻めてくる理由がないのです。
確かに備蓄を消費する季節である冬ということはありますが、備蓄を消費するためだけに竜を裏から操ったり太古の竜を起源とする麻薬をばらまいたりするとは思えません。
ここまで執拗に攻めてくる理由は一体なんなのか。
それを調べる必要もありそうですね。
「とりあえず無理はしていないようで安心した。だが、『パンツァー』とはそれほど昔から生きているドラゴンなのか?」
「そうですね。自分でもどれくらい生きているかわからないと言う程度には長生きです、なので、『パンツァー』の『数万年』も当てにできないんですよ。実際には数十万年とかその単位だったりすることも考えられます」
「それは……。その頃に人間の文明はあったのかね?」
「正直、怪しいです。聖獣だって寿命があります。神獣様ともなれば数万年生きるでしょうが、聖獣は数千年で寿命を迎えると聞きました。完全に死に絶える前に転生を繰り返す種族もいますが、ひとつの肉体の限界はそれくらいです」
「文明がなかった時代って調べようがあるのかよ?」
「聖獣や精霊がなにか残していないかを調べるだけですね。そういった者たちの遺跡には、数万年前の物もありますから」
あるんですけど、文字という文化がなかったり、共通の言語という文化がなかったりで調べにくいんですよね。
そっちを調べようと思うと、数カ月程度は泊まり込みで調査したいところです。
本当にままなりません。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます