989. ディーン来訪
一週間後ディーンとその婚約者であるフランカがやってきました。
ふたりとも落ち着かない様子です。
スヴェイン様が倒れるとは思ってもいなかったのでしょうね。
「アリア姉さん、スヴェイン兄さんは無事なのか?」
「無事ですよ。霊薬を使ったので眠り続けているだけです。ただ、かなり長く眠っているので相当消耗していたようですね」
「そうか。いや、さすがに竜災害をほとんどひとりで対応したんだから疲れもするか」
「エンシェントドラゴンもやって参りましたからね。こちらもエンシェントドラゴンで対抗しました。ですが、あちらの『竜の帝』が出てきた以上はこちらも『竜の帝』を使わざるを得ません」
「『竜の帝』か。話には聞いていたが、そこまですごいのか?」
「一匹でほかの群れすべての竜よりも強い存在です。エンシェントドラゴンなどとは比べものになりません」
本当にエンシェントドラゴンだけでも厄介なのに『帝』まで出てきて聖竜族を滅ぼしに来たとは。
人竜族とおぼしき謎の存在に踊らされたらしいのですが、そこまでして聖竜族を滅ぼしたかったのでしょうか?
どちらにせよ、邪竜族の『帝』は滅ぼしましたし、脅威度は大きく低下したのでよかったのですがこちらも高くつきましたね。
「それで、ディーンたちはいつまで滞在するのですか?」
「そうだな、一週間くらいだ。兄さんの見舞いにシャルとの打ち合わせ、邪竜族の被害の確認。やることはいろいろと多い」
「わかりました。顔を見ていきますか?」
「いや、無事ならそれでいい。押しかけても迷惑だろう? それより義姉さんも大変だったんじゃないのか? シャルから少し話を聞いてきたが、兄さんの代わりに裏社会の連中と接触してたとか」
「していましたね。さすがにミライではうまく丸め込まれることが目に見えていますし、ギルド評議会のお歴々でも荷が重いです。私も少々大変でしたが、なんとかうまくやれました」
「それならいいんだ。それにしても、義姉さんも強くなったな」
「いろいろとありましたから」
本当にいろいろとありました。
スヴェイン様と一緒にグッドリッジを脱出したあと、あの地にたどり着き拠点を設けて生活を始め、各地の遺跡や古代資料の研究を生業としてきました。
それがいまではコンソールの最高意思決定機関、ギルド評議会の一員の妻ですからなにがあるかわからないものです。
正直、いろいろと大変ですね。
スヴェイン様には弱気なところを見せられませんが、いまだに慣れません。
「今日の夕食くらいは食べていくのでしょう? 新鮮な食材を用意しましたよ」
「そいつはありがたい。一度大使館に戻るが夜にまた来るよ」
「ええ。フランカもお気を付けて」
「はい。ありがとうございます」
とりあえず、昼はこれで終わりでしょうか。
夜の料理を用意するのは私じゃありませんし、料理はすべて任せてしまいましょう。
私はホスト役に徹するだけです。
……本当にいろいろとやることが多いですね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます