竜災害からの復興
936. 街道の復旧作業現場
竜被害から3週間ほどが過ぎ、周囲の安全が確認できたことでいよいよ復旧作業に人の手も入るようになりました。
破壊された街道ですが、今回はただ土を戻して復旧するだけではなく、石畳を敷いて舗装することにしたようです。
商業ギルドマスターが半年使えないならいっそ利便性の高い道にしてほしい、と提案したことがきっかけでした。
「それにしても、石畳ですか。どれくらいの距離を石畳にするのですか、建築ギルドマスター?」
「んー、コンソールと隣街の中央付近までってとこだな。街道の警備や補修費用は折半にしているが、今回はコンソールの都合で修繕するんだ。隣街まで伸ばしてやる義理はねぇし、あまり相手の庭を侵食したくねぇ。あっちから申し出が出たら要検討だな」
「ふむ。半年なら間に合いますね」
「雪が降る前にどこまでやれるかだな。ドラゴンたちが手伝ってくれるってことは雪も溶かしてもらえるだろうが、あまり道に影響が出そうなことはやりたくねぇ。雪が積もり始めたら石畳を埋める準備だけをすることにする」
なるほど。
僕には詳しい舗装技術はわからないのですが、道の整備となると雪が降るとやりにくいのは予想がつきます。
そうなる前に可能な限り先に進めておくということですね。
参考になります。
「で、錬金術の。協力してくれる聖竜や聖獣たちは自由に使ってくれていいんだな?」
「はい。聖竜たちには街道の警備と並行して修繕作業を手伝うよう指示してあります。僕の配下の聖獣にも同じ指示を出していますし、興味があってやってくる聖獣たちは嫌なら命令を聞かないでしょう」
「わかった。ギルド支部の建築工事と並行でやんなくちゃいけないせいで人手不足なんだ。使えるもんはなんだって使わせてもらうぜ」
「はい。ところで、ギルド支部の指揮は誰が?」
「サブマスターたちにぶん投げてきた。あいつらにもいい経験になるだろう」
まあ、ギルド支部の建築なんていう大規模工事は早々ありませんからね。
僕から考えても、いい経験になりそうです。
建築ギルドも先を見据えての人員配置ができているようでなによりです。
「でだ、錬金術のはなにをしに来たんだ? 最終打ち合わせか?」
「それもありますが、ひとつ道具を渡しに。これです」
僕はストレージの中からひとつの道具袋を出しました。
その中に詰められているのは金属製の石割具です。
「石割用の道具か。お前さんの品ってことは特別製だな?」
「普通に作れないことは事実ですね。刃が欠けたり曲がったりしないようにアダマンタイトで作ってありますから」
「なるほど。よっぽど乱暴に取り扱っても壊れねぇってことか」
「よっぽど、というか、鉄鉱石相手でも道具には傷ひとつつきませんね。ある程度の大きさまで石を小さくする作業は聖竜や聖獣でもできるでしょうが、実際に石畳にする作業は人の手が必要でしょう。それに使ってください」
「わかった。ありがたく借りるぜ」
思いのほかすんなり受け取ってくれましたね。
建築ギルドマスターも自分たちの道具だけでは工期がきついと感じていたのでしょうか?
ともかく、道路工事の方は僕の方で手を貸せる精一杯のことをしました。
次はどこの手伝いに回りましょうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます