932. 三日目:戦闘中盤
「まったく! 『竜の帝』というのは! 頑丈ですね!」
『貴様こそだ、人の子よ! 大人しく散るがよい!』
「それはごめんこうむります!」
戦闘を始めてどれくらいの時間が経ったのでしょう。
日はすでに傾き始めており、かなり体力も消費してきました。
敵は邪竜の『帝』1匹、こちらは聖竜の
数の上では圧倒的に優位なのですが、背後にコンソールを背負って戦っているため、動きが制限されてしまいます。
邪竜の『帝』はあまり気にせず攻撃しているようですが、僕たちとしてはコンソールに被害をだすこと自体が負けですからね。
かなり神経質な戦いとなっています。
カイザーや
僕も『ディストーション』の魔法を使いダメージを与えているのですが、こちらも与えたそばから肉がせり上がり、傷が消えてなくなります。
本当に、面倒くさい性質を持った『帝』ですね。
『どうした? 『帝』のブレスは使わないのか?』
「あなた相手に効くと思えないんですよ。効いたとしてもこちらの消耗の方が大きそうです」
『フハハ! よい判断だ!』
邪竜の『帝』の言う『帝のブレス』とは、『竜の帝』の力を注ぎ込んで放つブレスのことです。
通常のドラゴンブレスと違い、圧倒的な貫通力を持ったそのブレスの一撃は必殺の力も秘めています。
ですが、このブレスを使ってしまうと、しばらくの間『竜の帝』としての驚異的な竜種結界効果がなくなってしまいます。
邪竜の『帝』を一撃で倒せなかった場合の事を考えるとうかつに使えないのが現状ですね。
「そういうあなたこそ『帝のブレス』を使っては?」
『やめておこう。そんなことをすれば、そこの元聖竜の『帝』と
「あなたも随分と慎重なんですね」
『ふん。ここに来るまで多大な兵を消耗した。それに見合う成果は出さねばならぬ』
なるほど、そこまで無責任でもないと。
あちらが焦って動いてくれるとこちらも楽だったのですが、そうもいかないようです。
コンソールの方では、相変わらず『パンツァー』のブレスが放たれる轟音が鳴り響いていますし、一刻も早く救援に駆けつけたいのですが、こちらはこちらで長引きそうですね。
接近戦だけではなくブレスの応酬で空を焼くことも珍しくないのですが、有効打にならないのがもどかしいです。
焦ってはそこから崩されるので、このまま均衡を保つようにしますが、どこかで決定打がほしいですね。
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