924. 二日目、朝

 僕は家でしっかりと休ませてもらい、翌日再びカイザーの元を訪れます。

 なんだかんだ言ってここが前線基地のようになっていますからね。

 カイザーの気質を考えると自分から飛び出して行かないようにするためにも、この場で話し合うのが一番です。


 さて、そんな朝のミーティングですが、恐れていた事態が起こったようです。

 邪竜族側に古代竜エンシェントドラゴンが現れたらしいですね。

 まだ、僕の張った障壁は破られていないものの、あちらの古代竜エンシェントドラゴンは力を温存しているのか、後方に鎮座したまま動かないそうです。

 それも3匹も。


『スヴェイン、どうするのだ? 古代竜エンシェントドラゴンまで出てきては、我かお前しか相手ができぬぞ』


「わかっていますよ。呼んでおいた聖竜族の古代竜エンシェントドラゴンの到着はまだですか?」


『そちらはあと半日かかるそうだ。それまでにあちらの古代竜エンシェントドラゴンに動かれてはまずい』


 確かにそうですね。

 ただ、何度も言いますが、カイザーはこの地の守りの要です。

 そう易々と動かせませんし、下手に動かして虚を突かれるのも怖いです。

 コンソールにはもう1匹の古代竜エンシェントドラゴンである『パンツァー』が守りについていますが、二方向から同時に攻められるとそれも上手く機能しません。

 さて、どうするべきか。


「……カイザーはこの場に残ってください。あちらの古代竜エンシェントドラゴンが大人しく僕の相手だけをしてくれるとは限りません。僕を素通りされた場合、カイザーに押さえ込んでもらうことになります」


『歯がゆいが承知した。邪竜族の『帝』はまだ出てきていないようだが用心を重ねるに越したことはないか』


 それも気がかりなところです。

 邪竜族の古代竜エンシェントドラゴンは、かつての戦いで深手を負っていたはず。

 それが数年程度で治癒するとは思えないんですよね。


 傷ついたまま戦場に出てくることも考えられますが、それだと僕の相手にもカイザーの相手にもなりません。

 なにか、僕たちの知らない治療方法でも見つけたのでしょうか?

 ますます疑念が湧いてきます。


『スヴェイン、考えるのはいいが、まずは相手の戦力を知るところから始めるべきではないのか?』


「それもそうですね。最上位竜を30匹ほど引き連れて様子を見てきます。僕が古代竜エンシェントドラゴンを引きつけている間に、最上位竜が残りの邪竜に攻撃を仕掛ける、といったところでしょうか」


『それくらいで十分だろう。しかし、相手はお前に傷を負わせることのできる古代竜エンシェントドラゴン、油断はするなよ』


 そうなんですよね。

 古代竜エンシェントドラゴンになると、僕が竜帝玉を使ってもダメージを受けてしまうんですよ。

 古代竜エンシェントドラゴンの巨体から負わされるダメージはかなり深手なので、注意深くなければいけません。

 昨日ほどの戦果は期待できないでしょうね。

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