923. 二撃目

『戻ったか。首尾はどうだった』


「上々でしたよ。聖竜たちもご苦労様でした」


『はっ!』


 僕たちは一度カイザーの元まで戻り体勢を立て直します。

 聖竜たちには比較的長時間のブレス攻撃をしてもらいましたからね。

 これは交代しておくべきがいいでしょう。


「聖竜たちには別の最上位竜30匹と交代しておいてください。次の攻撃は新しいメンバーで向かいます。ここで消耗はできませんからね」


『かしこまりました。では、失礼いたします』


 聖竜たちは砂埃をあげて飛び上がり、空へと消えていきました。

 ですが、その代わりに降りてくる聖竜が30匹、本当に手早いですね。


『帝。お呼びと聞き参上いたしました』


「早いですね。あなた方は僕と一緒に邪竜たちへの攻撃の追撃を行ってもらいます。1回目ほど混乱が起きない可能性があるのでご注意を」


『承知しました』


「では、次の攻撃に移りましょう! 邪竜なんて存在、なるべくこの地にとどめておきたくないですからね!」


 新しい聖竜たちを加え、僕は再び邪竜族の出現地点へと向かいます。

 そこでは、僕が張った聖属性の障壁を必死に破ろうとしている邪竜たちがいました。

 障壁にもかなりほころびが出てきていますし、長くはもたないでしょう。


「皆さん、僕が先制攻撃を仕掛けます。そのあと全方位からブレスを浴びせ続けてください。反撃を受けそうになったら、攻撃を中止してかわすように」


『はっ!』


「では、始めます!」


 僕は再び『竜帝玉』を発動させ、竜の帝の力を解放します。

 その力を今度は矢のように引き絞り、敵陣の真ん中目がけて発射しました。

 矢が着弾した場所では、聖属性の炎が天をつく程の巨大な柱となって出現し、邪竜を焼き払っていきます。

 また、僕の攻撃を合図に聖竜たちからの攻撃も始まり、邪竜はどんどん弱まっていっているようです。

 これはいけるかも?


 僕は勝利を思い描きながら魔力弾を降り続けさせて邪竜の数を減らします。

 聖竜もだんだん包囲網を縮めていることから、数が減ってきているのでしょう。

 ただ、聖竜たちにも消耗の色が濃くなってきましたね。

 僕もわりと限界ですし、一度退避しましょうか。


「各員、撤退を! 後ろを突かれないように!」


『御意!』


 聖竜たちは息を合わせて邪竜たちから遠ざかっていきました。

 そして、かなり数を減らした邪竜の周囲に、先ほよりも強力な聖属性の結界を張って動きを封じ、今回の攻撃は完了です。

 だんだん日も落ちてきましたし、今日の攻撃はここまででしょうか。


 竜の戦いに昼夜は関係ありませんが僕は休む必要がありますからね。

 見張りは聖竜たちに任せ、ゆっくり休ませてもらいましょう。

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