919. 邪竜たちの様子

 予定通り、最上位の聖竜を何匹かお供に伴い『パンツァー』が見たという方角の確認です。

 邪竜どもがいなければいいのですが。


「……いましたか、邪竜」


『数は10匹程度ですね。すべて上位竜のようです。蹴散らしますか?』


「そうですね。それがよろしいでしょう。ただ、罠には気を付けて」


『はっ!』


 僕が見つけた邪竜の巣に向かい、聖竜たちが殺到します。

 邪竜も決して弱い種族ではないのですが、上位竜と最上位竜の差は埋められず、ものの数分で全滅しました。

 ……少々味気なさ過ぎますね。


『帝、巣も焼き払って起きますか?』


「焼き払うべきなんでしょうが、嫌な予感がします。一度離れましょう」


『はい』


 聖竜たちは大人しく巣から離れ、そこから邪竜の巣になっていた一画を攻撃し始めます。

 すると、邪竜の巣のあった場所から黒いコブのような物が膨らみ始め、最終的には山ほどの大きさになり破裂して黒い液体をまき散らしました。

 まったく、面倒くさい物を置き土産に残していってくれる。


『帝、あのコブは一体?』


「邪竜どもの残していった罠でしょう。詳しくはわかりませんが、また周囲が汚染されました。浄化の炎をお願いします」


『承知』


 再び浄化の炎で清めてもらうと、今度は特になにも起こりませんでした。

 ですが、あのコブによる爆発のせいで証拠になりそうな品はすべて吹き飛んでしまいましたね。

 してやられましたか。


『帝、今後はどうしますか?』


「そうですね。最上位竜5匹以上の部隊で周囲を警戒するようにしてください。邪竜と接敵しても戦わず、報告をあげることを優先に」


『かしこまりました。……それにしても、今回の目的は一体?』


「僕にもまったく見当がつきません。巣を作り破壊させるだけの行為になんの意味があるのか」


 ともかく、今日の調査はこれで終了ですね。

 人里近くに邪竜が現れなければいいのですが。

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