917. 南の制圧後
南の拠点は人の手には任せずに聖獣たちだけで済ませてしまいました。
拠点の場所を調べたあと、人の手に任せるか考えはしたのですが、いまの衛兵の数では北と東を守りつつ、というのはちょっと難しいのですよね。
なので、さくっと聖獣たちに力を借りて終わらせた次第です。
補佐できていたティショウさんは呆れていましたけど。
「はぁ、これが聖獣のすごさか。わかってはいたが、すごいもんだな」
「まず、伝令を走らせる必要がありませんからね。聖獣は精神波でネットワークのような物を構築できますから」
「それでいて、腕っぷしも強いと。完璧な兵士じゃねえか」
「本人たちは気まぐれで、実際に戦ってくれるかどうかわからないのが難点ですがね」
今回も『新しい遊び場を得る』ため参加してくれた聖獣たちは多かったのですが、それでも数は足らず、僕の聖獣も使いました。
聖獣だけに頼るというのは、そういったリスクも孕むんですよね。
「さて、これで南も裏社会は一掃できました。あとは表の正常化ですね」
「だな。表の顔役は知ってんのかよ?」
「僕が仕入れた情報によると、表の顔役も逃げ出したそうです。表向きな顔役だけではなく、違法な行為にも手を染めていたらしいですよ」
「ふうん。じゃあ、どうするんだ?」
「事前に西のボスとも話し合ってありますが、ギルド評議会がそのまま治めても問題ないんじゃないかと。文句を言いそうな方々はいなくなっていますからね」
「わかりやすくていいこった」
「まったくです」
ティショウさんとふたり、肩をすくめ合いながら話をします。
このあとは特に当たり障りのないよもやま話だったのでいいでしょう。
後日、ギルド評議会の支所が設けられた際には、本当に歓迎されました。
どうやら南のボスとその手下どもは相当な圧政を強いていたらしいですね。
治めるのが楽になるのはいいことですが、なんだかやるせないです。
ともかく、南の区域も制圧完了。
これで新市街全体がギルド評議会の制御下に入ったことになります。
入っただけで、まだ有効な施策はギルド支部の建設と子供向け教習会の約束しかできていないのが現状ですが。
今後も継続して政策を打ち出せなければ旧市街以上に人の心は離れていくでしょう。
ギルド評議会の腕の見せ所ですね。
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