915. 子供向け教習会場探し
もうひとつの議題である『子供向けの簡単な教育』についても、あっさりとギルド評議会を通りました。
講習会は人手不足のため難しいようですが、簡単な算数や読み書きなどを教えるには問題ないようです。
議題が通ったことで今日はその会場探しに来ています。
僕の周りには衛兵がおらず、代わりに聖獣たちが守っているため多少は威圧感が少ないでしょう。
人と同じサイズの者しか連れて来ていませんし、いまも子供たちにじゃれつかれています。
話を聞く間も愛嬌を振りまけていい感じですね。
「子供向けの学習会? それって有料なの?」
「無料で行う予定です。生きていく中で基礎となる算数と読み書きレベルしか教えない予定ですので」
「それならうちの子も通わせようかしら。それっていつから開催なの?」
「場所が決まれば、ですかね。講師は用意できているんですが、場所が見つからないんですよ」
ちなみに、これは本当の話です。
すでに講師として面倒見のいい老若男女10数名に集まってもらいました。
彼らにはもちろん講師代を支払いますが、子供たちには無償です。
これもコンソールの政策ですからね。
「場所ねぇ……そうだ、いい場所を知っているわ!」
「本当ですか?」
「ええ。その話を聞く限り、20人くらいが同時に入れるような場所がいいんでしょう? ちょうどいい場所があるのよ」
「それではそこまで案内していただけますか? 使えそうでしたら大家に交渉し、建築ギルドに頼んで改装を行います」
「任せて。ちなみに、大家は私だから気にしなくていいわよ」
なんと、大家さんでしたか。
かなりお若いのに建物のオーナーとは、新市街は侮れませんね。
案内されたのは白く塗られた清潔感のある建物の1階フロア。
なにもありませんが、元は喫茶店のようなものが入っていたんでしょうか?
「ここは?」
「昔、人に貸していた喫茶店よ。どうにも経営不振だったみたいでね。経営者がいなくなって不要品を処分したらこうなったわ」
「なるほど」
喫茶店ですか、悪くはありませんね。
それなりに人通りが多く、人の目があるため誘拐などがしにくい場所なのも高評価です。
さらにカウンター側を見れば、シンクとコンロの置いてあったあとがまだ残っています。
これは改装時に機能を復元させることで、子供たちの休憩時間にお茶を振る舞えるかもしれません。
ここはお買い得な物件ですね。
「決めました。ここを買い取らせていただきます。おいくらでしょう?」
「うーん、子供たち相手とわかっていてあまり阿漕な値段は付けたくないが、私にも生活があるからね。白金貨2枚でどうだろう?」
「白金貨2枚ですか。十分にお安いです。手付金として白金貨1枚をお支払いしたいのですがよろしいですか?」
「よ、よろしくないよ!? お願いだから、そういうのは商業ギルドで頼む!」
……よく考えたら、一般人がそんな簡単に白金貨なんて大金を持ち歩けるわけがありませんものね。
ちょっと反省です。
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