910. 浄化作戦

 あのあと、聖獣たちに声をかけてまわった結果、それなりの数の聖獣たちが協力してくれることになりました。

 聖獣たちとしても、新しい遊び場がほしかったようです。

 それでいいのかとも思いますが、利害関係は一致していますし、気にしないことにします。


「さて、今回の浄化作戦ですが、全体の指揮はティショウさんに任せます」


「おうよ。だが、聖獣たちが俺の言葉に従うか?」


「そこは責任を取って僕が従わせますよ。目標は一般人に被害を出さず、裏社会の人間を全員捕縛、または抹殺することですね」


「抹殺とはまた厳しいねえ」


「その程度、覚悟してもらわないと」


 裏社会で相当悪事を繰り返しているのです。

 自分の命が惜しいだなんて言わせるつもりはありません。


「それで、決行は今日の深夜か?」


「はい。これ以上時間をかけて気取られるわけにもいきません。頼みましたよ、ティショウさん」


「任せろ。お前がいなくてもしっかり守れること、証明してみせるぜ」


 本当に頼みましたよ。

 ここ数年、治安維持も僕がやることが多かったので、その点についても移行していかなければなりません。

 思ったより大変そうです。


*********************

****ティショウ


 さて、今回の大捕物だが、現場指揮官の動きが鍵となる。

 スヴェインのやつなら聖獣を使って自由自在に連絡を受け取ることができるだろうが、今回はそうもいかねえ。

 さて、どうしたもんかな。


「第1班、準備完了しました」


「第2班も完了しています」


「そうか。準備の遅れているところは?」


「まだ連絡が届いていないのは第8班になります」


「よし。第8班の連絡が届き次第、行動開始だ」


「はっ」


 だが、8班の連絡がいつまで経っても届きやしねえ。

 これはなにかあったか?


「おい、8班の様子を見てこい。場合によっては強行突入開始だ」


「はいっ!」


 8班の様子を見にいかせると、しばらくして信号弾が打ち上がった。

 クソッ、8班の動きが気取られていたか!


「信号弾で伝わっているはずだが、全員に突撃をかけさせろ!」


「はい!」


 ここまでの大捕物は初めてだ。

 それを抜かしても、今回の対応漏れはお粗末すぎるだろう。

 本当に油断した!


 やがて届いた報告によると、8班が取り締まる予定だった連中だけ取りこぼしが多かったようだ。

 チッ、スヴェインに大見得を切っておいてこのざまか。

 やっぱり、スヴェインにしばらく頼りすぎていたな。

 便利すぎる戦力に頼っているとこうなるって結果が出ちまったぜ。



*********************

****スヴェイン



「取りこぼしは8班の一部のみですか。まあ、よくできた方でしょう」


 僕は聖獣たちに命じて捕まえた連中を見やりながら独りごちます。

 これだけの大捕物でひとつの班しか動きが乱れなかったのは上々といえます。

 ただ、ティショウさんは悔しがっているでしょうね。

 そこをカバーしてあげないといけませんか。

 いままで僕が担っていたことをコンソールに返却するというのも難しいですね。

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