秋のギルド評議会

907. 第一回ギルド評議会、開催

 さて、今日は秋になって第一回目のギルド評議会の開催日です。

 僕は特に気にすることなくこの日を迎えたのですが、ミライさんは違うようですね。


「ギルドマスター。ジェラルド様とティショウ様の前であんな啖呵を切ってよろしかったのでしょうか?」


「啖呵?」


「あの、啖呵とはなんでございましょう?」


 まあ、あの場にいなかったハービーもアシャリさんも気になりますよね。

 不意を打たれないためにも情報を共有しておきますか。


「なるほど。その方は信頼できるのですね?」


「いまのところは、という但し書きが付きますが信用できます。グレーゾーンにも足を踏み込んでいますが、これは完全にアウトな連中から一般市民を守るためのこと。いわば、僕たちコンソールの手が届いていないところを助けてくださっているとも言えます。そう考えると邪険にはできませんね」


「なるほどなぁ。スヴェイン様が現れる前のスラム連中が大人しかったのも、ナギウルヌがいたからだもんな。裏社会とはいえ秩序は必要ってことか」


「はい。麻薬や人身売買などは潰しますが、合法的な範囲での娼館経営まで潰す理由はありません。彼女とは仲良くやっていきたいものですね」


 ここで馬車がギルド評議会に着き、僕たちは評議会場へと向かいます。

 今回はかなり早く着いたのか、ティショウさんと商業ギルドマスターしかまだ来ていませんでした。

 ふむ、裏でなにか話し合っていますかね>


「こんにちは、おふたりとも。ほかの方々は裏で打ち合わせですか?」


「よう、スヴェイン。どうなんだろうな? 一度も議場に姿を見せてねぇ」


「今回の議題は少々厄介ですからね。互いの意思を確認しておきたかったのかもしれません」


「そんなことをしても、あまり意味はないでしょうに」


「まったくだぜ」


「時間の無駄ですね」


 ティショウさんも商業ギルドマスターもお厳しい。

 ですが、個性豊かなギルドマスターたちが、そんな簡単に自分の意見を翻すとは思えないんですよ。

 あくまで意思確認で終わるでしょうね。


 しばらくして医療ギルドマスターがやってきてそのあと、ほかのギルドマスターたちがほぼ同時に議場へと入ってきました。

 隠すつもりもありませんか。


 その後、始まったギルド評議会、一般的な報告はスラスラと行きましたが、今日の特別な報告でいったん止まることとなりました。


 議題は『新市街を治める暗黒街のボスとの接触について』です。


 随分とストレートな議題を打ち出してくれたものです。

 それならばそうと、受けて立ちますが!

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