731. エリナの帰郷:六日目 特になにもない日
本話から前話よりだいぶ日付が経ってからの作成となります。
書き方などもかなり変わっていますがご容赦を。
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帰郷六日目、今日の予定は本当になにもない。
ごろごろ過ごしているのが苦手なボクたちが黙って過ごしているはずもなく、冒険者ギルドで依頼を受けて周辺地域の野生動物を調査に向かった。
昔は野生の薬草群生地を先生たちが探していたみたいだけど、いまは薬草を栽培しているからそっちの需要はほぼない。
でも、危険な野生動物はまだ生息しているからそちらの方は調査しなければならないそうだ。
せっかくなのでそれを受けてみたのだ。
……ボクたち、冒険者ギルドのギルド証を持っていないからマーガレットさんにお願いして特別に受けさせてもらったんだけどね。
「あ、獣道があるのです。この大きさは……鹿ですかね?」
「魔物の痕跡じゃないね。多分鹿の巡回ルートなんだと思う。少し調べてみようか」
「はいです」
しばらくその獣道を歩いて行くと雄鹿とばったり遭遇した。
ボクたちに害意がないことがわかると、鹿はそのまま森の中へ消えていったけどもう少し気配を探りながら進むべきだったかな。
「鹿さん、驚かせちゃいましたね」
「ボクたちの気配はある程度消せているはずなんだけどね。もう少し抑えないとだめみたい」
「これはこれでいい訓練になるのです」
場所を変えて次の獣道を探すと、今度はイノシシにばったり遭遇した。
イノシシも驚いて逃げ出しちゃったけど、これは普通の冒険者が遭遇すると結構危ない奴だね。
「エリナちゃん。イノシシの生息範囲は調べますか?」
「そうしよう。あれは普通の冒険者だと危ないかもしれない」
「わかったのです」
ボクたちは周囲を歩き回りイノシシが普段行動範囲にしているであろう地域をマッピングしておいた。
これがあればばったり遭遇する可能性も減るはずだ。
「エリナちゃん。次はどこを探しますか?」
「森の場所を変えよう。この森はこれ以上深入りしないだろうし」
「わかったのです。でも、この付近の森もかなり動物がいっぱいいるのです」
「コンソールの近くだからかもしれないね。野生動物が多いのはいいけど、それで怪我をする冒険者が増えるのは困るよ」
「確かにそうなのです。だからといって野生動物を駆り出されても困るのです」
「それは冒険者ギルドでもわかっているみたいだよ。野生動物を追い出したりすると魔物の生息域が変わって返って危険になることもあるみたいだから」
「それは大変なのです!」
「大変だよねぇ」
ニーベちゃんとボクとで熱量差がある気がするけど、一応目標となる地域は全部調査することが出来た。
やっぱりコンソール方面の方が野生動物が多く、逆側に行くと森の中で魔物の巣を発見したりもする。
こういった場合は手出ししないで場所だけ記して戻ってきてほしいと伝えられていたので、望み通り場所をマッピングしておく。
あとは冒険者さんたちがなんとかするんだろう。
この地図を冒険者ギルドに提出してボクたちの一日は終わりだ。
たまにはこんな冒険もいいかもね。
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