694.英才教育機関指導開始 後編

 わたしたちは『まほう』で遊んで気持ち悪くなったらお昼寝してを繰り返していたらお昼の時間になっちゃったみたい。


 お昼を食べる前にネスリン先生からひとつ注意があるんだって。


「皆、お昼中は魔法で遊んじゃダメだからね? 楽しいのはわかるけれど気持ち悪くなってお昼を食べられなくなっちゃったらお母さんたちにも申し訳ないでしょう? 午後の授業が始まるまで我慢していてね」


「「「はーい!」」」


 ネスリン先生は注意が終わったら自分もお弁当を取り出して食べ始めた。


 わたしやディジーちゃんも食べ始めて、食べている途中でお母さんたちがデザートとしてつけてくれた果物を分け合ったの。


 最近のコンソールは新鮮な果物が安く手に入るようになってきているんだって!


 前は滅多に食べられなかったけれど、最近はよく食べられて嬉しい!


 お弁当を食べ終わって、お昼休みが終わったら午後の授業。


『ウサギのお姉ちゃん』の講習会と違って午前も午後も講習があって一週間おきだけど三日間毎日なの。


 たくさん教えてもらえて嬉しいなあ。


「さて、午後の授業に入る前にもう一度『星霊の石板』を確認してみて。多分、【光魔法】を覚えているし、早い子は【魔力操作】もスキルレベルが上がっているから」


 ネスリン先生の言うとおり『せいれいのせきばん』を取り出して確認してみると、本当に『ひかりまほう』があった!


 でも、『まりょくそうさ』は上がってなくて残念。


 ディジーちゃんはどうだったのかな?


「ディジーちゃん、どうだった?」


「ユリナちゃん! 『まりょくそうさ』レベル2に上がったの! 『ひかりまほう』も覚えてた!」


「うわあ! すごい! おめでとう、ディジーちゃん!」


「ありがとう!」


 ディジーちゃんは『まりょくそうさ』が上がったんだ!


 いいなあ。


「スキルレベルだけれど低いほど上がりやすいの。皆に教えている魔法も簡単な魔法だから【魔力操作】は上がりにくい。もっと効率的な方法はあるけれど、しばらくの間は魔法で遊ぶことで我慢してね? 新しい魔法を教えてあげるから」


「「「はーい!」」」


 新しい『まほう』!


 今度はどんな『まほう』だろう!?


「今度はこれ。『闇の精よ、我が意に従え』『ダーク』」


「うわあ、今度は暗い玉だ!」


 さっきは光の玉だったけど、今度は暗い玉!


 これも面白そう!


「使い方も『ライト』と一緒だよ? 両手に暖かいものを集めて言葉を変えるだけ。皆も試してみて」


「温かいものを集めて……『やみのせいよ、わがいにしたがえ』『ダーク』! できた!」


 今回もネスリン先生よりも大きくないけどほんのり暗くなった玉ができたの!


 ディジーちゃんもうまくできているし錬金術だけじゃなくて『まほう』も楽しいかも!


 またわたしたちは『まほう』を気持ち悪くなるまで使って遊び、気持ち悪くなったらお昼寝してを繰り返して気が付いたらもう帰る時間になっちゃった。


 ちょっとだけ残念。


「さて、今日の授業はこれで終わりだけれどその前にまた青いお水を作らせてあげるね。それで朝に作ったときとどう変わったか体験してみて!」


 そう言ってネスリン先生は皆の水差しにまたお水を入れて行ってくれた。


 青いお水を作っていいらしいし早速作ってみよう!


「……あれ?」


「どうしたの、ユリナちゃん?」


「ディジーちゃん。あのね、朝より青いお水が作りやすくなったの」


「そうなの? じゃあわたしも……あ、本当だ! 作りやすい!」


 そのあとふたりで何回も試してみたけど朝より青いお水がずっと作りやすくなってる!


 なんでだろう?


「皆、青いお水、作りやすくなった子たちは手を挙げてみて」


「「「はーい」」」


 わたしとディジーちゃんも手を挙げたし後ろを振り返ってみたら皆が手を挙げていた。


 なんでかな?


「皆、もう一度『星霊の石板』を確認してもらえる?」


 えーっと、『せいれいのせきばん』を取り出してみて……あ、『やみまほう』を覚えてる!


 あと、『まりょくそうさ』もレベルが上がった!


「ディジーちゃん、『まりょくそうさ』のレベル上がった?」


「うん。3まで上がった!」


「わたしも4になった!」


 不思議だなあ、『まほう』で遊んでいるだけなのに『まりょくそうさ』が上がるなんて。


「青いお水が作りやすくなった理由だけど【魔力操作】スキルに関係しているの。魔力操作が上手になればなるほど青いお水が作りやすくなるんだよ」


「へー」


 初めて知った!


 そんなこと『ウサギのお姉ちゃん』は教えてくれなかったもん!


「今週はこのまま魔法で遊びながら魔力操作をお勉強ね。次に来るときにはもっと効率的な魔力操作のお勉強方法を教えるから」


「「「はーい!」」」


「よし! 今日の授業はこれでおしまい! 帰り道で魔法を使っちゃダメだよ? 気持ち悪くなっても休めないからね? お家で使うときも休めるときだけにしてね。お母さんたちの許可をもらってベッドに寝ながらとかお勉強しなくちゃダメだよ?」


「「「はーい」」」


「じゃあ、皆、気をつけて帰ってね。明日も待ってるから!」


 これで今日の講習会は終わりみたい。


 ディジーちゃんとは明日も早めに来て同じ席で一緒に遊ぶ約束をしたら今日はお別れ。


 お家に帰ったら早速今日のお勉強の結果をお母さんに報告しなくちゃ!


「ただいま、お母さん!」


「お帰り、ユリナ。英才教育機関の講習はどうだった?」


「『まほう』を教えてもらった! あとお友達ができたの!」


「え? 錬金術の英才教育機関で魔法?」


「『まりょくそうさ』をお勉強するためにまずは『まほう』でお勉強なんだって。今日は『ライト』と『ダーク』の『まほう』を教えてもらった!」


「そ、そう。ちゃんとできた?」


「できるよ! 使ってみてもいい? ネスリン先生からはお母さんの許可をもらわないと使っちゃダメだって」


「そうね。使ってみてもいいわ」


「じゃあ使うね! 『ひかりのせいよわがいにしたがえ』『ライト』!」


「……すごい。本当にライトの魔法ね」


「すごいでしょ! 『まほう』でお勉強していたら青いお水も作りやすくなったの!」


「頑張ってきたのね。続けられそう?」


「うん! 一年間頑張る!」

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