693.英才教育機関指導開始 中編
「あ、水差しのお水なくなっちゃったね」
「うん。残念」
今日の講習会では青いお水は水差しの分しか作っちゃダメみたいだからこれで終わり。
わたしは三回だけ作ったら残りのお水は全部ディジーちゃんに上げたけどそれでも残念そう。
でも、ネスリン先生が決めたことだし仕方がないよね。
「さて、皆そろそろ水差しのお水がなくなっちゃった頃かな? 錬金術ではいま青いお水を作ってもらったみたいにある素材を使って別のものを作り出すことができるの。青いお水も普通のお水に見えるけれどお薬の素材だから飲んじゃダメだよ。お腹を痛くしちゃうからね」
「「「はーい」」」
「よし、それじゃあ本格的な授業を始めようか! 今日から皆に覚えてもらうことは【魔力操作】って言うスキルだよ」
「『まりょくそうさ』?」
あれ?
錬金術の講習じゃないの?
「魔力操作はね、魔法とか錬金術とか魔力を扱うことをするにはとっても大切な技術なの。その錬金台だと魔力操作ができなくても青いお水が作れるように工夫されているけど、本当は魔力操作がないと青いお水を作るだけでも大変なんだよ?」
そっか、お家の『れんきんだい』で青いお水が作れないのも『まりょくそうさ』ができないからなんだ!
ひとつ覚えた!
「まずは魔力操作の覚え方なんだけど、多分皆はもう覚えているはずだから『星霊の石板』を確認してみて。【魔力操作】のスキルがあるはずだから」
えっと、『せいれいのせきばん』を取り出して、『まりょくそうさ』……本当にあった!
まだレベル3だけど『まりょくそうさ』を覚えてる!
「ディジーちゃん、『まりょくそうさ』あった?」
「うん! レベル1だけどあった!」
「皆の中で魔力操作を覚えていない人っていたかな?」
ネスリン先生の質問に誰も反応しなかったって言うことは皆が『まりょくそうさ』を覚えているってことだよね!
ネスリン先生、なんでわかったのかな?
「よし! 魔力操作の鍛え方なんだけど、最初は難しいから魔法を使って鍛えてみよう!」
「まほう!!」
いきなり『まほう』ってできるの!?
『まほう』ってもっと大人になってから覚えるものじゃないのかな!?
「魔法って言っても一番簡単でわかりやすいものだから安心してね。じゃあ、お手本を見せてあげる! 『光の精よ、我が意に従え』『ライト』!」
「うわあ……!」
ネスリン先生の前に明るい光の玉が浮かんでいる!
これが『まほう』なんだ!
「これが一番簡単な魔法のひとつ『ライト』だよ。皆にも使い方を教えてあげるね」
「「「はーい!」」」
「まずは、青いお水を作る時と同じように両手に暖かいものを集めてみて」
暖かいもの、暖かいもの……こんな感じかな?
あ、両手がポカポカしてきた。
「両手が温まってきたらこう言ってみて。『光の精よ、我が意に従え』『ライト』」
「『ひかりのせいよ、わがいにしたがえ』『ライト』! うわあ! できた!」
わたしの前にもネスリン先生よりちっちゃくてピカピカしてないけれど光の玉が浮かんでいる!
横を見ればディジーちゃんの前にも浮かんでいるし、『まほう』ってこんなに簡単だったんだ!
「うん、大体の子が成功したみたい。できなかった子たちは私が教えてあげるから少し待っててね。できた子たちは自由に練習していていいよ。ただ、気持ち悪くなってきたらそれ以上練習しないでお休みしてね? なんだったらお昼寝しても大丈夫だから」
「お昼寝しちゃってもいいの?」
「うん。気持ち悪くなってきたのはね、『魔力枯渇』って言って体の中にある一種の元気がなくなってきた証拠なの。一番早く元気になるにはお昼寝するのが一番早いんだ。だから、気持ち悪くなってきたら気にせずお昼寝して大丈夫だよ!」
「「「はーい」」」
そのあと、ネスリン先生はできていない子たちに『まほう』を教えに行っちゃった。
わたしとディジーちゃんはふたりともできるから何度も『ライト』を試して遊んでいたけど、先にディジーちゃんが気持ち悪くなっちゃって椅子に寄りかかったらすぐに眠り始めちゃったよ。
わたしもそのあと何回か試していたら気持ちが悪くなってきて椅子に寄りかかるとすぐにうとうとし始めて眠っちゃったみたい。
目が覚めたら隣でディジーちゃんがまた『まほう』で遊んでいて、ネスリン先生がそれを褒めていたの。
わたしも褒めてほしくて練習し始めたら褒めてもらえちゃった!
でも、あんまり頑張りすぎてもいけないらしいから気持ち悪くなったらすぐに休みなさいって。
横を見たらディジーちゃんはまた寝ちゃってたし、後ろを見ても寝てるお友達はたくさんいた。
わたしも何回か試したらまた気持ち悪くなってきたから、また眠っちゃって……とっても楽しいけれどこれでいいのかな?
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