残酷なことをするのは、悪い人ではなく、その社会その時代の正義を信じる、善良な人間なのだ、ということが伝わってくる、とても悲しいお話でした。ファンタジーとして、比喩的に説いてありますが、現実に今も、まさしくこのようなことが、行われているのだと思います。そのことに対して、私は何ができるんだろうかと考えさせられる物語です。すばらしい作品だと思います。
作者からの返信
ほんとうにおっしゃる通りですよね。
悪いひとが残酷なことをするわけではなく、ほんとうに、その社会その時代においてふつうの人間が、結果的にそういったことをする、というのはいつも感じているところです。
他人も自分も、人間はそういう性質をもつものなんだな、というのも日頃から感じておりますので、このような感想をいただきまして、とてもありがたく思います。
編集済
なんか…なんといえばいいのか、馬になったこと自体は天罰じゃなくてたまたまだったとしても、過去の行いがブーメランみたいに返ってくる感じが、ああ……って思いました。現実世界でも、偶然のトラブルにみまわれた人が「でもあんたあの子に嫌がらせしてたじゃん」とか「だってあなた不倫してましたよね」とか直接には関係のない理由から周囲に助けてもらえず見放されていく姿をたまに見るので、そういうのを凝縮するとこんな話になるんだな、うん……と胸に刺さりました。
作者からの返信
そういうこと、ほんとうに、現実世界でもよくありますよね。
なにも問題なかったころの振る舞いが、自分がどうにもならないころに返ってくるというシステムが、なぜだかこの世界にはあるような気がしています。
ですので、そういうのを凝縮するとこんな話になる、と言っていただいて、とても嬉しく思います。
編集済
完結おめでとうございます
少女は、己の憎悪を肯定してくれる社会の教義を受け入れ、疑問を無くす
自分と社会との「ズレ」の解消による成人儀礼(イニシエーション)…
悲しい話ですね…
それも結局は、主人公を標的にしていた小さないじめのシステムに代わって、より大きないじめのシステムが別の標的を犠牲にしたに過ぎないというのに…
しかしさて、主人公が、動物化を「天罰」だと納得したところで、実際にはそうではないという事実までは変わりません
科学は単なる世界観ではなく、事実を追求するシステムです
それを他の世界観で塗り替えようとしたところで、起きる事象までは変えられない
むしろ、科学的な思考を排除すると、事実を解明し対抗しようとする動きが阻害されますから、動物化の被害は拡大する一方でしょうね…
今度動物化するのが誰かはわかりませんが、それは本人の「罪」とは全く無関係であることでしょう
あるいは、それは今「天罰」の教義に救われている人物だったりするのかもしれませんね
そう、それはたとえば…
作者からの返信
お祝いのお言葉、ありがとうございます。
各話へのコメント、大変励みになりました。
まさしく、おっしゃる通りのお話であったと思います。
大きなシステムのなかで、違和感を感じる者がたまに出てきても、それに呑み込まれてしまう。
この短編に書いたようなケースであれば、おそらく多くの方が違和感を感じると思いますが、おなじようなことはいつでもどこでも起こっているものだと思います。
ただ、科学が単なる世界観ではないということについては、前も申し上げた通り私もまったくそのように考えておりまして、科学を拒絶したこの社会では悲劇は今後とも起こり続けると思います。
どの社会でも特有の悲劇は起こりますが、しかし、本来防げたはずの悲劇が防げない社会になっていくのでしょうね。
ひとびとが「信じたいものだけを信じる」世界。
私はぞっとしますが、そういった世界こそがユートピアであると感じるひとも、あるいはいるんじゃないかな、などと思ったりもします。