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2021年8月19日 13:05 編集済
ああ、きっと彼女は羨ましかったのですねそして、たぶん恐れてもいた奏山さんは、切子さんが、自分を上回る人気者になってしまうことを防ぎたかったのではないでしょうか?以下、長文失礼しますご迷惑でしたら、いつでもおっしゃって下さいなるべくすぐに消しますので奏山さんは、自分が切子さんの新しい魅力に惹かれ、また圧されていることを否認したかったのではないか、と私は推測しますそれになにより、彼女は、今までのクラスでは自分より遥かに格下に位置付けられていたはずの切子さんが「自分に並ぶことが出来る」さらには「上回りその地位を簒奪することさえ出来る」かもしれないという、そんな可能性を否定したかったのでしょうなぜなら、もしそんな可能性が実現してしまえば、泰山さんは、クラスの中心という地位を失ってしまいますからねそしてさらには、そんな「楽園喪失」は、クラスカーストのトップという、彼女の自信とアイデンティティの中核を成しているであろう要素すら、実は砂上の楼閣であったことに気づかせてしまうそうなれば、奏山さんにとって不動のように思えたであろう、彼女の地位と名誉など実際には「いつでも交換可能なものであり、それを支える序列(ヒエラルキー)など、本当は、ちょっとしたことでいつでも逆転し得るものだ」というその真実が、彼女にとっての世界中(クラス全体)に知れ渡ってしまうのですそれは、クラスの女王だった奏山さんが、たちどころに裸の王様になってしまう、ということを意味するのですあるいは、彼女は人間関係もしくは世界を、勝敗だけでしか捉えられるなかったのかもしれませんね他人に勝ち、威圧しなければ、代わりに自分が負けてしまうマウントを取れなくなれば、すなわちそれは、今度は自分がマウントを取られるということそんな世界観では、「誰かの取り柄を認める」ことは基本的にあり得ませんいずれにせよ、そんなふうに追い詰められた彼女がとっさに放った一言が、「ホテル」であり、それが精一杯の悪口だったのでしょうその言葉こそどうせ、周囲の大人の猿真似だったのでしょうにああ、あるいはこのとき、学校以外の二人きりになれる場所で、思いきりケンカしてホンネを言い合えたなら、あるいは二人の人間関係も今とは違うようになっていなのかもしれませんね…しかし、そうはならなかったのですねそうは、ならなかった…学校が、真に人間関係の学びの場であるというのなら、固定したカースト体制を見過ごすのではなく、そういった変化をこそ促進すべきだったというのに…やはり、体制や派閥を維持するだけの宗教では、真に人を救う宗教的役割を果たせないのでしょうその現状肯定は、まるで旧ソ連やナチスドイツのようですそういえば、ナチスドイツでは、ユダヤ人をブタと呼び、障がい者やロマといった体制側の美意識に反しているとされた人々を殺戮していったのですよねこの短編の社会にも、それに通じるところがある気がします…
作者からの返信
長い文章でのご感想をいただくことが、ご迷惑などいうことはまったくありませんので、どうぞご安心いただければと思います。むしろ、こんなに読み込んでいただけること、コメントをいただけること、いつも大変ありがたく思っております。本当にありがとうございます。そして奏山さんが切子さんに対して、なにか自分より上回るような気配を感じていたのかもしれないということ、正直申しますとそこまで書いていて気づけなかったのですが、言われてみればその通りであるかもしれないと思いました。奏山さんのようなタイプにとって、自分にとって心底どうでもよく絶対に脅威にならなそうな人間はそもそも視界に入っていなさそうですし、神田さんに気にかけられているところからしても、もしかしたら切子さんにはそういうポテンシャルがもともとあったのかもしれませんね。「楽園喪失」というお言葉はもうほんとうにその通りといいますか、その表現が自分で思いついていればよかったなと思いました。少女たちの世界はいつでも、小さくいびつな楽園で、だからこそ、そこでの立ち位置の変更はまさしく楽園を喪失することに他ならないと思います。でもその楽園はとってもいびつなので、おっしゃる通り、他人のマウントを取ることでごく一部の少女たちのなかで勝手に成り立っているのかもしれません。「ホテル」という悪口が精いっぱいであったことも、たしかだと思います。彼女のなかでは必死に考えた言葉だったのでしょうね……。そんな奏山さんだからこそ、「裸の王様」のごとく、素肌を晒して服も着られない馬の立場になったのかもしれないですね。固定された体制は、真実の意味での交流を妨げると私は思います。ほとんどの場合、理念や理想は悪くなくて、でも人間が運用していくシステムである「体制」となるとどうしても、人間の本来もつさまざまな問題が出てくるものですよね。この短編の社会も、おっしゃる通り、そういった社会に通じる性質をもったものであると思います。
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ああ、きっと彼女は羨ましかったのですね
そして、たぶん恐れてもいた
奏山さんは、切子さんが、自分を上回る人気者になってしまうことを防ぎたかったのではないでしょうか?
以下、長文失礼します
ご迷惑でしたら、いつでもおっしゃって下さい
なるべくすぐに消しますので
奏山さんは、自分が切子さんの新しい魅力に惹かれ、また圧されていることを否認したかったのではないか、と私は推測します
それになにより、彼女は、今までのクラスでは自分より遥かに格下に位置付けられていたはずの切子さんが「自分に並ぶことが出来る」さらには「上回りその地位を簒奪することさえ出来る」かもしれないという、そんな可能性を否定したかったのでしょう
なぜなら、もしそんな可能性が実現してしまえば、泰山さんは、クラスの中心という地位を失ってしまいますからね
そしてさらには、そんな「楽園喪失」は、クラスカーストのトップという、彼女の自信とアイデンティティの中核を成しているであろう要素すら、実は砂上の楼閣であったことに気づかせてしまう
そうなれば、奏山さんにとって不動のように思えたであろう、彼女の地位と名誉など実際には「いつでも交換可能なものであり、それを支える序列(ヒエラルキー)など、本当は、ちょっとしたことでいつでも逆転し得るものだ」というその真実が、彼女にとっての世界中(クラス全体)に知れ渡ってしまうのです
それは、クラスの女王だった奏山さんが、たちどころに裸の王様になってしまう、ということを意味するのです
あるいは、彼女は人間関係もしくは世界を、勝敗だけでしか捉えられるなかったのかもしれませんね
他人に勝ち、威圧しなければ、代わりに自分が負けてしまう
マウントを取れなくなれば、すなわちそれは、今度は自分がマウントを取られるということ
そんな世界観では、「誰かの取り柄を認める」ことは基本的にあり得ません
いずれにせよ、そんなふうに追い詰められた彼女がとっさに放った一言が、「ホテル」であり、それが精一杯の悪口だったのでしょう
その言葉こそどうせ、周囲の大人の猿真似だったのでしょうに
ああ、あるいはこのとき、学校以外の二人きりになれる場所で、思いきりケンカしてホンネを言い合えたなら、あるいは二人の人間関係も今とは違うようになっていなのかもしれませんね…
しかし、そうはならなかったのですね
そうは、ならなかった…
学校が、真に人間関係の学びの場であるというのなら、固定したカースト体制を見過ごすのではなく、そういった変化をこそ促進すべきだったというのに…
やはり、体制や派閥を維持するだけの宗教では、真に人を救う宗教的役割を果たせないのでしょう
その現状肯定は、まるで旧ソ連やナチスドイツのようです
そういえば、ナチスドイツでは、ユダヤ人をブタと呼び、障がい者やロマといった体制側の美意識に反しているとされた人々を殺戮していったのですよね
この短編の社会にも、それに通じるところがある気がします…
作者からの返信
長い文章でのご感想をいただくことが、ご迷惑などいうことはまったくありませんので、どうぞご安心いただければと思います。むしろ、こんなに読み込んでいただけること、コメントをいただけること、いつも大変ありがたく思っております。本当にありがとうございます。
そして奏山さんが切子さんに対して、なにか自分より上回るような気配を感じていたのかもしれないということ、正直申しますとそこまで書いていて気づけなかったのですが、言われてみればその通りであるかもしれないと思いました。
奏山さんのようなタイプにとって、自分にとって心底どうでもよく絶対に脅威にならなそうな人間はそもそも視界に入っていなさそうですし、神田さんに気にかけられているところからしても、もしかしたら切子さんにはそういうポテンシャルがもともとあったのかもしれませんね。
「楽園喪失」というお言葉はもうほんとうにその通りといいますか、その表現が自分で思いついていればよかったなと思いました。少女たちの世界はいつでも、小さくいびつな楽園で、だからこそ、そこでの立ち位置の変更はまさしく楽園を喪失することに他ならないと思います。
でもその楽園はとってもいびつなので、おっしゃる通り、他人のマウントを取ることでごく一部の少女たちのなかで勝手に成り立っているのかもしれません。
「ホテル」という悪口が精いっぱいであったことも、たしかだと思います。彼女のなかでは必死に考えた言葉だったのでしょうね……。
そんな奏山さんだからこそ、「裸の王様」のごとく、素肌を晒して服も着られない馬の立場になったのかもしれないですね。
固定された体制は、真実の意味での交流を妨げると私は思います。
ほとんどの場合、理念や理想は悪くなくて、でも人間が運用していくシステムである「体制」となるとどうしても、人間の本来もつさまざまな問題が出てくるものですよね。
この短編の社会も、おっしゃる通り、そういった社会に通じる性質をもったものであると思います。