ヴォカリーズ

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Sergeiセルゲイ Vasil'evichヴァシリエヴィチ Rachmaninovラフマニノフ(1873-1943年)


 ロシア出身の作曲家であり、ピアノ奏者。卓越したピアノ奏者として評判が高い。

 作曲家としての作品は、ピアノ曲が主で、前奏曲やピアノの協奏曲第二番で、その名を世界的なものとした。

 その後、1917年の革命でロシアからアメリカに亡命。晩年はロシアに帰る希望をもちつつ、その実現をみることなくハリウッドで没した。

 同時代、新しい音楽を求めて模索をする方向が主流だった中、チャイコフスキーの伝統をうけつぐモスクワ楽派の一人で、その作風は、抒情性とセンチメンタリズムを特徴とする。



 ヴォカリーズは、1912年にラフマニノフが作曲した「歌曲集 作品三十四」の第十四曲。女流詩人であるマリエッタ・シャギニヤンから「レ」(音階名)の署名で手紙が送られてきたことから始まった文通において、ラフマニノフの希望に従って、彼女がいくつかの詩を推薦してくれたという。

 現在使われているヴォカリーズのみ、1915年の改訂版である。


 ヴォカリーズとは、本来は歌唱の練習のために、声楽曲の歌詞を歌わずに母音の「ア」の音でメロディを歌うことを意味する。この曲は歌詞の意味から解放された音楽を志向した、当時のロシアの象徴主義の影響がうかがえる。ロシア民謡のイディオムを十分活用した、甘くしっとりとした趣の深い曲である。

 現在は、さまざまな楽器の独奏、管弦楽、合唱曲などへの編曲が行われている。



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