波はささやき

▶▶▶04

Claudioクラウディオ Giovanniジョヴァンニ Antonioアントニオ Monteverdiモンテヴェルディ(1567-1643年)


 イタリアの作曲家。ルネサンスからバロックへの過渡期において、さまざまな重要な改革を行った。まずはマドリガーレ*において、それまでの作風を確立しつつ、音楽に対する言葉の優位性を強調した。また、オペラにおいて、楽器法を拡大し、更に劇的部分ではレチタティーヴォを用いるなど劇的表現を追求した。彼は九巻のマドリガーレ集を刊行。その他の歌曲等も含めると二四七曲の世俗作品を作曲した。


 「ecco mormorar l’onde波はささやき」は、モンテヴェルディが二十三歳の時に出版した、マドリガーレ集第二巻に収められている。伝統的なマドリガーレ手法を用いながらも、モンテヴェルディの天才を感じさせる傑作。光彩を感じさせるメロディライン。音楽は詩の表現をそのままに、まさしく音の絵画そのものである。



Ecco mormorar l'onde

(波がささやき)

e tremolar le fronde

(そして葉が揺れる)

a l'aura mattutina e gl'arborscelli.

(朝の風に そして茂みが)

E sovra i verdi rami i vaghi augelli

(緑の枝の上には愛らしい鳥たちが)

cantar soavemente

(歌っている やさしく)

e rider l'oriente

(そしてほほ笑むのだ 東方が)

ecco già l'alba appare

(もう朝焼けが現れた)

e si specchia nel mare

(海に映っている)

e rasserena il cielo

(空は明るくなり)

e imperla il dolce gelo

(そして爽やかな露の真珠が)

e gl'alti monti indora.

(高い山々は染められる)

O bella e vagh'aurora

(美しい曙に)

l'aura è tua messagiera,e tu de l'aura

(朝焼けはあなたの使いだ あなたは私の朝の風だ)

ch'ogn'arso cor ristaura.

(すべての燃える心を癒してくれる)



*マドリガーレ:イタリア発祥の歌曲の形式。時代によって二種類に分けられる。モンテヴェルディのマドリガーレは後期に当たる。


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