異世界の神様は激おこです

水羊羹

俺たちの冒険は、エンジョイ&エキサイティング!!

とりあえず、思いつきで書いてみました。


_____


残業の上ようやく自宅へ帰宅した週末の夜11時、ネットでの友人達とオンラインゲームで遊ぶ為に起動ていたゲーム機をネットに接続した。


以前からやり込んでいるゲーム、「ソードアンドマジカルオンライン」で、今まで謎だったとある法則が判明したとの事で、仲間内でパーティを組んで試してみようという事だった。


この「ソードアンドマジカルオンライン」は、中世をイメージしたファンタジーワールドキャラでスキルを組み合わせたキャラクターを育成しつつ、さまざまなクエストをパーティを他のユーザーたちと協力してクリアする「オンラインモード」と、それとは別にあらかじめ用意されている6つの種族(職業)とから1人を選び、オンライン上のラウンジにいる仲間のうち、2人から6人のパーティーを組んでクエストをクリアしクリアタイムとスコアを競う「タイムアタックモード」があった。


とある法則が見つかったと言うのは、「タイムアタックモード」で選択したキャラクターのゲーム開始時の所持アイテムがランダムに切り替わると思われていたのだが、実はアカウント名とは別に登録するキャラクターネームの50音に振り分けられた数字の合計数で、ゲーム開始時に所持している「使い切りの敵を攻撃するスクロール(魔法)」と「HP回復ポーション」の数が増減すると言うものだった。


みずようかん→スクロール1枚 ポーション1本

みみずようかん→スクロール2枚 ポーション2本


みたいな感じだ。


まぁ、そんな法則でタイムアタックに少しばかり有利に出来るとの事で、キャラクターネームに凝る事になるのだが、その結果がまさかこんなことになるとは夢にも思わなかったが…


オンラインゲームのサーバー毎に用意されたラウンジの1つに、早めに集まった仲間がチャットルームを作っていたので、いつも通りのパスワードを入れ入室するとどうやら俺が最後だった。


〉キタキタ、おそーい

〉社会人は忙しいのだ

〉まぁまぁ、みんな情事があるからね

〉スマヌ、遅れた

〉ブラックおつ〜

〉べ、べつに待ってなんかいないんだからねっ!

〉待ちかねたゾ!


など、めいめいで好き勝手な発言が通常運転で、ある意味心地よい。


さて、週末とは言え正直もう若くは無いので、1、2回潜れれば良いぐらいの気力しか残ってないが。

さすがにここ数年の付き合いの付き合いのある気心を知れた仲間達には、


〉さてみんな、哀れな社会人が寝落ちする前に、今日のミッションを最速でクリアして、

〉ランキングを塗り替えするとしようぜ!

〉みんな、覚悟はいいか?俺は出来ている!

〉大丈夫だ、問題ない

〉れっつ、ボルトイン!

〉世界を革命する力を〜

〉さー始まるザマスよ?

〉地獄に付き合ってもらう

〉それじゃ、張り切って行こうぜ‼︎


そう言い放った後、タイムアタックモードにキャラクターネームを登録し、そこで記憶が途切れた。



「いい加減に起きて!」

声の主なのか、誰かが俺の両肩を持ち乱暴に揺らしている。イケボな声に何故、俺はゆすられているのだろうか。

「おい、いい加減に起きろ、この…の、ノー・パンママ!」

…おいおい、いくらなんでも俺はパンツは履いているし独身だぞ?…にしても、ノー・パンママって…ちょっとまて、残念なそれは俺のキャラクターネームだ!


一気に覚醒し目を開けると、目の前にマッチョなのに内股なソードマン姿の男が、俺の華奢な肩を揺らしていた。

そして頭の上には、キャラクターネームの「フリチ・ンマン」の文字があった。


周りを見ると、酒場のような雰囲気(何故か変換できない)の場所で、ソードマン以外にシーフ、サムライ、マジシャン、ヒーラーの姿が見え、心配そうに俺の事を見ていた。

口々に「やっと起きたか、心配したぞ」などと声をかけてくる。

そんな声を聞きつつ俺は、皆の頭上に表示されている皆キャラクターネームを眺めていた。


どのキャラクターネームもおかしいと言うか、ヤバい。

ちなみに、

女アーチャーの「ノー・パンママ」は俺の事でIT土方だ。

男ソードマンの「フリチ・ンマン」はお嬢様な高校生だったはず。

女シーフの「ニクボ・ウマン」はの還暦を過ぎたおっさんと以前聞いた事がある。

男サムライの「モロダ・シダン」は女性家事手伝いと仕事をボカシてる。

男マジシャンの「インラ・ンパパ」女性薬剤師で、仕事場での愚痴を聞いた事がある。

女ヒーラーの「ロシュ・ツキョウ」は男性郵便局員だったと思う。

…自分の事を含めて改めて、本当に酷いキャラクターネームだ。

そんな事を考えるていると、頭の中に声が響いてきた。


『みなさん、私は怒っています。言うなれば激おこです』


「え…今時、激おこって…」とドン引きのお嬢様。

「やめろ、それ以上イけない」はと何故か意味が違うように聞こえる発言の薬剤師。

「デュフフ、拙者もう…」とサムライっぽい口調のチョイスが間違っているのは家事手伝い。

「ちょっと、この格好、胸の締め付けがTMレボリューション…」と下着の食い込み具合を確認しようとする還暦オヤジ。

「ふぅ、熱い熱い」と無意味にはだけようとする郵便局員。

「なんなのこの性別逆転しているのに、何で男が女性ボイスで女が男性ボイスなの?しかも、デフォルト設定の人気声優の声で聞こえるしっ‼︎」と地団駄を踏む俺。


もう、酷くカオスな状況である。


『私は、この世界の神です‼︎ この世界を救うために活気盛んな貴方達を…貴方達を召喚しましたが、間違えた者達を召喚してしまったようです』と涙を抑えたような声色。


「勝手に召喚した癖に、予定が狂ったからと言ってヒドくないですか?」

「アタシ達、このゲームでタイムアタックしようとしていただけなのに!」

「働きたくないでござる‼︎!」

「この娘、巨乳かと思ってたのに、虚乳なのか?もしかして、男の娘なのか⁈」

「これが…私?」

「みんな!煽り耐性の無い神様をdisるのはやめて! あと、現実逃避せずとりあえず戻ってきてくれ…話が進まね〜(泣」


『…それに、大体何ですか?貴方達のふざけた名前は‼︎』と少し怒りを抑えた声色。


「そう思うのなら、さっさと我々を元の世界に戻してくれんかのう?」

「タイムアタックスコアボードに伝説を残す為に必死に名前を考えたのに…ヒドくない?」

「TSとか興味なかったんだけどなぁ…ふぅ…」

「サムライ、サムライ、ブシドー‼︎」

「あぁ…今日はリアタイでアニメ見れると思ったのにっ‼︎」

「…なんかスンマセン、もう勝手に話を進めてください」


『コホン。本来ならこの世界を救って貰う為に召喚したのに、私はこんな…いや、いかがわしい名前をしてもの達の名を…恥ずかしくて後世に残す事は許せません‼︎』と口惜しそうな声色。


「はいはい私が悪うござんした〜」

「1㎜くらい悪いとおもってるよ」

「仕方ないから謝ってあげるよ」

「反省してるっピ❤️」

「さ〜せんした〜反省してま〜す」

「それでは、元の世界に帰してく…」


『ムキー‼︎ でも、貴方達を元の世界に戻すのには力が足りません。せめて四天王のうち1人でも倒してくれれば十分足りそうなのですが…」と希望が少しはありますよ的な声色。


「ちなみに、死に戻りはあるのでしょうか?」


『ふぅ、貴方たちはこの世界の住人では無いので、死んでしまった場合、私の力の無い現状では、この世界の彷徨える何かになりますし、貴方たちの元の世界ではゲームをしたままで失踪した形になっていますよ?』と、ふと、何かを思い出したような嘲笑いを含んだ声色。


「いや、ちょっと待って、それはヒドくない?」

「ゲームをプレイしたままの状態だと、この名前でプレイ中のままで失踪というコト?」

「家族に見られるのは、正直不味い」

「ログは消さないとしても、せめてHDDは物理的に…」

「このまま、ここの名前で生きていくのは地獄だし

元の世界に戻らないと社会的に死亡か…」

「神様、あのゲームのクエストにある“四天王を打ち破れ!”はこの世界の四天王を倒すのと同じですか?倒せば、我々を元の世界へ戻す力のあるに足りますか?」


『その通りです。あヤツは四天王の中でも最弱…ではありますが、道すがら邪悪な存在を倒す事も含めれば、力の補充は足りるかと思われます。(この世界の住人の目にも止まらぬスピードで倒せたなら、名前の誤魔化しが効きそうでしょうし…多分)と何かを含んだ声色。


「よし、みんな! あきらめるな‼︎ このままではジリ貧だ」

「逆に諦めろと言う気もしなくも無い…」

「進んでクリアしなけりゃ地獄…死んだら…何になるんだろう?」

「リアルなデスゲーム?での最速タイムアタックだね!」

「俺の拳が(以下略」

「わしはこのままで…いや何でも無い」


そんな感じで、いささか後ろ向きな四天王討伐の旅がこうやって始まったのであった。

















_____

ゲームのイメージとして、トレジャーさんのガーディアンヒーローズや、カプコンさんのD&D®︎みたいな感じです。

冒頭だけ考えて文章を書いたものの、結末までの旅路は神のみぞ知るのだろうと思います。

それでは、水羊羹先生の次回作にご期待下さい‼︎

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