第49話 少し発展した村と次の依頼。

49.少し発展した村と次の依頼








んー......このひんやりとした感触......クスラがまた頭の上にのってるな...。


目をあけて頭の上にのったクスラを持ち上げてもちもちする。

クスラの寝るベッドを別で作るべきかなぁ?一緒に寝るのも楽しいんだけど...いつか口を塞がれる事件が起きそうでちょっと不安だな...。


今度ちょっと何か考えるかぁ、取り合えず起きよう。






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「あーいい天気だなぁ。」

朝の準備を終えて外に出て空を眺める。


夏の昼みたいに雲が無く青い澄み切った空が広がっている。

視線を下に落とすと昨日作った家が並んで町並みを作っている。


完成したばかりの家から住んでる村人が出てきては水汲み場に行ったり、狩りへいく準備をしている。



「ケイ殿、おはようなのじゃ。」


声をかけられた方向をみると村長がいた。


「村長、おはようございます。家は問題ないですか?」


「うむ、快適なのじゃ。」

そういって村長はいつも通り家の前にある椅子に座りのんびりし始める。


昨日、村長の家を作り終わった後に他の家も作っていってその後に村長の家の引っ越しを手伝った。

引っ越しといっても荷物は少ないし、その荷物も結界で包んで運んだので全然疲れなかったんだけどね...。


他の村人の引っ越しも手伝おうかと思ってたら既に村の若い人達が手伝って引っ越ししていた。


後は畑も結界で掘り起こして各自の家の裏とか横に畑を移し替えていった。


俺の畑も、家の前にあったのを横側へと移し替えた。前までのままだと邪魔になるからね...。ついでに新しく野菜を作るために苗を植えておいた。

魔石を砕いて育てると一週間ぐらいで完成しちゃうから、今度はどれぐらい魔石で成長が早くなるのか試すためにいつもより混ぜる魔石を少なくしてみている。


まぁ試すってゆっても紙に成長記録を付けるわけでもないし、いつも気づいたら収穫できるようになってるからな......。好奇心で試したいだけだ。



村人の家は完成したが道は砂利道のままだし、家が少ないから空いてるところは多いしでまだまだできそうな事は多いけど......。


どうしようかなぁ。冒険者としての仕事でもしてみるか?正直生きていくだけなら結界で飛んでいって牛を狩って、野菜育てて。この村で十分暮らしていけるんだよなぁ。


地球にいた頃とは違って何か義務があるわけでもないし、ゲームもなけりゃPCもないし。やれることってないんだよな...。


ただ生きていくだけ、そう聞くと退屈そうだけど俺はこの生活が結構好きなんだよね。

人生に波風立たずに、ただ時間が過ぎて生きているだけ。


よく読んでた小説とかアニメや漫画、映画とかではみんな何かしら行動している。


異世界物だとあれかな?ダンジョン攻略したり、見たこともない風景を見るために旅に出たり。主人公はひたすら何か厄介事に巻き込まれてどんどん物語が進んでいく感じ。


俺もそんな物語な出来事に巻き込まれたわけだし......この先なにか起きるんだろうか...。ちょっと不安になってきた。


「うっ......フラグ建てたからか?これは...。」


手にはめている指輪が光っている、これは通信がきてる合図だ...。


『はい、ケイですけど。』


『ケイ?私よ、クラリエよ。』


あー、やばい...一番厄介そうな人から連絡がきた...。


『何よ?何か文句でもありそうね?』


何かを感じたのかクラリエさんの口調がきつくなった。


『いえ、何でもないです。お久しぶりですね、どうかしたんですか?』


『まぁいいわ。ちょっと依頼したい事があるのだけれど、屋敷までこれるかしら?』


『あ、はい。大丈夫です...。』


『それじゃぁ待ってるわね。』


クラリエさんはそれだけゆうと通信を切った。


何かクラリエさんの様子がおかしかったな...?急いでるとゆうか余裕がない感じだった。

何か問題でも起きたんだろうか?


「どうかしたのかの?」


家の前でボーっと突っ立っての出来事だったので村長が気になったようだ。


「いえ...。今、通信の魔道具で連絡がきまして......また出かけないといけなくなったみたいです。」


「ほほ、忙しいんじゃのう。」


「えぇ、まぁ...。また畑の事任せちゃいますね、すいませんがお願いします。」


「構わないのじゃ。畑の事は任せてくれていいのじゃ。」


「はい、お願いしますね。それじゃぁ行ってきます。」


「うむ、いってらっしゃいなのじゃ。」


村長に挨拶をして、自分を結界で包み飛びあがりそのまま街のほうへと飛んでいく。


『ん~?あれ?何で飛んでんの?』


「お?起きたかクスラ。」


『ふぁ、あー...ふぅ。どっか行くの~?』

クスラが大きなあくびをしている...。まだ眠いのかな?


「うん、街にいる人から呼び出されてね...。」


『ふぅ~ん、ま、ええや。街についたらおしえてー。』


「わかったよ。」


それだけゆうとクスラは二度寝に入ったようだ。



街か......何が待ってるのか...。








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ん?何だか街が賑やかだな?いつもより人が多い気がする?ような?


そんな日もあるのかな?



「止まれ!ここは領主の館だ!用が無ければ立ち去るように!」


のんびり歩いていると領主の館についた、館の前には槍を持った騎士が二人立っており門番をしている。

うっ......。どう名乗ればいいんだ...?前はついていくだけで入れたからな...。


「クラリエさんに呼ばれてきました、金の冒険者のケイです。これを、冒険者タグです。」


首にかけている冒険者タグを取り出し門番の人に渡す。


「うむ、話しは聞いている。ここで少し待っていてくれすぐに屋敷の使用人を呼ぶ。」


「はい。」


門番の内の一人が門の横に併設されている詰所っぽい所に入っていった。

屋敷に直接呼びに行くわけじゃないのか?インターホンみたいな物でもあるんだろうか。


どんな物があるんだろう?と考えていると屋敷からメイドが一人出てきてこちらまで歩いてくる。


「ケイ様、お待たせしました。ご案内します。」


「はい。」


メイドの人の後をついていき屋敷に入る。相変わらず豪華な家だなぁ、天井まで何メートルあるんだ?これ......。

高そうな壺に、よくわからない絵。絨毯もふっかふかで、家具に使われている木とかも高級品っぽく見える。

あれもこれも高いやつなんだろうけど、そうゆう物に触れたことが無いので雰囲気でしかわからない...。


「こちらでお待ちください。」


屋敷内をきょろきょろしながら歩いてると部屋についたようだ。ここは......前回も使ったところかな?

メイドさんが扉を開けてくれたので中に入ってソファに座る、すると部屋の中で控えていた別のメイドさんがお茶の用意をし始めた。


「どうぞ。」


「あ、はい。ありがとうございます。」


メイドさんが出してくれた紅茶を飲む。


うむ......うまい。多分。

正直、紅茶のよしあしなんてわからないけど何となくおいしい気がする。


紅茶を飲みながら部屋を見渡す、前回来た時は緊張とかでまともに見れなかったからなぁ。

部屋には玄関にもあったような高そうな家具、絵、花が刺さった壺など。色々あるがやっぱり高そうだな、ぐらいの感想しか出てこない。


あの花は見たことない花だなぁ......。まぁ異世界なんだから当然か...。何考えてるんだ俺は...。


思ったより緊張してるみたいだ、なんてゆうか暇な時間が出来てしまうと変なことを考えてしまう。



ガチャ


「待たせたわね。」


色々考えているとクラリエさんが来た、こうゆう場合って立って出迎えたほうがいいんだろうか?


うーん。あ、考えてる内にクラリエさんが対面のソファに座ってしまった。

すぐに控えていたメイドさんが紅茶の準備をする。


「いえ、そんなに待ってないので大丈夫ですよ。」


「あら、そう?まぁいいわ、早速だけど本題に入るわね。」


入って一息つく前に本題か...やっぱりなにか焦ってるのか?余裕がない感じがするので俺は黙ってうなずく。


「今回あなたに来てもらった理由なのだけれど、護衛をしてもらいたいの。」


「護衛?」

何でまた俺に?ルガード達のがよさそうだけど...。


「そうよ、あなたのスキルか魔法かは知らないけれど防御系のでしょ?」


何で防御系ってしって......そうか...ドラゴン倒した時、思いっきり防御してたな......ドラゴンブレスっぽい何かを。


「はぁ......。まぁ分かりましたけど、依頼の詳しい内容を聞いてもいいですか?」

ここで俺に声をかけたってことは断る選択肢はないんだろうなぁ、断る理由もないからいいんだけど...。



「えぇ、今回貴方に護衛してもらいたいのは私の妹よ。」






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