第47話 各所の点検と錬金スキルの凄さ。
47.各所の点検と錬金スキルの凄さ
「んあっ、あー。」
目を開けると暗い室内...。
見慣れた天井だなぁ、それに空気も...帰ってきたって感じがする。
昨日はティナちゃんと遊んだクスラが家に帰ってきてからよっぽど楽しかったのか、マシンガントークが止まらなかった。ティナちゃんと仲良くなれたようでよかった......言葉は伝わらないがうまくコミュニケーションとれたのかな?
枕元のほうをみるとクスラが寝ている。
今日は......家をどうにかするんだったか......。どうにか...なるといいなぁ...。まぁきっと何とかなるだろう...。
「あー...起きよ。」
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朝の準備を終えて家の外へ出るとちょうど朝日が昇り始めた頃でまだうっすらと薄暗い、恰好は普段着だ。村の中だし鎧は着なくていいだろう...。
畑の方を見ると収穫が終わったのか何もないし次のは植えてない。村長にまかせっきりだったしな...収穫できた野菜は持って行ってくださいとお願いしている。世話させて野菜をよこせとはいえない...それに一人じゃ食べきれない量がとれるしな。そんなわけで俺の畑は俺の物ってゆうより村の物だ。また種を植えておこう。魔石も砕いて入れておかないとな。
クスラは頭の上にのせている...が、まだ眠いのかうとうとしている。昨日はしゃぎすぎて疲れたのかな?
まぁそんなクスラは頭の上に置いといて...何からしようかなぁ。うーん、まずは前に作った外壁と水汲み場と氷室の様子でも見るか?素人が作ったものだし定期的に見ておかないとな...。
何か不具合でも起きていたら大変だし。まずは水汲み場からいこう。
「あ、おはようございますー。」
水汲み場で壺に水を汲んでいる婦人方に挨拶をしつつ様子を見る。朝早くから大変だなぁ。家に水道を付けれたらいいんだがそんな国がするような事業を一人ではできそうもない、知識もないしな。
街から大工とか職人を連れてくるべきなのかな...?来てくれるのか...?
水汲み場には一番上に5センチほどの水の結界が置いてあり、そこから水が溢れ出ている。
ふむ......今回かなり遠くまで出かけたけど結界が解除されてないってことはやっぱ解除するまでそのままってことなのかな?そうなると水汲み場の水に関してはこの先も大丈夫かな?
後は...一番上の段の水が数センチ溜まっている部分を見て端っこのほうを手を突っ込んで触る。
ううむ、ちょっとぬるっとしてるか?定期的に掃除したほうがいいのかな?
飲み水だしなぁ、これは村長に話しておくか。
次は...排水溝だな。
水汲み場を囲むように作った排水溝を歩いてみて回る。U字に型をつくって蓋をかぶせただけなのでどうなるか不安だったが、とくに何とも無さそう...?蓋を持ち上げて中を見てみるがとくに異常はない。
そのまま川の方向へ続いてる排水溝を辿るがやっぱりとくにおかしなところは無さそうだ。
「ん...?」
これは......。
排水溝を辿って外壁までくると気になる所を見つけた。
外壁が重みで沈んでる...?
あー......考えれば当然だよな...?土の上に重い物のせてるんだからそりゃ多少は沈むよな...。基礎があるわけでもないし、作った時には考え付かなかったなぁ。
外壁が沈んでるといっても数センチなので気になるほどではなさそうだけど...。
そういえば地球では家を建てている現場をチラッと見たことあるけど、基礎部分からコンクリートでちゃんとやってるもんなぁ。
基礎は大事...うん、覚えた。
外壁を改めて下から上まで見てみる、沈んだぐらいで他には異常はなさそうかな?
ってか外壁に異常が出たら大変だしこまめに見るべきなのかなぁ?普通の街だとどうしてるんだろ...。
気になるけど取り合えず排水溝を川まで先にみるか。
うん、異常無し。
外壁を結界で飛び越えて排水溝を続けてみたがとくに異常はなかった。
水汲み場から流れる水は一定だから地球でよくみた排水溝と同じぐらいの大きさでいけてるが...。みんな生活用水ってどうしてるんだろ?トイレとか...お皿洗った水とか......。もっと早く気付くべきだったな...。もしかして川まで行ってるんだろうか?
これも後で村長に聞かないとな...。
あれ...?そういえば俺の家は水道があったよな...あの排水はどこに行ってるんだ?お風呂の水とか......。
気にしないでおこう、神様が用意してくれた家なんだ。神様パワーでどっかに消えてるんだろう、うん。
取り合えず戻って外壁をぐるっと回って見よう、極端にどこかが沈んでたら対処しないと。
うーん。とくに異常は無いな。ゆっても作ってからまだそんなにたってないし、はっきりわかるような異常は出てこないのかな?外壁にひびが入ったりはもっと年数が経たないと出ないかな?
結界でゆっくり飛びながら外壁をぐるっと、外と内の両方を見てきた。やっぱり多少沈んでいたがそれ以外は異常らしい異常はなかった。
それでも唯一あるとすれば外壁に上る階段もちょっと沈んでるので1段目が昇りにくいかな?ってぐらいだ。
外壁はこんなもんでいいかな、また定期的に見ておこう。
最後は氷室だな。
『さむっ!!』
お?
『起きたか?』
『何なんここ!寒いんやけど!』
うとうとしていたクスラが氷室の寒さで起きたようだ。まぁ確かに冷蔵庫にはいってるようなものだからな...。
『氷室だよ。食料を保存している場所。』
『へぇーってそんなんどうでもええねん!こんなとこいられるか!うちは外に行かせてもらうからね!』
そうゆうやいなやクスラは頭の上から飛んで外へいった。
何だかホラーで最初に死ぬ人みたいなセリフだな......。
まぁいいや、食料の確認をしよう。
氷室の中には生のお肉を冷凍した物と野菜がいくつか、それに乾燥したお肉も吊るされている。
結構保存されてるなぁ、それにここも氷の結界の効果はきれていないようだ。
壁も崩れそうな気配もないし大丈夫そうだな。
他に確認するところは......無さそうかな。村長に話しにー...行く前に家の事か...。
取り合えず寒いし外に出よ。
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「あははははは!」
「ん?」
氷室がある地下から階段を上り外に出ると子供の笑い声が聞こえる。
あ、ティナちゃんとクスラと...たまに見かける子供達か。
何か楽しそうに遊んでる。追いかけっこかな?鬼ごっこなのかな?
異世界の遊びか......ちょっと気になるな。異世界の子供はどんな遊びがあるんだろう?
楽しく遊んでるようだしそっとしておこう。
それじゃぁ確認も終わったし一番の問題の家づくりを考えるか、といってもスキルでどうにかできないか考えるだけだが。
前回の外壁建てたり、水汲み場作った時は結界に属性付与してコンクリートを出すってゆうかなりむちゃな使い方をしていた。
けど今回は新しく錬金スキルがある、分解に構築。
これで何とかしよう。
スキルは使う人の想像次第で大体何でもできる。イメージが力になる感じだ。
だから結界を無茶な使い方出来た。
まずは構築を試す、素材が無くても物を作れるのか。無から有を作り出せるのか。
地球にいた頃見ていたアニメでは等価交換だったが異世界ではどうなるやら...。
何か起こっても大丈夫そうな自分の家の横で実験をする。
構築...何を作るか。家を作る材料...。石と木?
石と木といっても材質とかがありそうだし、そのへんはどうなんだろ?木は...よく聞くのはヒノキだ。お風呂に使うとすごくいいって聞くけど家の材料に使うのはどうなんだ?ってそもそもヒノキが出せたらの話しか。
まずはとにかくやってみよう。
頭の中で建築材料の木をイメージしてマナを込める。
『構築』
「んあ?この感じは...。」
スカっと何かを外した感じ。結界で色々試したときも感じたこれは...。
無から有は生み出せないってことか。
つまり構築は無から何かを生み出す物じゃなくて、既にある物を別の形に『再構築』するって感じのほうが近そうだな。
じゃぁどっかで石と木を取ってこよう。村の中にあるやつは他の事に使うかもしれないしな。
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「こんなもんでいいかな?」
目の前には数十本の木と少し大きめの石がごろごろとある。
ちょっと遠くの森で木と石を集めている最中に気づいたんだが錬金の『構築』じゃ無から有が生み出せないってことがわかっただけで、『構築』で木が加工できるのはわかってないんだよなって。なので途中で気づいた所で木を取るのはやめた。
後、石も結界で出せるじゃんって気づいたので集めるのはおしまいだ...。
今度からもっとよく考えてから行動を起こそう...。
「はぁ...。やるか。」
落ち込むのは終了してさっさと続きをしてしまおう。まずは家を建てると言えば基礎部分だ、今日学んだ...。
でも基礎ってどうやればいいんだ?地面の下にコンクリートでも埋めるのか...?
わからんな...。
うーん、ちょっと考え方を変えよう、基礎って何でいるんだ?家が...傾かないようにするため...?土の上に家を建てると重みで沈んで傾く...。だけど大きな石の土台の上に建てれば沈んだとしても水平を保てる......?多分。
家の重みで石の土台ってどれぐらい沈むものなんだ...?地球に住んでた頃は考えたこともなかったな...。
よく家の中でビー玉を転がして家が傾いてるー何て話しを聞いてたが実際試したことも無ければ気にしたこともなかった。
そういえば家を建てている現場では基礎のコンクリートの部分で既に間取りを割り当てていたよな...?あれって何でなんだろう...?
ダメだな知識が無さ過ぎて何もわからん...。街までいってそうゆう本を買ってくるべきか?
うーむ、取り合えず小さな小屋でも建てれるか試してみよう。
まずは家の横、少しだけ離れた所の土地を結界で土を持ち上げて掘る。どれぐらいにしよう?50センチぐらいでいいのかな?取り合えずそうしてみよう。
深さ50センチの縦横10メートルぐらいの真四角だ。そこに集めてきた石を敷き詰める。
ちょっと足りないかな?まぁ足りなければ結界で属性付与して外壁作った時みたいにコンクリートを出すか。
あれ...?そういえばこうゆう建築の時ってコンクリートの中に鉄筋が入ってるよな?たしかコンクリートが壊れないように補強だっけ?
うーむ...ん?何で地球の素材で考えてたんだろう?ここは異世界なんだし、錬金スキルの『構築』で、できる物がコンクリートとは限らない。何かファンタジー素材で普通の石とは違って壊れにくいのとか作れるかもしれないんだ。
イメージだ、イメージこそぱわー。
創造する。不壊とまでは行かなくてもいい、めちゃくちゃ壊れにくい材質の石ってゆうのをイメージして...。
ぬぬぬ......。
『構築』
「お?」
敷き詰めた石がうにょうにょと動きだし、溶けて混ざり合って形を変えていく。
高さ1メートルほど、縦横10メートルの石の囲いが出来た。最初に50センチ掘っているので地面から飛び出してる部分は残り50センチだ。多分...。
いくら結界でイメージして50センチ掘ったからってほんとに50センチかはわかんないしな。
でもこれで『構築』で出来るのが分かったな。この分だと木でもできそうだな。
耐久面はわからないけど...。一番大事なとこなんだけどなぁ...。こればかりは使っていくうちにしかわからない。
次に木を5本ほど、今建てたばかりの基礎部分に入れる。
イメージするのは小さい山小屋みたいな。納屋みたいな小屋...。
ややこしいな、小さな小屋でいいや。
雨や風に強い材木で出来た小さな小屋...。
右手を前にだして念じる。
『構築』
「おー。」
石の基礎の時は規模が小さかったので派手さはなかったが、木の『構築』はすごい。
基礎部分の石を巻き込んで木と繋がって小屋が出来上がっていく。基礎部分を作るときは入口をどこにしようか考えずに作ったから周囲全部が地面から50センチ飛び出していたが。
木と一緒に巻き込んで『構築』されることによって正面やや右に入口が出来ていく。
これって木と石とかどうやって繋がってるんだ...?接着剤...?
錬金で再構築されてるから釘も必要ないってことなのかな?だとしたら楽でいいけど...。ちょっと強度が不安になってきた。
そんなことを考えている間もどんどん小屋が出来ていく。
基礎部分からせりあがるように木が繋がっていき、屋根ができて。ガラスははまってないが窓の部分も出来てる。
おー...普通に小屋が出来ちゃったな...。これもしかして材料さえあれば基礎部分もわける必要なくて一気に家が作れたりしちゃう?
え...?錬金ってチートスキルじゃね......?
マジやばくね?
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