第37話 道中。

37.道中







森の家から飛んでいくこと暫く、昨日いた街が見えてきた。日はまだ昇っていないが門は既に開いていて馬車が数台に冒険者の姿も見える。

そういえば未だにこの街の名前を聞いてないな...。いい加減誰かに聞くか...。


街に入る前にルガードに連絡入れるか。

指輪にマナを流してっと。


『おう、聞こえるぜ。』


『ルガードか?』


『おう、ケイか?』


『あぁ、ケイだけど。街についたんだが、どこに行けばいい?』


『おー、着いたか。西門分かるか?門の外で待ってるから来てくれ。』


『わかった、すぐに行くよ。』


『おう!』


流していたマナを止めて西門の方へ飛んでいく。

この通信の指輪ってやっぱり便利だしもう一個欲しいな。森の家にいる村長に渡したい。そうすれば何かあれば連絡とれるしなぁ。ルガードにどこで買えるか聞くか。


街中を飛ぶのは流石にやばそうなので、街から少し離れたところを飛んで西門へ向かう。西門は以前魔物の大群が攻めてきた場所だが...飛んでいてもわかるぐらい地面が所々、でこぼこしている。地面に生えてる雑草も所々焼けて茶色くなってる。


ただ、みんなが通る道はちゃんと整備してるのか、真っすぐ綺麗に西の方へ道がひかれている。

道には冒険者と馬車の姿が何人か見える。その中にでかいルガードが見える。

背が高いから一瞬で見つけれるな...。


「おーい、ルガードー。」

結界で飛びながらルガードに手を振りつつ近づいて近くに降りる。周りには一緒に依頼にいくメンバーがそろってる。フェイにアキリスにドリスにネレ。既に全員揃っていたようだ。


「おう、来たかケイ。」


「ケイ! ねぇねぇ!今飛んできたの!?」


「お、おう? ネレは朝から元気だな...あぁ飛んできたよ?」


「すごいね~! 私も飛びたい!」


「まぁ今度ね?」


「えぇ~わかったー。」


「遊ぶのは後にして取り合えずいくぞ!みんな馬車に乗れよー。」


馬車があるのか?

ルガードの後ろを見るとこの間クラリエさんとこに行くときにルガードが乗ってたクマっぽいのがいた。


こいつが馬車を引くのか...?

そう思い馬車の方をみると、これまたでかい。バスぐらいある。

装飾はそれほどされてないが、よく見ると枠に柄が入ってたりする。高そうな馬車だな...。


みんなは慣れているようで馬車に乗り込んでいく。


「ケイ!いくぞ。」


「おー、今いく。」


色々気になるがそれは後にして取り合えず乗ろう。






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「なぁ、色々気になるんだが聞いていいか?」


「おう?なんだ?」


馬車に乗り込み少し進んだあたりで御者をしているルガードに話しかけるため、御者席に一緒に座る。

馬車の中は広かった。外から見る以上に広いので多分異世界物でよくある拡張空間ってやつだと思う。アイテム袋もチートだったが。この拡張された空間も中々に不思議空間だし。チートってゆうか。理解が追い付かない。

きっと高いんだろうな...この馬車。


「まぁ取り合えず、なんでルガードが御者してるんだ?」


「あー、そこはあれだ。御者は順番でやってるからな。そのうちケイにもやってもらうぞ?」


「え? まじで? 御者とかやったことないんだけど。」


「あぁ、大丈夫だ。こいつは頭がいいからな。こっちが話してることもわかるし。ほぼ手綱を握ってるだけだぞ。」


「そうなのか...ってゆうか。その生物もだよ。こいつは何なんだ?」


「こいつか?こいつは...グリーシスって種類の生物でな名前はシューだ。」


「グリーシスのシューか...。」

見た目は完全にクマなんだよな...。毛が黒くて額に白い模様が入ってる。

毛がもっふもふだなぁ。撫でたい。


「ルガードが飼ってるのか?」


「そうだな。一応みんなで世話をしてるが。俺の従魔として登録してあるぞ。」


「暴れたりはしないのか?」


「そりゃ機嫌が悪い時もあるが。基本暴れる事は無いな。誰かに何かされたら反撃するぐらいだな。」


「へぇ。いいなぁ従魔。シューとはどうゆう出会いだったんだ?」


「シューとか?こいつとは依頼の途中で出会ったんだ。シューが暮らしていた群れがな、他の魔物に襲撃を受けてシューが独りぼっちになってたところに、襲撃を仕掛けてきた魔物を倒す依頼を受けた俺たちがいってな。生まれたばかりでこのままだと死にそうだったこいつを拾って育てたんだ。」


お、おおう。思った以上のエピソードが出てきたな......。もしやルガードって主人公キャラなのか...?

そんな感動エピソードを持ってるとは......。


「そうゆうのってよくあるのか?魔物を拾って育てるって。」


「いいや?普通は従魔屋で買うだろうな。」


「従魔屋?魔物を買うのか?」

ペットショップみたいな物だろうか?


「あぁ、従魔用に調教された魔物を買うんだ。愛玩用から、戦闘用まで色々あるぞ?」


「へぇ、いいなぁ相棒って感じで。」


「まぁな、世話したりするのは大変だがいいもんだぜ。」


「後でシューを撫でてもいいか?」


「あぁ撫でてやるといい、シューも喜ぶだろう。ちっちゃい頃から可愛がってたからか人懐っこいんだよな。」


そう言いながらルガードは少し照れ臭そうにへへっと笑ってる。が、でかい顔面いかつい男がそんな仕草をしても可愛くなかった。


「そういえば結局なんの依頼に行くんだ?」


「あ? 言ってなかったか?」


「聞いてないが...?」


「がはは!忘れてたな!」


「おい!」


「まぁ落ち着けよ。ってゆうかケイも出発する前に聞けばいいのによ。」


「う、いやぁ...ね?他に気になる事が多すぎて忘れてたんだよ。」


「何だよ、気になる事って?」


「シューの事とか、後はこの馬車だよ。どうなってんだ?これ。外から見るより中が広いけど、これも魔法効果か?」

バス並みの大きさの馬車の中は外から見た大きさの2倍ほどの中の広さになっている。でかいルガードでも広々と使えるレベルだ。

中には荷物がいくつも置かれていて武器なども置いてある。


「あぁ、そうだ。すごいだろ?」


「そうだなぁ、一体どうなったらこうなるんだ?」


「詳しい事は知らんが、空間魔法の使い手が作った、魔道具型の馬車だな。」


「空間魔法か...。強そうだな。」


「そうかもなぁ。ただ戦闘には向いてないらしいが。」


戦闘には向いてない......?何でだろう考えれるだけでかなり使い道がありそうなもんだが。


「それよりも、今回の依頼だよ。今、話しておくか?」


「お? 今じゃなかったらいつ話すんだよ?」


「途中で昼飯食べるのに休憩するからな。そん時にでも話そうかと思ってな。そっちのほうが落ち着いて話せるだろ?」


「そうかもなぁ。そうするか。」

依頼は気になるがここでサクッと聞くより、落ち着けるところで聞いた後に質問とかもしたいしな。大人しく待ってるか。


馬車は森の中を進んでいる。右を見ても森、左を見ても森。

木の種類なんて知らないが。普通っぽい木だ。茶色い幹にがさがさした表面。

葉っぱは緑色。時々木の実がついてる木を見かけるぐらいで。残りはほとんど葉っぱだけの木だ。花が咲いたりするのかな?







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「よし、そろそろ休憩にするか。もう少し行ったところに広場があるからそこで止まるぞ。」


「おー。そうゆわれるとお腹がすいてきたな。」

暫くボーっとしつつ、たまに他のメンバーとも世間話しているとお昼になったようだ。


視界全てが森だったが、少しすすむと開けた場所に出た。広さは普通に草原レベルで、かなり広い。他にも利用者がいるようで馬車が数台見える。


「よし、んじゃ昼飯にするかー!」


「お昼ご飯だー!」

馬車を止めたルガードが声を上げると馬車からネレが元気よく降りてきて、その後に他のみんなが降りてきた。


「お昼か...何すればいいんだ?」


「おう、じゃぁ馬車から荷物おろすの手伝ってくれるか?」


「わかったー」


馬車から荷物おろすのか...。馬車の方を見るとフェイ達が馬車の後ろを開いて荷物を降ろしてるのが見える。


「フェイ手伝うよ。」


「ありがとう、ケイ。じゃぁこれお願いね?」

フェイはそういって荷物を渡してきたのでみんなが集まってる場所までもっていって降ろす。


これは、椅子か?それに周りには焚火台に折りたたまれた机に食材が飛び出てる籠。

まるでキャンプだな...。

アキリスやドリスが椅子を広げてるのを見て、見様見真似で同じように椅子を広げていく。


椅子はもろにキャンプで使う椅子の構造だ、鉄のパイプが何本かあってそれに布が張られている。これは長椅子タイプだな。

焚火台は映画とかで中世時代の戦争物の時によくみる感じの、X字の鉄パイプが二つあってそこに棒のパイプがのせてあってそこに鍋を下げる形のやつだ。


椅子や机に焚火台が完成して少し待ってると、ルガードとネレが広場から近い森から枯れ木を拾ってきたようで、森から木を何本かもって出てきている。


フェイとアキリスはお昼ご飯を作っている。

みんながテキパキと動いて慣れているので。俺が参加する隙がない。

なのでまぁ椅子に座ってゆっくりする。


料理は野菜にお肉を入れた鍋に味付けをして、具沢山のスープっぽい。おいしそうだ。




「出来たわよ、食べましょう。」


「やったー!ご飯だー!」


フェイがかき混ぜていた鍋が完成したらしい。それぞれのお茶碗に料理を入れていく。


「はい、どうぞ。」


「ありがとう、フェイ。」


フェイから料理を受け取って料理を見る。うむ、おいしそうだ。

キャベツの様の野菜に芋、お肉は鶏肉っぽい。


「いただきます。」


スープと一緒に野菜を口に含む、野菜のシャキッとした歯ごたえに、芋のホロっとした感触。スープも塩味にお肉の出汁がでていておいしい。


「はい、パンもどうぞ?」


「お? ありがとう。」


フェイがみんなにパンを配っている。パンは外は硬く、中は柔らかい。

日本のフランスパンみたいな感じだ。


それから暫く食事を楽しむ事にする。




「ふぅ、お腹いっぱいだ。ご馳走様。」


「おう、全員食べ終わったか?」


「えぇ、ご馳走様。」


「お腹いっぱいだよー。」


アキリスとドリスも頷いている。


「んじゃ、今回の依頼について話すか、ケイ。」


「おう、みんなはもう知ってるのか?」


「あぁ出る前に話したからな。」


「じゃぁ聞いてないのは俺だけか。」

後から合流したからなぁ。


「ま。そうゆうことだな。」


「んで、何の依頼なんだ?」




「おう、今回行くのはな。 オークの巣のせん滅だ。」









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