第36話 何かしらの依頼。
36.何かしらのクエスト
「おう、来たかケイ。」
ルガードに呼ばれてからすぐに街まで戻ってきた。帰りは門から出てすぐに結界で飛んでそのまま街の門前に降りて中に入った。門番や道行く人が少し驚いてたが気にしない事にした。
「おー、来たぞ。」
ルガードはお肉を食べつつお酒を飲んでいるようだ。すでに食べ終えたお皿が何枚か積まれている。話しかけつつルガードの正面に座る。
「お?何だケイ、防具買ったのか?」
「うん、流石にあのままの恰好じゃね?」
「がははっ、確かになあの格好じゃ冒険者に見えなかったもんな。それはブラックワイバーンか?いい装備を買ったんだな?」
経験からか、ルガードは一発で防具の素材を言い当てた。
「あぁ、お金ならあったしなー。それに怪我するのは嫌だしな、いい物を買っておきたかったんだ。」
まぁそれならさっさと防具買えって話しなんだが...。今までは上空に常にいる感じだったし危険が少なかったんだよなぁ。これからはルガード達とどっか行くことあるだろうし何があるかわからないからな。
「そうだな、中途半端な防具買うぐらいならいい物買ったほうがいいな。それは魔法効果ついてるのか?」
「あぁ洗浄効果ついてるやつを買ったよ。」
「おう、基本の魔法効果だな。」
「うん、汚いのは嫌だしな。」
ルガードと話しつつ、店員さんにお肉と飲み物を注文する。この世界に来てからお肉ばっかりだな...魚...。やっぱ海がある街まで行かないと無いのかな?
「あ、ケイだー!防具買ったんだね?かっこいいよ!」
「お、おう?ネレか。ありがとう。」
ルガードと話してると後から他のメンバーがやってきた。ネレにフェイにアキリスにドリス。勢ぞろいだ。
みんなが挨拶をしていき椅子に座っていく。それぞれ果実酒やエールなどを注文していってる。
「ケイは今日何してたの?」
隣に座ったフェイが果実酒を飲みながら話しかけてきた。すらっとした体に少し露出がある服装のエルフ...。女性にあまり慣れてない俺からしたら対応に困るな...。
「あ、あぁ。今日はダンジョンに行ってきたよ。様子見にね。」
「あら、そうなの?何層までいったの?」
「5階層だよ。」
「へぇ、どうだった?初めてのダンジョンは。」
「んー。思ったより綺麗だよねダンジョン内、壁も地面も綺麗だし。ただ景色が変わらないから一人だと退屈だったかな?」
「あー、低階層だとそうだねぇ。」
「低階層だと?深くなると変わるのか?」
「そうなのよ、深くなるとね罠があったり。外だとしか思えない草原に出たり。色々変化があって楽しいのよ?」
「へー、そうなのか...そういえばダンジョンに入る前に貰った紙にも草原があるって書いてあったな。それは何階層辺りからなんだ?」
「50階層から罠と草原の階層が出てくるわ。」
「50階層かぁ...先は長いな。」
「そうね~、でも既に50階層まで行ってる人についていけばあなたも50階層にいけるわよ?」
「そうなのか...?でもそれって大丈夫なのか?分不相応のところに行く人とかが出てくるんじゃ?」
「まぁそのへんわね~。何かあれば連れて行った人が責任を取る事になるし。ただついていった人はその後一人でその階層行けるわけじゃないし。結局は自分自身の力でその階層まで行かないといけないんだけどね。」
「へぇ、じゃぁずるはできないようになってるのか。」
「そうね、ずるはできないわ。」
「そういえばフェイ達は何層まで行ってるんだ?」
「私達は、今75階層ね。」
75層かぁ...かなり深いとこまで行ってるんだなぁ。
フェイと話しながら周りを見てみると、ルガードはドリスやアキリスと話しながらもずっと食べながらお酒飲んでるし。ドリスもルガードに負けず劣らずお酒をがぱがぱ飲んでる。やっぱりドワーフってお酒好きなのかな?
アキリスは静かにお酒を飲んでいて絵になる...ネレは...寝落ちしてるな...。お酒に弱いのか?
「そういえば、ルガード。昨日に続いて今日の呼び出した理由は何だ?」
「お? あー、そうだな。そろそろ話すか。昨日話したと思うが...。いきなりダンジョンにはいかずに何かクエストを受けようって。」
「そういえば言ってたな、色々教えてくれるって。」
「おう、それでな。明日にでも何かしらの手ごろな依頼でも受けて行こうかと思ってな。行けるか?」
明日か...。森の家に2日帰ってないんだよなぁ。そろそろ一回帰りたいと思ってたが、一回帰ると何日か留まりそうだしなぁ。
「何日ぐらいかかる依頼を予定してるんだ?」
「そうだなぁ、選らぶ依頼によるが、3日ぐらいはかかると思ってくれ。」
3日かぁ。明日からってことは5日は森の家に帰ってない事になるのか。
ん......?そもそも通信の魔道具があるし。俺は結界で飛んですぐここに来れるし。距離なんてあってないような物か?なら今日の夜に森の家に帰って様子みて明日の朝こっちに来ればいいか?
そうするか。
「わかった3日だな?明日は何時集合だ?」
「何時ってのは無いなぁ。時計なんて物は貴族しか持ってないぞ。だからまぁ日が昇るぐらいの時間に集合だな。」
一般の人には時間って概念がないのか...?わりと不便そうだけど。言われてみれば森の家にも時計なんてなかったな。
「それなら一度家に帰ってもいいか?朝に間に合えばいいだろ?」
「お? そうだなぁ。まぁいいか、何かあれば通信の魔道具で知らせてくれ。」
「了解、じゃぁ今日は遅くならないうちに帰るよ。」
「おう、明日からは泊りがけになるから、用意しとけよー。」
「あいよー、んじゃみんなまた明日。おやすみー。」
みんなのおやすみーの声を背中に受けながらギルドに併設された酒場を出る。
日は既に落ちているが、まだ街の中は賑やかな時間だ。
ギルドから出て大通りを歩き、南門から外へ出て結界で飛ぶ。
夜の森は明かりが無く少し不気味だが。空を見上げると星がすごく沢山見える。綺麗だ...。
そのまま速度を上げていき森の家へ帰る。
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「お、見えてきたな。」
途中の村を通り過ぎ森の家まで帰ってきた、既に門は閉まってるが外壁を飛び越えて中へ入る。
村内に人の姿はなく、家に明かりがともっている。
今日は取り合えず寝るか。明日村長と話して村内に変わりはないか聞こう。
家の中に入り装備していた防具を脱ぎ2日ぶりのお風呂に入りゆっくりする。
「あ~、やっぱ湯舟はいいなぁ。」
一応綺麗にはしていたが、布で体ふくだけじゃすっきりしないもんなぁ。
「ふぅ。」
明日から3日か。アイテム袋にテントはあるし必要なのは食料ぐらいかな?たしかまだ牛のお肉を残ってたからそれでいいか。野菜もまだ残ってるしな。
そもそも野営するのかな?どこか村に泊まるんだろうか?明日ルガードに聞いてみるか。
お風呂に入ると色々と考える。これから先どうしたいか。
今は村があって家があって。安定はしている。お金も魔物を定期的に倒せば暮らしていけるだろう。だがそれは逆に遠くに出かけれない事を示している。
出かけてる間に村に何かあれば嫌だし。
こうなってくるとよくあるチート系の物語で出てくる転移だとか、異空間に生活空間があるとか。そうゆうのが欲しくなるなぁ。
「はぁ...寝よ。」
結界術があるだけで十分チートなんだし、これでどうにかする事を考えよう。
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「あー、朝か。」
いつもより少しはやい時間。朝日は昇っていないが空が少し明るくなってきた時間帯。
村長起きてるかな?流石に早すぎるかもしれないけど、まぁ外に出てみるか。
朝風呂に入り、軽く食事をして、昨日脱いだ防具をなんとか着て用意をする。
外へ出て畑の様子を見る。二日ほど放置していたが、誰かが世話をしてくれたのか変わりはない。一応水をやっておこう...。
水の結界を作りじょばじょばと畑に水をやる。
水をやりながら周りを見るとちらほらと村人の姿が見える。
村長起きてるかな?家まで行ってみよう。水やりを止めてっと。
結界で自分を包み空へ飛びあがる。空にはまだ星がかすかに見えていてこれはこれで綺麗だな。
村の中を飛んで村長の家までいくと。家の前で椅子に座ってる村長が見えた。
高度を下げて村長の前までいく。
「村長ー!」
「おぉ!ケイ殿。お帰りなさい。」
「ただいまです、村長。お変わりないですか?」
「うむ、村は平和そのものじゃ。こうして安心して暮らせるのもケイ殿が外壁を建ててくれたからじゃしのう。ありがとうなのじゃ。」
「いえいえ、俺もここに住んでいるんですし安全は大事でしたから。みんなが安心して暮らせるようになってうれしいです。」
「うむうむ、それにしてもケイ殿その恰好、防具を買ったのかの?」
「えぇ、どうでしょう?冒険者っぽくなりましたかね?」
「そうじゃな、かっこいいのじゃ。」
そういって村長はニコリと笑ってくれる。
なんてゆうかやっぱりこの村は落ち着く...。こうゆう他愛もない話しをずっとして暮らしたい。
「帰ってきたばかりなのに、お出かけなのかの?」
「えぇ、これから3日か4日ほど依頼に行ってきます、そのあいだ留守にしますが。よろしくお願いします。」
「うむ、わかったのじゃ。安心していってくるといいのじゃ。」
「では行ってきますね。」
村長に挨拶をして自分を結界で包み飛びあがる。そのまま高度を上げていく途中で村長に手を振っておく。
外壁よりも高く飛びあがりそのまま村の外へ出ていく。
「この時間なら十分間に合うだろう、きっと。」
依頼かー、何に行くんだろう。楽しみだな。
空を飛び、ルガード達との待ち合わせの街まで飛んでいく。
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