第35話 防具を買いました。

35.防具を買いました








ダンジョン内で手に入れたコボルトの毛皮23セット、ボスコボルトの大き目の毛皮とポーションらしき瓶。全部で銀貨29枚になった。

ポーション瓶だと思ってた物はやはりそうだったらしく、正確には初級回復薬らしい。

初級、中級、上級、特級と分かれており上の階級になるほど効果は上がっていき。特級何かは失った手足が生えるほどの効果らしい。

初級回復薬は一つ銀貨1枚、コボルトの毛皮はセットで銀貨1枚、ボスコボルトの毛皮は銀貨5枚。全部で29枚だ。


全部ダンジョンを出てすぐの冒険者ギルドで買い取って貰った。


「んじゃぁ、防具買いに行くかー。」

この辺にある防具屋もさっきついでに冒険者ギルドで聞いてきたのでそこへ向かう。


改めて町並みを見渡す。

この町の大通りは軽食の屋台が並び、店舗があるお店は宿と武器防具屋ばかりだ。


えーっと確かここかな?


冒険者ギルドから歩いて数分、教えてもらった防具屋はコンビニの2倍ほどの大きさで、中々でかいお店だ。

ガルツ防具店...か。お店の前には防具が展示されている。鉄の金属鎧に革鎧。

武器の類は展示されていないっぽいのでここは完全に防具一筋みたいだ。


見ててもしょうがないのでお店の中に入る。

「お邪魔しまーす。」


おぉーう、すごいな...お店の中は防具でいっぱいだ...。兜に鎧に籠手に靴。

それぞれ金属や革で出来た物や昆虫の殻みたいな物まで色々ある。

ほうほぅ、色々あるんだな。でも昆虫のはちょっとやだなぁ、普通に革系にしとくか。


「おう、らっしゃい。」


「あ、お邪魔してます。」

店番の人はスキンヘッド、筋肉ムキムキ、褐色肌の人族のおっさんです。

奥からカンカン音が聞こえるのでお店兼鍛冶屋もやってるんだろうとおもわれる。


「どんな防具が欲しいんだ?」


「革系の防具で動きやすいのとかありますか?」


「おう、あるぞ。普通の性能のからいい性能のまで揃えてあるぞ。」


「ふむふむ、実は防具買うの初めてでして。いい性能の装備だと何が変わるんですか?」


「んー、そうだなぁ。例えばコレとか。これはコボルトの毛皮で出来た装備だ。冒険者になりたてのやつが買う最初の装備だな。 コボルトと戦ったことがあるならわかると思うが、この毛皮に防御性能なんてほぼない。鉄の剣で斬られたら普通に裂けるし、どっかに引っ掛けただけでも裂けるかもな?それでもなりたての奴が買うのはないよりましだからだ。それに多少防寒にもなるしな。野営の時に凍えずに済む。」


なるほど...まぁ最初っからそんないい装備なわけないよなぁ。

「鉄の鎧とかどうなんですか?そっちのほうが防御性能はよさそうですが。」


「あー、ダメだな。そもそも鉄の塊を着るんだぜ?なりたての奴じゃ筋力がなさすぎて着たら動けなくなる。ある程度レベル上がってやっと金属の鎧は着れるようになるんだ。」


「それはステータスが低いから着ても動けないってことですか?」


「そうだな。時々なりたての奴でもちゃんと筋肉を育ててるやつがいて、そうゆう奴は着れたりするな。後は種族的にもともと体ががっしりしてるやつとか。」


ふむ、ステータスの力が上がると筋力も上がって重い装備でも着る事ができる...と。ゲームであった装備の要求ステータスって感じだな。後は要求レベルとか。


「それで、いい性能の装備だと、どんな効果があるんですか?」


「おう、そうだなぁ。これ何てどうだ?ワイバーンの革で出来た鎧だ。これ何かはその辺の剣じゃまず斬れない、この革を切ろうと思えばミスリル製の剣がいるな。それにワイバーンは元々魔法防御力が高くてな。弱い魔法じゃ効かない、その性能は革だけになっても残っていてな。ミスリルじゃないと切れなくて、魔法防御力まである、いい性能の防具ってことだ。その代わり毛がないから防寒具にはならないな。」


「そのワイバーンの防具ってどれぐらいの冒険者が装備する物何ですか?」


「そうだなぁ、金の冒険者から白の冒険者あたりだな。」


ほぉ、ちょうど俺ぐらいのランクの冒険者が着るのか、ならこれ買うかなぁ?

「これ以上だとどんな装備になるんですか?」


「これ以上なぁ。それだと魔法効果を付与した装備になるな。」


「魔法効果...?」


「あぁ、例えば今話したワイバーンの革装備、これに魔法効果を付与する。」


「どんな魔法効果があるんですか?」


「そこは買う人次第だな、注文を受けてから魔法効果を付与してって感じだ。」


「例えば?」


「例えば、そうだなぁ。このワイバーン装備ならさっきミスリルの剣なら斬れるっていったな?それを魔法効果を付与することで、ミスリルでも斬れないほどの装備が出来上がる。魔法防御力を上げてもいいし。人気なのは洗浄の魔法効果が付与された装備だな。」


「洗浄ですか?」


「あぁ、魔物を狩ると返り血とかが付くだろう?それを装備にマナを流すことで綺麗にすることが出来るんだ。後は汗をかいたりした後にも使うな。」


「確かに、それは大事ですね。」


「そうなんだよ、だがなぁ魔法効果の付与って高いんだよ。安定してお金を稼げるようにならないととてもじゃないが頼めない。金の冒険者だとちらほら頼めるやつがいて。白の冒険者になればほぼ全員が魔法効果のある装備をしている感じだな。」


なるほどなぁ。それなりの価格がするってことか。でも洗浄効果は欲しいな。

「今もうすでに洗浄効果がついてる装備って売ってないんですが?できれば革装備で。」


「あるぞ。これだ。」

そういっておっさんはカウンターの後ろから防具を取り出してきた。

見た目は鱗がついた黒い革、さっき見せてもらったワイバーンと似たような見た目をしている。


「これは?」


「これはブラックワイバーンの革で作った鎧だ、籠手も足もあるぞ。」


「ほうほう。これはさっきのワイバーンの防具とどこが違うんですか?」


「まずは、魔法効果がついてる。お望みの洗浄だな?」


「はい。」


「次に色が黒でかっこいい。」


「はい。」


「以上だ!」


「はい?......性能に違いが無いんですか...?」


「無いな!ただ色が違うだけのワイバーンだ!」


えぇ...。


「まぁそんな顔するな。ちゃんと理由があるんだぞ?」


「はぁ。」


「黒はな、人気なんだ。」


あー、すごい納得した。かっこいいもんね、黒いと...。

「これは全身でいくらですか?」


「黒貨1枚だな。」


たっけぇ。

「高いですね...それにしても何で黒貨1枚ちょうど何ですか?」


「払いやすいだろ?」


うん、払いやすいね。端数出るとおつりとかもめんどくさくなるしな...。

「じゃぁこれ下さい。はい、黒貨1枚。」

アイテム袋から。クラリエさんにドラゴン討伐で貰った黒貨を1枚取り出す。


「おう、こりゃびっくりした。買えるとは思ってなかったぞ。」


「まぁこんな見た目じゃそうですよね...。」


「そうだなぁ。流石にシャツとパンツだけってのはな。もしかして鎧の中に着る服も、持ってないんじゃないか?」


「え、中に着るのこれじゃダメですか?」


「ダメに決まってるだろう...。あー、じゃぁついでだ、中に着るのもやるよ。」


「ダメかー。ありがとうございます。」

まぁ何となくダメじゃないかなとは思ってたけどやっぱりダメだったか。


「おう、じゃぁちょっとこれ着てみてもらえるか?微調整するからな。」

そういっておっさんはインナーであろう黒の上下の服を渡してくれた。


「はい。着かた教えてください。」


「あぁ、そういえば初めてだっけか。わかった、んじゃ手伝うぞ。とりあえずそれを中に着てくれ。」


お店の中には俺の他にお客さんがいないし、ここで着替えるか。

着ていた服を脱ぎ捨てて渡された黒の上下を着る。

渡された服は今まで着てた服よりも少しぴちっとしている。長袖に長ズボン。腰の部分を引っ張ってみると伸びるので伸縮する素材で出来ているようだ。


「着たか?じゃぁ次はこれだ。」

そういっておっさんはブラックワイバーンの鎧の胴体部分を渡してくる。

みた感じ防弾ベストみたいな感じだ。袖が無くて、両肩で繋がっていて、横は片方が開くみたいだ。


胴体部分の鎧に頭を通して、袖を通す。その後横の部分の紐を結びグッと引っ張ると締まる。締める部分にはリング状の物が二つ付いておりこれで止めているようだ。

次に渡されたのは筒状の腕の部分のやつだ、二枚に分かれており間に紐が繋がっていて、腕を通したあとこの紐の部分を締める事で調整するようだ。

それを二の腕と肘から先と二つ、両手で4つある。締めた後の余分な紐は鎧の内側へ見えないように入れるみたいだ。

次につけるのが腕の肘部分のカバーだ。これはつなぎ目を無くす感じで覆い紐で締めるだけだ。


次に渡されたのが足部分。太もも部分は腕のときと同じように二つに分かれているが、これはどうやらズボンみたいだ。長ズボンに革鎧を付けてある。

それを穿くと腰の部分でベルトを締める。

ふくらはぎの鎧は別になっていて、これも二つに分かれているが腕とは違い筒状になっているのではなく、上下で4か所紐の部分があるが片側の上下の紐2つが結ばれていなくて、これは履くとゆうよりつける感じだな。前側は少し伸びていて足の甲の部分まで垂れている。


次は靴だ。履いてる靴を脱いで渡された靴を履く。こちらには靴紐はなく、ベルトで締めるようだ。靴の先には何か入ってるのか硬い。安全靴みたいだ。


これで全部かな?


「よし、ちょっと待ってろよ。色々と調整するからな。」

そういっておっさんが着た装備を色々いじって締めたりして調整してくれる。


そういえば、丈とか結構ぴったしだな?何でだろう?指輪の魔道具みたいに合わせる機能でもついてるのかな?

「丈とかぴったしですけど、これって何でです?」


「あぁ?そりゃ何となく大きさ分かるからな。それに合ったのを出しただけだ。」


あー、そりゃそうか...。合わないやつわざわざ出さないよな...。


「よし、出来たぞ。どうだ?動きにくいとか無いか?」


着た装備がきつくないか、体を動かして確かめてみる。


ん、うーん。うん。

「全然、めっちゃ動きやすいです。」

びっくりするぐらい動きやすい。


「おう、そりゃよかったぜ。んじゃ注文は以上だな?」


改めて自分の姿を見る。鏡は無いので主観だが、結構いい感じだ。

だけどちょっと恥ずかしいな、外套とか無いのかな?


「あー、そうですね。外套とかってないですか?」


「ん?外套ならあるが。普通の外套でいいのか?」


普通の外套...。

「つまり魔法効果が付与された外套があるんですか?」


「おう、あるぞ。今あるのは洗浄がついた外套と。外套を着てるとき自分の気温を一定に保ってくれるやつだな。洗浄が金貨20枚。気温を一定に保つ方は金貨50枚だ。」


「その外套はなんの素材何ですか?」


「普通の麻だな。外套はどうしても消耗品になっちまうからな。防具と違って手入れしてもすぐ使い物にならなくなっちまう。だから安い素材に魔法効果を付与してるんだ。その代わり安く出来ている。」


「じゃぁその洗浄がついた外套下さい。」

気温とかはやろうと思えば結界で何とかなるしな...。


「あいよ、金貨20枚だ。」


「じゃぁこれで。」

そういって黒貨を渡す、ここで崩しておこう。


「おう。おつりの金貨80枚だ。」


「はい、どうも。いい買い物出来ましたありがとうございます。」


「おう、こっちこそまいどあり!」


「それじゃ失礼しますね。」


「おー、また来てくれよな!」


「はい、また何かあれば来ますねー!」

そういってお店を出る。


お店を出て今買った外套を羽織る。色は暗めの灰色でフードもついていていい感じだ。

これで冒険者に見えるかな?


さて、今は夕方ぐらいか?空がちょっと暗くなってきているな。どっかでご飯食べるかー。


お? 通信の魔道具が震えてるな。マナを流してっと。


『はい?』


『おー?ケイか?今平気か?』


『ルガードか、何か用か?』


『おう、晩飯一緒に食べねえか?話しがあんだよ。』


『分かった、どこに行けばいい?』


『昨日ご飯たべたギルドに来てくれ、先に酒でも飲みながら待ってるわ。』


『あいよ、すぐに行くよ。』


通信の魔道具便利だなぁ。声に出さないでも会話が出来るからな...。念話ッぽい感じだ。



んじゃルガードに会いに行きますかー!



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