第32話 新しい出会い。

32.新しい出会い







ギルドマスターの部屋から出てそのまま受付へ歩いていく。ギルドカードの更新が終わってるか聞かないと。


「ケイさん、こちらをどうぞ。」

先ほどと同じ受付に並びなおし、カードを受け取る。


「ありがとうございます。」

カードを受け取り改めてよく見る。初めてもらった時はルガードに絡まれて逃げるのに精いっぱいで気にしてなかったし。その後も何となくゆっくり見る機会がなかった。

ギルドカードと言ってはいるが大きさは電車の切符ぐらいで、小さい。

紐を通す穴が開いておりほとんどの冒険者は首からかけている。街に入るときとかには首元から取り出してチラッと見せるぐらいだ。

表面には名前とクラスが書いてあるぐらいで、裏面には何か記号が書いてある。

意味のない記号とは思えないので、きっと職員や衛兵とかじゃないと教えてもらえない何かがあるんだろうなって勝手におもってる。


簡素な造りなので簡単に偽造できそうなもんだが...。触った感じ金属でもないし。プラスチックでもない。一番近いのは石かな?つるっとしてて硬い。けどギルドカードをもってグッと力を入れてもびくともしないことから多分ファンタジー素材で出来てるんだと思う。素材が特殊だから偽造品がないのかな?

ちなみにギルドカードの色は自分のクラスの色らしく、更新する前は銅色だったが今は金色だ。

金色のギルドカード...すごく突然成金っぽいってゆうかちゃっちくなった。

それにどうやって色付けてるんだろうか? 何となく金は嫌なのでルガードと一緒の黒を目指すかな? 黒かっこいいし...。



「おう、きたか。」

ギルドカードを眺めながら酒場まで歩くとルガードのとこに着いた。ギルドカードはアイテム袋に入れておこう。今は紐ないし。


「あー、まずは何から言えばいいのか。」

ルガードが座ってる酒場の机は長方形で横に5メートルぐらいありそうだが、ルガードが大きいので机の大きさがルガードの大きさとあいまって何か目がおかしくなりそうだ。それにルガードは椅子じゃなくて酒場の地面に座布団みたいな物をひいてそこに座ってる。

さらに机の上には酒瓶や食べ終わったのであろうお皿が散乱している。

そして机にはルガードだけではなく。他にも冒険者の姿があった。


「おう、紹介するぜ。俺の仲間だ、大体はこいつらと一緒に依頼を受けてる。みんな、こいつはケイってんだ。」


「ケイです、よろしくお願いします。」

とりあえずペコっとお辞儀して挨拶しておく。


「私はフェイってゆうの。よろしくね?」

そう名乗ったのは緑の長髪に恐ろしく整った顔、とがった耳、すらっとした体。身長は座ってるので正確には分からないが170は超えてそうだ。

魔物の革を使ったであろう装備。傍らには弓が立てかけてある、見た目からして多分弓を使うんだろうなってゆう装備をしている。

エルフで弓使いか...うむ。定番だな?


「私はアキリスといいます。よろしくお願いします。」

アキリスと名乗ったのは、傍らに先端に宝石か魔石が付いた長めの杖。

後ろで束ねられ整えられた白髪に優し気な目。整えられた白い髭が生えていて体付きは細マッチョだろうか?わりと鍛えている感じを受ける。年齢は少し高めで、渋いおじ様って感じだ。見た目は人族だけど、もしかしたら知らない種族の人かもしらないので断定はできない。

服装は革鎧にその上から灰色のローブを纏っている。魔法使いかな?それとも僧侶的なポジション...? 見た目からはよくわからない。


「ワシはドリスだ。よろしく頼む。」

ドリスと名乗ったのはずんぐりむっくりな体形の、みんながイメージしそうなドワーフその物だった。後ろで三つ編みにした茶色い髪、茶色い髭が目立つ。顔は完全におっさん。年齢まではわからない。よくある話しだと、歳いってそうだけど、じつは若いみたいなのがあるからな...。

革鎧に所々金属を使っており、ポーチやら何かを差しておくであろうベルトやらが体のあちこちについている。もはや見た目で魔法使いなのか剣を使うのかわからない。あるとすれば道具使い?って感じだ。


「私はネレ!よろしくー!」

見た目は完全に子供。小学生高学年ぐらいだろうか? 明るいオレンジ色の髪に幼い顔、軽装な革鎧に背中から短剣の持ち手が見えている。下は短パンでパッと見は悪ガキの男の子って感じだが、私といってることから女性なのがわかる。年齢までは流石にわからない...。役割があるとすればシーフとかローグとかそんな感じ。後少し耳がとがっている。エルフとは違って普通の長さの耳の先が気持ちとがってるかな?ってぐらいだ。エルフは細長く耳がとがってる。



以上、ルガードを合わせた5人が机にいた。何てゆうか見事に種族がばらばらだな...?


「とりあえずお腹すいたから何か食べていい?」

そのままルガードの正面、右にフェイ、左にアキリスの位置に座る。フェイの向こうにネレ、アキリスの向こうにドリスがいる。

色々気にはなるがまずは腹ごしらえをしたい。


「おう、おごってやるから何でも頼むといい!」


ルガードのおごりか、なら遠慮しなくていいか。

「すいません!なんか適当にお肉でおすすめお願いします!飲み物は水で!」


少し遠くにいた給仕の人であろう獣人の女性に声をかける。見た目は黒いワンピースに白いエプロンをつけたシンプルな恰好だ。後、耳の形から犬の獣人なのがわかる。顔はかわいい系だ。 やっぱ受付とか給仕って見た目も雇われるのに必要なんだろうか...?今まで不細工な人をあんまり見たことない。 ファンタジー物でよくある美人とイケメンが多い世界なのか...?


「ふぅ、それで?話しってなんだ?」

料理くるまでに時間かかりそうだし、先に話しを聞く。


「おー、あー。一緒に組まねえか?」


「えらく直球だな...。」


「ルガードったら照れちゃって!」

ネレがルガードをからかってる。


「うるせぇ! いいだろ別にっ。」

図星なのかルガードの頬が少し赤い。


「この5人に加わるってことか?」

弓使いのフェイに魔法使いそうなアキリス、ドワーフのドリスに身軽そうなネレ。

そして大柄で前衛なルガード。

バランスいいんだし俺が入る必要あるのか?


「嫌なの?」

フェイが首をかしげて聞いてきた。

美人が近くにいるとどぎまぎしちゃう...。


「い、いやってわけじゃないが。見た感じバランスよさそうなのに、俺が入る必要あるのかな?って思ってな。」


「そうだな、ついでに戦闘するときの役割も話しておくか。」

そういってルガードは役割について話し始めた。


話しを聞くと色々と面白いことを知れた。


まずルガードは見た目通り、前衛で自分と同じほどの大きさの斧を振り回し敵を引き付ける役。

まぁあんだけ体でかければ必然的に前衛になるよな...。


フェイはやはり弓使いだった。エルフと聞くと森の民って感じで狩猟のイメージが強い。

後はやっぱりエルフって魔法使いが多くて、弓を撃つ時に魔法で補助するらしい。

風の魔法で矢の飛距離が伸びたりするっぽい。


アキリスは回復魔法を使う司祭らしい。回復魔法...ファンタジー物で一番不思議な魔法だ。どうゆう風に回復するのか。細胞を増やして傷を回復させているのか。時間を過去に戻してなかったことにしているのか。不思議だ...。


ドリスは魔道具技師らしい。ドワーフだからハンマー持って前衛かと思いきや、中衛だった。戦闘に役立つ魔道具を開発し使って戦うって話しだ。魔道具に使う素材は高価らしく、自分でとったほうが早いと冒険者になったらしい。


最後はネレだ、彼女は遊撃。その小さな体とすばしっこさを生かして敵をかく乱し惑わせる。小さな短剣では魔物相手に効果はなさそうだが、そこはファンタジー。特殊な効果が付いている短剣らしい。なんか自慢された。きっと自慢したくなるいい武器なんだろう...。


「ふむ、やっぱりバランスがいい感じだな?俺が出来ることがないように思えるけど?」

前衛一人、中衛一人、後衛二人に遊撃が一人。どんな組み方をするかは様々あるだろうけど、十分いいバランスだと思う。


「まぁな、俺も十分だと思ってる。ただなぁ...守りがな、今の仲間のスキルじゃきつくてな。ケイ、お前のスキルって恐らくだが仲間を守れる物だろ?」


「お、おう。よくわかったな?」

びっくりした。なんでわかったんだろう?


「俺は冒険者になってそれなりに経つ、その間にいろんなスキルを見たり聞いたりしてきた。その中にな、ケイが使ってたスキルに似たのがあってな。障壁を張ったりして仲間を守るスキルなんだが。」


あー、まぁそりゃ似たようなスキルはあるか。ってゆうかそんなにはっきりスキル使ったところ見せてないのに...それでもわかるもんなんだな。


「お待たせ~お肉のおすすめでーす。」

何て言えばいいか考えていると、先ほど頼んだ料理がやってきた。

分厚いステーキ肉にパンが数個、後は野菜がちょろっと。

うむ、シンプルにうまそう。


「う~ん、そもそも依頼でいく場所に俺ってついていけるのか?ってゆうか普段どんな依頼を受けているんだ?」

お肉をもぐもぐしながら話しを聞く。

どんな依頼だろうなぁ。


「あー、そうだな。ランクに合わせた魔物を倒しに行ったりするが。今は近くのダンジョンに潜ってる。」


ダンジョン!やっぱりあるのか。ダンジョンと言えば色んなタイプがあるが。この近くにあるのはどんなタイプだろう?地下に潜っていく形?塔に登っていく形か?

そういえばいくら辺境だからっていっても冒険者の数が多い気もしてたな?ダンジョンがあるからだったのか...。


「俺、ダンジョンに行ったことないぞ?今どこまで潜ってるのか知らないがいきなりついていくのも危なくないか?」


「あぁ、流石にいきなり連れて行くことはない。ケイは冒険者になって日が浅いし、知らないことも多いだろう? それに仲間での連携とかもあるしな。だからまぁこれからちょくちょく一緒に依頼を受けないか?って誘いだな。」


なるほどなぁ。まぁそれならいいかな?ルガード達とはまだ出会って短いが、いやな気持になることはないし。話しやすい。気楽に付き合えそうに思う。


「まぁそうゆうことなら?俺は構わないけど。他のみんなは納得済みの事なのか?」

ルガードの独断じゃないよな?


「あぁ、さっきケイがギルドマスターに呼ばれてた間に話した。全員納得済みのことだ。」


「そうゆうことなら。これからよろしく頼む。」





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る