第28話 魔物が攻めてきた原因。

28.魔物が攻めてきた原因







「待たせたわね。」

部屋で1時間ぐらいは待っただろうか? スフレをちまちま食べつつボーっとしてたらクラリエさんがメイドや執事を引き連れて部屋へやってきた。

先ほどのドレスアーマーから貴族らしいドレスへと着替えたクラリエさんはまさにお姫様だった。

つやつやとした金の髪。長いまつげ、金の瞳。淡いオレンジ色のドレスから伸びる白い腕。

さすが貴族だなぁ。


「まぁ、はい。それなりに待ちました。」


「がっはっは、確かになぁ!まったぞ!」

何が面白かったのかルガードは笑ってる。


「はぁ、まぁいいわ。話しをしましょうか。」

話しか...何となく逃げれなくてついてきたけど、何の話をするんだろう?


「何の話をするんですか?」

わかんないので素直に聞いてみた。


「そうね、まずはあなたが倒したあのドラゴンについて話しましょうか。」


氷漬けで倒したドラゴンの事か...。

そういえばあのドラゴン体が消えてないんだよな。たしかルガードが魔石を抜いてたよな?


「あのドラゴン、ルガードが魔石抜いたら体が残ったままでしたけど。あれってなんですか?」


「あぁ? おめぇそんなことも知らねえのか?」

ルガードがさっきから食べて飲んでしてた手を止めてこっちの会話に混ざってきた。


「はぁ、ギルドカードは作りましたけど冒険者としては活動してないので、冒険者として知っておく知識みたいなの知らないんですよね。 そもそも今日はそうゆう本を買って知識をつけるためにこの街にきたんです。」


「冒険者についての本だぁ? んなのあるわけねえだろ。」


「え? ないんですか?」

驚いてクラリエさんの方もみると顔を横に振っている、無いってことらしい。


「冒険者の手引きみたいなのは、ギルド職員なら持ってるでしょうが一般には流通してないわ。」


「そうだなぁ。大体はギルドで訓練を受けて教えてもらうか、先輩冒険者からの教えで知っていくんだよ。」


そうなのか...。 訓練とかやだなぁいっそのこと知らないままでいいか? 今でも問題ないし。


「話しを戻すわよ? ドラゴンは今頃冒険者ギルドに運ばれて解体でもされてるわ。 所有権は倒した者にあるんだけど。あなたどうするつもりなの?」

話しが脱線しすぎたからか、クラリエさんが話しの筋を戻した。


「どうするとは?」

どう...?するんだろう?


「何も知らないのね。 あのドラゴンはかなり高価な素材になるわ。それこそオークションにかけるべきだとおもうわ。」


オークションか...興味はあるが手続きとかが大変そうだなぁ。それにお金持ちに囲まれるのも遠慮したい、貴族が普通にいる世界だ。権力で何かされたときの対処法がない。


「それか安くはなるけど冒険者ギルドに売るかね。何なら私が買い取ってもいいわよ?」


そんな雰囲気を察してか、いやそうな顔をしてるのを見られたのか。クラリエさんは別の案をくれた。

クラリエさんが買い取るのかぁそっちのほうが楽かな? お金に困ってるわけじゃないし。


「じゃぁ、クラリエさんに任せてもいいですか?」


「いいわよ。任せなさい。」

そういってクラリエさんは待機していた執事の一人に話しかける、声が小さいので何を話しているのかはわからない。

執事はそのまま部屋を出ていった。


そういえばファンタジー物でドラゴンといえばお肉が美味しかったりするよな?


「クラリエさん、ドラゴンのお肉っておいしいんですか?」


「はぁ? あなた何を、ってそうね。知らないんだったわね。ドラゴンのお肉は食べると死ぬわ、ドラゴンの肉体に蓄積されているマナが強すぎるせいで食べるとマナに耐えられなくなって死ぬらしいわ。」


マナが強すぎるせいか...。何でも大量にとれば毒ってことなのかな?


「ドラゴンの話しはもういいわね? 次よ、あなた私に雇われるつもりはない?」


「俺を雇う?」

クラリエさんに雇われるのか? そういった場合どうなる?

うーむ、想像がつかん。今の生活よりは楽が出来そうだが、今の生活でも困ってないしな。

デメリットは自由に動けないところか?


「そうよ、ドラゴンを倒せるほどの冒険者だもの。手元にほしいわ。」


欲しいわって、えらく直球だな。


「そうは言われてもな。俺にとって得することが無いしな...。ルガードも雇われてるのか?」


「俺か? 俺は依頼されることが多いから知り合いってだけで雇われてるわけじゃないぞ。」

気が付いたら今度は魚くってるルガードがいた。

どんだけ食べるんだ...。


「なんでルガードは雇わないんだ?」


「ルガードは黒の冒険者だもの、雇う事なんてできないわ。」


「黒...? それはどれぐらいのランクなんだ?」


「ほんとに何も知らないのねぇ。冒険者ランクよ、下から銅、銀、金、白、黒、青よ。お金も同じね。」


お金と同じか...。黒の冒険者ってめちゃくちゃ高ランクなんだな...。

ルガードは高ランクだから雇えないってことか。

それに比べて俺は銅ランクだしな...。


「まぁ理由はわかった。だが雇われる魅力は感じないから無しかな。」


「そう、わかったわ。代わりと言っては何だけど。指名依頼を出せば受けてもらえる?」


えらくあっさり引き下がったな...。

それにしても指名依頼か。


「指名依頼って、俺、銅ランクだけど出来るのか?」


「指名依頼は銀ランクからね、銅ランクじゃ指名できないわ。」


じゃぁ俺に指名できないじゃん。


「やめなさい、その顔。ムカつくわ。」


こわっめっちゃ睨まれた。


「あなた、ドラゴンを倒した自覚がないんじゃなくて? 今回の一件で確実にランクは銀以上になるわよ。」


まじか...まだ薬草の採取とか下積みクエストやってないのに...。

やる気もなかったけど。


「まぁそうゆうことなら、受けれる場合は受けるよ。」


「そう、それでいいのよ。」


それでいいのよって...。時々お姫様感が出てくるな。


「そういえば魔物がいっぱいいたがあれは何だったんだ? ここじゃよくあることなのか?」


「いくらここが辺境だからってあんなのが頻繁におこっちゃ困るわ。」


「じゃぁ原因は?」


「そうね、おそらくドラゴンが原因だろうってまわりは思うでしょうね。」


周りは思う...。実際は違うのか?


「ちゃんと調べないとわからないけど。きっと隣国よ。何かとこっちを目の敵にしてるのよ。最近よくない噂もきいたしね。」


よくない噂かぁ、聞きたくないなぁ。


「なんでも隣国で違法な魔法実験が、って耳を抑えてどうしたのよ。」


耳に指を突っ込み明後日の方向を見ている俺に話しかけてるんだろうなぁ。


「聞きたくないんだよ!巻き込まれたくないんだよ!」


「何言ってるのよ。巻き込むに決まってるでしょ?」


えぇ...。そんな堂々と言われても...。


「そう言われても俺はここに住んでないんだが?」


「そういえばそうね。どこに住んでるのよ?」


「この話の流れで話すわけないだろ...。」


「それもそうね。」

クラリエさんは納得すると、そのまま優雅にお茶を飲み始めた。


本物の貴族はやっぱり絵になるなぁ。








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