第26話 森での日々を終えて。

26.森での日々を終えて







あー、朝か。

昨日は雨だったので、家でずっと一日結界の条件付けを試したり、ゆっくりだらだらとすごしていた。

今日は街にいって本を買ってこよう。この世界について色々知りたい。

まずは朝の準備だな。



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朝の準備を終え、村長に出かけてくることを伝える。


「では、行ってきますね。」


「うむ、いってらっしゃいなのじゃ。」


自分を結界で包み飛びあがる、そのままこの間いった街の方向へ飛んでいく。

「村は俺がいなくても、大丈夫そうだしな。」


たまに牛を狩ってたが、そもそも毎日狩りに出かけてる村人の人がいるので。それでまかなえているようだ、氷室も作ったのでこれからは新鮮なお肉が保存が効くようになったしな。

外壁も階段を作ったことによって今日既に何人か登ってみてた。

見張りの人なのかな?


なにか出来るたびに村長に報告してたが、村長はうまいこと周知してくれていたようだ。

まだまだ村に足りない物は多いが、これ以上やってもどんどん色々欲しくなっちゃうしな。きりがないのでここらで一旦止めておこう。

地球の頃の暮らしに比べると不便だもんな...。

結界でPCとか作れないのかな...って雨で暇すぎて考えてしまうぐらいだもんな。


「とりあえず今日はこの世界についてだ。」

街までいってぱぱっと本を買ってゆっくり読もう。




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前も通った村を通り過ぎ、そのままのんびり街へ飛んでいく。



「お? ......あ?」

街が見えてきたが様子がおかしい。

俺が飛んできた方向から見る街、南門はすぐに森があるが、北と西と東には広い草原が広がっていたはずだ。

それが今は西のほうに煙が昇っている。


「遠すぎてわかりにくいな...。」

煙が昇ってるのは見えるが何が起きてるのかわかりにくい。

もうちょっと近づくか...。


何かあると危険だし、少し高度を上げてからいく。


「えー、まじで?」

近づくと少しづつ全体が見えてきた。

街の周辺には冒険者っぽい人達とお揃いの鎧をきた騎士達が陣を張っている。


遠くには魔物が大量にいる。数えるのもばからしいほど大量に。

映画の最終決戦みたいな場面だ。


「これはどうなんだ...?」

手を出すべきなのか? この街の冒険者と騎士達で対処できるのか?

手を出した場合怒られたりするのかな? そもそもなんで魔物が街に攻めてきてるんだ?

指揮官がいるのか?


「ダメだ考えることが多すぎる...。」

ここから見える魔物の姿だけでも。

ゴブリン、猪の頭をもった魔物多分オーク、それに狼系の魔物。

あとはワイバーンみたいな空を飛んでるのもいる。


他にもいっぱいいるが名前もわからない魔物ばっかりだ。

見た目が怖いのは分かる。


オオオオォォォォォ!


「うわっびっくりした。」

冒険者達が魔物に突っ込んでいった。


「うわぁ...やばいな。」

冒険者の一人が剣を一振りすると斬撃が飛んでいき魔物を切断していく。

後方からは魔法だろう、火の玉などの攻撃が飛んでいき爆撃みたいにどっかんどっかん爆発してる。

ワイバーンに対しては騎士達が弓や魔法で攻撃して撃ち落とし、下で構えていた他の騎士達が陣形を組み槍で倒している。


「こんだけしっかりしてれば余裕そうだなぁ。」



ウォォォォォォ!



「なんかめっちゃ強い人いるじゃん...。」

3メートルぐらいの巨体で筋肉むきむき。腕の一振りで数十体の魔物が吹っ飛んでいく。鬼の様な見た目、角が生えてて強面、ぱっつんぱっつんの革鎧に自分と同じ身長がありそうなでかい斧。


どっかで見たことあるな...。

あー。



冒険者ギルドで絡んできた人だ...。

あの人強い人だったんだ...。

鬼みたいなあの人だけやたらと強い。

あの人だけで全滅させれるんじゃないか...?



上空で見学しているだけだが、どんどんと魔物の数が減っていく。

「お? あれは貴族か?」


外壁の上で騎士に守られながら一緒に魔法を打ち込んでる女性がいる。

一人だけ明らかに恰好が貴族っぽい。


ドレスアーマーってゆうのかな? ドレスの上に鎧を着ててなんか豪華でお姫さまっぽい。


「げっ。」

じろじろ見てただからだろうか? 貴族の女性っぽい人がこっちに気づいた。


一応ばれないように少し離れて高い所にいたんだけどな...。

こっちを指さしてなにか騎士達と話してる。


「魔物の相手は余裕そうだし、今のうちに消えるか。」

飛んで少し離れたところに移動しよう。



グギャォォォォオッォォォォオォ!



「うおっうるさっ!」

魔物達の後ろのほうの森の奥から声が聞こえてくる。



「あー、あれはやばそう。」

森がはじけ飛び木が空を飛ぶ。



土煙が晴れるとそこにはドラゴンがいた。



見た目は西洋竜だな...。4足で太い胴大きな翼、体の色は赤土色。


「やっぱりいるんだなぁドラゴン...。」

でも何でこんなところにいるんだろう。

それともあのドラゴンが魔物が街に攻めてきた理由か?


様子を伺っているとドラゴンが羽ばたき始めた。


「翼があるんだし、そりゃ飛ぶよな...」

かなり距離が離れてるはずだが、羽ばたく音がここまで聞こえてくる。



グオオオオオオォォ



「まっずい!」


ドラゴンが何か貯めてるしぐさをしている。


あれ絶対なんか吐き出して飛ばしてくるだろっ!!



ブウォオオオオオ



ドラゴンがブレスを吐き出した。

冒険者達や騎士達、貴族のお姫様っぽい人も。みんなドラゴンの出現で驚いて体勢が整っていない。

あれじゃ防御手段があっても間に合わない。



ドラゴンブレスは外壁にいるお姫様のほうに飛んでいってる。



これは流石に見過ごすことはできない。

ドラゴンブレスの強さがわからないが、自分の結界を信じる。

気合を入れて。




『起』!!




外壁の前にドラゴンブレスを受け止めれる大きさの結界を10枚連続ではる。



ドゴォオオオオン!!



「うおおおお、あぶねええ。」

結界4枚ぐらい割れてる。



ドラゴンはブレスを吐き終わったからか、森を抜け草原に降り立っている。

みんなが唖然としている中、冒険者ギルドで絡んできた3メートルの巨体がドラゴンに突っ込む。


「あの人なら倒せそうだな...。」

ドラゴンとどっかんどっかんやりあってる。

が、決めてに欠けるのか、なかなか決着がつかなそうだ。

周りの魔物もドラゴンから離れて他の冒険者達が相手をしている。


貴族のお姫様も落ち着いたのか、遠いが魔法で援護している。


「もう、手を出しちゃったんだし俺も出来ることはしよう。」

1センチほどの氷を付与した結界を4つほど作りドラゴンの足を拘束するのを狙って飛ばす。


グガアアアア!


「無理か...。」

一瞬足が凍るがドラゴンが足を引っ張るとバキバキ音を立てて結界が壊れる。


「もっと強く属性を付与するか。」



強く、何よりも強く、全てを凍らせる強さを。



『属』!!



「おおぅ、すごいの出来た。」

とにかく強くすることだけを考えていたので、大きさは5センチほどだ。

ただ、とにかく冷たいのか自分が着てる服が凍ってきた。


「さっさと飛ばそう。」

未だにどっかんどっかんやってるドラゴンに向かって結界を飛ばす。



グギャアアアァァ!!



「お、いけたか。」

ドラゴンがパキパキ音を立てて凍っていく。


全身が凍っていき、もうすぐ倒せるかな?ってタイミングで戦ってた人がドラゴンの胸を切り裂き手を突っ込んで何かを取り出した。


「何だあれ? ドラゴンの体が消えずに残ってる...?」

今抜いたのは魔石か? 魔石を抜くと体が消えないのか...?

そんな小技があったとはな...。


「お? おぉぉ?」

体から力が漲りまくる。


これはレベルアップか。そりゃドラゴンを倒せばレベルも上がるか...。



ドラゴンが倒されたからか他の魔物達は逃げ出そうとしている。

「逃がすのはまずいのかな?」

冒険者達は追撃をかけているが騎士達はその場にとどまり周りの様子を伺っている。


普段の強さの氷の結界をいくつも作り魔物が逃げ出そうとしている先の森の手前に飛ばしていく。


「おーおー大混乱だな。」

逃げる先が凍ったからか魔物達が足を止めて戸惑っている。

そこへ冒険者達が突っ込んでいき倒していく。


もう後は平気そうだな。

今なら逃げるチャンスあるかな?


「ぬ、あれは...。」

さっきまでドラゴンと戦っていた3メートルの巨体が外壁の上からこちらを睨んでいる。

貴族のお姫様もこちらを睨んでいる...。


これは逃げられないか...。

「はぁ、しょうがないか。」

ここで逃げても二度と街に入れなさそうなので大人しく降りていく。



「何もなければいいなぁ。」









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