第19話 森での日々。 #4
19.森での日々 #4
まずは村を広げよう。結界で木を切ればいいか。
「村長、まずは木を切って村を広げたいとおもいます。」
「ふむ、それじゃぁ村の若い衆に声をかけるのじゃ。」
「木は結界術で切るので、その後の処理をお願いしてもいいですか?」
「わかったのじゃ。」
村長は村人達に声をかけにいった。
村長が呼びに行ってる間にできることをしよう。
まずは家の周辺の木を切っていく。薄い結界を作り、木の根本を残して切り倒していく。
「おぉ......。木が倒れる音までは気にしてなかった。」
倒れた木がでかい音を立てて倒れていく。一気に何本も倒したのでかなりでかい音がなっている。
音に惹かれて魔物が来たりしないかな...?
まぁきたら倒すか。
そのまま一気に横に300、奥行に300メートルほど目測で木を切り倒していく。
もう音は気にしないことにした。一気にやってしまおう。
森には木が倒れる音が鳴り響く。
「よし、これぐらいでいいかな?」
ひとまず予定していた範囲の木を切り倒し終わったので村長を探そうと振り返る。
「あ。」
振り返ると村人達がポカーンと口を開けていた。
やりすぎたかな?
「村長とりあえず予定していた範囲は終わりましたよ。」
村人達と一緒にポカーンとしてる村長に声をかける。
「お、おおぅ。わかったのじゃ。みなしっかりせい!木を運んで集めるのじゃ!」
村長は村人達に喝を入れ尻を叩く。
お、おー!
村人達はなんとか正気に戻り、木を集めに動き出した。
正直アイテム袋に木を入れれば一人で全部できるが。
俺がすべてやってしまうと。なんとなくよくない気がしたのでほどほどにしておこう。
「村長、木の根はどうしましょうか?」
「そうじゃのう、取り除くのが大変じゃし、ワシらはいつも燃やしておったが。」
燃やすのは少しもったいないな。乾かせば薪にもできるだろうし。結界術で掘り起こすか。
「燃やすのはもったいないですし、結界術で何とか掘り起こしてみますよ。」
「まかせるのじゃ。」
村の男達が木を運んでいる中、木の根っこを土ごと結界で包み持ち上げる。
「うわぁ、木の根ってすごいんだな。」
持ち上げてみるとわかるが。木の根はいろんな方向にのびていて、人力で掘り出そうとすればかなり大変なのが想像できる。
そりゃ燃やすのが早いよな...。
持ち上げた木の根を少し横にずらして結界を解除する。
「ふむぅ。」
これだと地面に穴ができちゃうな。
土ごと持ち上げたから、こうなるよな...。
できるだけ土を結界内に入れないように持ち上げる...?
そもそも地面から出ている切り株の部分に結界を作って持ち上げるか。
地面より上の切り株に結界をはるように念じる。
「持ち上がるかな?」
ベキベキ
あー、まぁ何とかなったかな?
木の根が千切れて土の中に残ったがまぁいいだろう。きっとそのうち分解されて土の栄養になるさ。
それにこれだと少し地面がへこむぐらいで穴はできない。気にならない程度だ。
ってゆうか、結界で物を引っ張るのは今まで考えてなかったが、かなり力持ちなんだな?
木の根が土に絡んでかなり重いはずだが、それでも、持ち上げたし。
やっぱ結界術って万能だな...。
そのまま周囲の切り株をどんどん土から掘り起こしていく。
全部掘り起こす頃にはもう、日が落ちる寸前だった。
「村長、今日はみんなで宴にしませんか? いいお肉があるんですよ。」
村の中心の広場にちょうど村長がいたので、話しを持ちかける。
「おぉ、そうするかの。皆の者宴の準備じゃ!」
出会ってから宴しかしてない気がするが。あまり気にしないでおこう。
「これ、お肉使ってください。」
名前を知らない村の女性達が食事の準備をするようなので。お肉を渡す。畑で収穫した野菜もついでに渡す。
どうしたもんかな、未だに村人で名前を知ってるのはティナちゃんとティリアさんだけだ......。
村長はなんか最初から村長だったから、今更名前なんて聞けないし。名前聞いたところで結局村長って呼びそうだし。
基本コミュ症なんだよな...。まぁ過ごしてればそのうち自然とわかるだろうきっと。何とかなるさ。
男達が宴のテーブルや椅子などを設置し、女性達が料理を作ってテーブルにのせていく。
子供たちもお皿を運んだりお手伝いをしている。
宴の準備が終わり、村長が乾杯の音頭をとる。
今日の料理もお肉を焼いて香辛料を振りかけた物やお肉と野菜が入ったスープ。お肉と野菜の炒め物。それにパンが付いている。
パンがあるのか...。村で麦を育ててるのかな?
麺料理はないんだろうか? 麺まではいかなくとも、パスタとか。ないのかな?
「村長、みなさんは普段何してるんですか?」
食事の席だが村長に気になることを聞いていこう。明日なにするべきか考える為にも。
「ん?普段のう。朝は畑の世話をして、女性は生活に必要な物、お皿や籠などを作ったりしておるのう。若い男達は森に入って獲物探しかの?」
なるほど、想像してた感じの生活か......。食べて生きていくことで精一杯ってかんじか? 遊ぶ余裕がないのかな。
「お肉とかってどうやって保存してるんですか?」
「基本は燻製じゃのう。狩りで獲物が余分に捕れた時だけじゃがな。」
うーん、なるほどなぁ。獲物は足りなければまた牛を探しにいこう。狩りをしてるってことは解体ができるはずだし。任せよう。
まずは村の外壁に集中するか。
たしか伐採したての木は水分を含んでいて建築とかには使えないんだっけ?乾かす必要があるとか。
結界術で乾かす結界とか作れないかな?やるだけやってみよう。
その後も村長とたわいもない話しをしつつたまに質問をし、質問に答え。宴の時間は過ぎていく。
日が落ちてからは光の属性付与した明かりの結界をいくつか飛ばしている。
-----------------------------------------
「そろそろお開きですかね?」
料理もなくなり。村人達はゆったりとした時間を過ごしたり、すでに家に帰った人も出てきた。
「そうじゃのう、お開きじゃ。」
村長はそういって村人達に終わりの挨拶をした。
「おやすみなさい。」
「おやすみなのじゃ。」
自分の家に帰ると一人なので少し寂しい。
これからみんなと過ごしていくんだ。そんな実感が今更わいてきた。
「勢い任せすぎたかなぁ?」
自室のベッドに寝転がり考える。
寝る前に今日を振り返り。あの時はああすればよかった、こうすればよかった。
無駄と分かっていても色々と考えてしまう。
「まぁ何とかなるさ、きっと。」
おやすみなさい。頑張れ明日の俺。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます