第7話 ゴブリン村。

7.ゴブリン村






「あー。まだ寝てたい」


そもそも異世界にきてからPCもないし、夜することがないから夜更かしもできなくて、すぐ寝ちゃう。すると必然的に朝起きるのが早くなる。


まずは寝る前に使った結界の確認をするか。


「まだ、あるな」


机の上には寝る前に作った結界が残っていた。


寝ても結界は続く。野営のときに一人でも安心だな。寝る前に結界でテントを囲めば安全そうだ。

MPはどうかな?


MP 58/58


「ふむ」


結界が残ってるがMPは満タンだ、ってことは結界を使ってもMPの最大値が減るわけではなく、単純にMPが減るだけ。


他にも思い付いたら検証していこう。





◇  ◇  ◇  ◇






部屋の結界を消し、寝汗をかいて気持ち悪くなった服を洗濯機にいれてから朝風呂の用意をしてお風呂にはいる。

そのあとは食事だ。


冷蔵庫の中のお肉を見て思う。


「ずっとお肉とパンだから、そろそろ食事に変化がほしいな...」


小麦とか片栗粉とか、鶏はいないんだろうか? 卵もほしい。後は野菜も白菜かキャベツを食べたい。スナップエンドウとかもいいな......


今日はゴブリン村の対処をしようと考えながらも料理を作り、食べる。

家をでて洗い終わっていた洗濯物を干す。


「もう、このへんは慣れてきたな」


慣れたといっても、めんどくさいのは変わらないけども。


「さて、いくか。ゴブリン村へ。」

楽に終わるといいなぁ。 フラグかな?





◇  ◇  ◇  ◇





家をでて昨日と同じ道を通りゴブリン村へ行こうとおもったが。せっかくだ、昨日検証できた結界で空を飛んでいってみよう。楽になるかもだし。


家の前で昨日と同じようにイメージする。魔法の絨毯のような広さで、色は水色。思考で動くように。念じる。


「詠唱無しでも完璧にできるようになったな」


詠唱あるのもかっこよかったが、ちょっと恥ずかしいんだよな。そのうち使い時があるといいな。詠唱。




結界に乗り浮かび上がる。木より少し高いぐらいに上昇して気づいた。


「これ絨毯みたいに広くしたけど、そもそも。自分自身を囲って飛べばある程度の遠距離攻撃に耐えれるのでは...?」


見た目はよくなさそうだが、そっちのほうが安全かもしれない。

降りよう。


地面におり、結界を解除する。

イメージするのは、自分を囲む結界、2×1の箱型でいいか。酸素を通し、思考で動かすことができる結界。色は指定しなくていいか。

念じる。


「初めて自分を結界で囲ったけど、なんだか楽しいな」


一応酸素を通すように結界をつくったが、少しでも苦しくなったらすぐに解除しよう。


結界内であぐらをかいて座り、上昇する。


「下が透明だから、お尻がムズムズする」


木より少し上ぐらいまで上昇し、川のほうへ飛んでいく。


川へつき今度は上流を目指し飛んでいく。


「なんだかフライングヒューマンになった気分だ。」


結界に囲まれた人があぐらをかきながら飛んでいる。

よくよく考えるとかなりやばい見た目してそうだ。




◇  ◇  ◇  ◇



ゴブリン村が見えてきた。上空からみると村が小さく見える。

ゴブリン達は慌ただしく動き回っているようだがまだこちらの存在には気づかれてはないようだ。


「ここからどうするか。」


森を抜ける手前の上空で一度止まる。

みた感じゴブリンの装備は遠距離攻撃のできそうな弓などはみえない。こん棒ばかりだ。


あとはいるとしたらゴブリンマジシャンみたいな、魔法を使う奴。これは見た目ではわからない。ゴブリン全員が腰に布を巻いているだけだ。


ゴブリンの雌とかいないのかな?やっぱり女性を攫ってくるんだろうか?


「そういえば、神様が言ってたな」


魔物が湧き続ける、世界のマナが足りない要因のひとつだって。だからもしかしたら雌とかはいないのかもしれないな。ゴブリンは男だけの世界か......ちょっと同情する。



このまま眺めていてもしょうがないし、そろそろ倒すか。

乗っている結界を村の上空へと進めていく。


「グギャ?」


「気づいたか」


ゴブリンがこちらに気づき集まってきた。なんかすごいグギャグギャいってる。


「やっぱり何言ってるかわかんないな」


ゴブリンの数は...ひふみの、35匹か。


一匹づつ口元を狙って結界をかけていく。


「───!?」

「グギャ?」


ゴブリンが苦しんで倒れていく。周りのゴブリンも様子がおかしいことに気が付いているが、何が起きているのかわかっていなさそうだ。

順調にゴブリンの口に結界を作って倒していく。


「────!?」

「グギャグギャ!?」


順調にゴブリン達は光になって消えていく、残り5匹か。


ゴブリンが倒れ光になって消えていく。立っているゴブリンが少なくなってきて、かなり慌てているゴブリン達。

すると大き目の藁の家から体がおおきいゴブリンが出てきた。


「なんだ?あのゴブリン」


大きさは2メートルぐらいか? 周りのゴブリンに比べて筋肉もムキムキだ。上位種ってやつか?

かなりやばそう。結界効くかな......?


「グギャアァァァァ!グギャ!グギャ!」


「なんかめっちゃ声でかい」


下ですごい叫んでるけど、俺は上空10メートルぐらいの位置にいるので手は届かない。


「あれは、なんだろう。ゴブリンキングってほどの凄味はないし。ホブゴブリンとかそういう奴か?」


ホブゴブリン以外のゴブリンはすべて倒しおわり、残りは奴だけだ。


「とりあえず口に結界を。」


「───?! グギャギャ!」


うわ、口元につくった結界が片手で壊された...。筋肉ムキムキだもんな...壊せそうな見た目してるわ。


「グギャグギャ!」


どうしよう、口に結界をしても壊される。

動けないようにするか。

肩や肘の支点に狙いをつけて結界を使う。


「グギャ!?グギャギャギャギャ!!」


おー、暴れてるけど、動けなさそうだな...この状態なら口元に結界作っても壊されなさそうだ。


「───!?─────!!!」





「もう何分たった...?」


ホブゴブリンの口に結界を作ってから。かれこれ30分ぐらい?

いまだに倒れていない。


「ずっとこっち睨みつけてくるんだけど...」


強い魔物だと酸素が無くても長生きできるのか...


「なんで酸素がなくても平気なんだよ...魔物ってこわい。」


どうしよう、切る結界で倒すしかないのか?

ホブゴブリンは少し苦しそうにしてるぐらいでまだまだ死にそうにない。


「一応効いてはいるのか」


でも、強い魔物だと酸素無くても長いこと平気だってことは覚えておこう。

なんかほかにも倒す方法を考えなくては......



あの後2時間ほどかかったがホブゴブリンは光になって消えた。


「結局倒すのに3時間ぐらいかかってる...」


ホブゴブリンはきっと魔物の強さとしてはそこまで強いことはないんだと思う。

でも、そんな強さの魔物でも、酸素がなくても3時間ぐらい耐えてしまう。

やはり別の方法を考えるしかないか......。

簡単なのは切る結界だが、血とか見たくないしなぁ。


「はぁ、ドロップ品を拾おう」


地面に降り、結界を解除する。

光になって消えたゴブリンとホブゴブリンのドロップ品を拾う。

ゴブリンの魔石が35個に、爪と牙も35個。


「やっぱりゴブリンにはレアドロップとかはないのかな?」


そもそもレアドロップとか自体がないのかね。

ホブゴブリンのドロップはどうかな?


「魔石に爪に牙、一緒か」


ゴブリンの魔石は縦に1センチぐらい、横は5ミリほどの六角形の円柱の形をしている。ちょっと力を加えればぽきっといきそうで怖い。

半透明で少し透けていてクリスタルみたいに光がとおってきていてキラキラしてる。

ホブゴブリンの魔石はゴブリンのよりも少しおおきく。縦3センチほど、横に1.5センチほどだ。

爪と牙もちょっとおおきくなった程度だ。



ゴブリンの村をちょっと探索するか。生き残りがいるかもしれないし。



「うっ、臭いな」


我慢できないほどではないが臭い。探索せずに帰りたくなってきた。

何かの動物の骨や、よくわからない物がいろいろある。

お金があったり財宝とまではいかないが何かないかなって思ったが何もないな。そりゃ当然か......むしろなんで持ってるんだって話しになりそうだし。


藁の家の中も調べるか......? ゴブリンの家は5~6人が寝れるテントほどの大きさだ。


「くっさぁぁ」


あけなきゃよかった。すごく臭い。

どうしようこれ、ゴブリンの家とか放置してていいのかな?


またゴブリンがここに住むのは嫌だな。

結界でどうにかできないかな? 結界でどうにか...できるのか?

そういえば結構な数のゴブリンを倒したし、レベルも上がってるはず。

なにかできること増えてないかな?

ステータスの確認するか。




名前:ケイ   15歳


LV 3→7


HP34/34→HP41/41 MP58/58→MP66/66


体:17→21

力:10→14

魔:24→32

守:7→11

速:14→20



スキル 言語理解  結界術Lv1→3



「お? ステータスがやっと全部二桁になったか。それに結界術がLv3か。」

なにか増えたかな?



『結界術』

拒絶する力。封じる力。

LV1 『起』結界を作ることができる。形や付与する条件により消費MPが変わる

    『消』結界を消すことができる。


LV2 『属』結界に属性を付与する事ができる。


LV3 『圧』結界を圧縮することができる。



「ん? 属性を付与?」


昨日試したのは属性じゃなかったってことか...?それに圧縮? どういうことなんだろう。想像ができない。圧縮したらどうなるんだ?


ゴブリンの家で試すか。初めてだし詠唱しよう。

右手を前にだしまずはゴブリンの家を囲むように結界を作ってから念じる。


『圧』


「おおぅ?!」


藁の家を包んでいた結界が一瞬光ったと思ったらすぐに収縮して小さくなった。

手に持ってみる。

普通の結界と違って圧縮の結界は最初から動かせるようだ。

大きさは3センチほどだろうか。重さもなく、中にはさっきの藁の家が見える。

潰れている感じではなくて、空間事圧縮されている感じだ。


「これは、持ち運びが楽になるのか?」


使い道あるのかなぁ?これ。俺には神様から貰ったアイテム袋があるしな。

とりあえず藁の家全部に圧縮の結界をかけ集める。


「これ、解除したらどうなるんだ?」


試しにひとつ解除してみる。


『消』


「こうなるのか」


解除すると、藁の家が元に戻った。

やっぱり空間事圧縮してる感じか?



あとは属性の付与か。5センチほどの結界に火の属性を付与してみる。

右手を前にだしまずは結界を作ってから念じる。


『属』


「おー。燃えてる」

そこには炎があった。結界は見えず。いわゆるファイアボールみたいにみえる。


「これが属性付与か」


確かにこれなら昨日したのは、属性の付与じゃなかったな。

そしてもう火打石の出番はなくなったな。


これで藁の家を全部燃やすか。

圧縮の結界で集めた、藁の家の結界をすべて解除し、そこに火属性付与した結界を投げ込む。


「おー、煙がすごいな」


大丈夫かなこれ、環境汚染とか平気かな? 気にしてもしょうがないか。

今日はもう疲れたし帰って寝よう。

明日は何しようかな。







名前:ケイ   15歳

LV 7

HP41/41 MP66/66

体:21

力:14

魔:32

守:11

速:20



スキル 言語理解  結界術Lv3












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