第6話 ゴブリンと結界術について。

6.ゴブリンと結界術について







ゴブリンの村を見つけてしまった。どうしよう?


「ゴブリンって洞窟に住んでるのかとおもってた...」


前世でよく読んでいた小説とか漫画ではゴブリンって洞窟にいたりする描写が多かったので勝手にこの世界でもそういった風に住んでいると思っていた。

どうやらこの世界では普通に村みたいに暮らしているようだ。

注意深く村の様子をみてみる。



見えるゴブリンの数は30匹ぐらいで、すべて1メートル前後の大きさだ。

この世界のゴブリンも物語と同様に女性を攫ったりするんだろうか?やだな.....少なくとも目の前のゴブリン村には誰かが攫われている様子は見えないが隠されていると分からないし。どうしようか?



う~ん、一度家に帰ってよく考えよう......





◇  ◇  ◇  ◇






「なんとか帰ってこれたか」


川のそばを歩き、目印をたよりに家へ帰ってきた。家に着くまでに他のゴブリンと会う事もなく安全に帰ってこれた。

いつの間にか少し日が落ちてきていて後1時間もすれば夕方になりそうな感じになってきた。思っていたより時間が経っていたようだ。

まずはやることをリストにするか。



結界術の射程距離、より細かい条件はどこまでいけるのか。そして他にはなにか応用できないか。

後はゴブリンの村をどうするか。



ゴブリンを普通に倒していたが、そもそもこの世界ではゴブリンは駆除対象なんだろうか? 前世にあった漫画などでは、ゴブリンは亜人の一種とされていたりして人との交流がある作品もあった。

体に魔石がある人種の可能性など。


でもゴブリンってグギャグギャとしか言ってなかったよな? 俺には言語理解のスキルがあるから、もしゴブリンが意思疎通できる存在なら、なにか意味のある言葉になっていたはず......


うーん。


この問題はそもそもここに一人でいる限り解決しない問題だし、考えるだけ無駄だな! 村や町にいって知識を仕入れない限りわかりっこない問題だし考えるのをやめよう。


じゃぁどうするか。ここには少なくとも、俺一人しかいない。つまり自分で考えるしかない。 うむ、襲われたから倒す、それでいいか。


ゴブリン=悪。そう簡単に考える事にしよう。



次は結界術の確認か。



まずは射程距離だな。

家にある庭のような広場は、家の正面から森まで100メートルぐらい、家から左右の森はそれぞれ50メートルほど離れている、家の裏から森へは30メートルほど。


さっき倒したゴブリンは50メートルほど離れていたから、50メートル届くのは確実。

なら家の正面の木に届くかどうか。

家の正面に立ち、森のほうへ向き、100メートルほど先の木に意識を集中する。

右手を前にだし念じる。



『起』



「お? いけたな。」

森の手前の木に結界が見える。見えにくいが自分が作った結界はどこにあるのかが何となくわかる。


MP 53/58

消費は5か。今回つくった結界の大きさは、縦2横1メートルだから、距離で消費MPに変わりはなしか。

この距離でも行けるならひとまず安心だな。



『消』


とりあえず消しといて。


見える範囲だからいけるのかな? なら見えない位置ならどうだろう。

家の中のリビングの机の上をイメージし。

念じる。



『起』



「ん、なんだこの感覚。」


なんというかコップを取ろうとしてつかみ損ねた感じというか。なんというか。

スカったかんじ。

結界の存在は感じないが一応家の中に入り、確認しよう。



「なにもないな」


つまり見えないところには無理ってことか。



次は結界の条件どんなのがいけるか、と応用か。

今わかってるのは、空気を通すかどうか。と切断する能力か。

あると便利なのは、何があるかな。

思い付くことをやっていこう。

結界術......魔法......詠唱?



詠唱か、今は結界術をつかうときに詠唱っぽいものを唱えているが、声に出さなくても使えるのか?

右手を前にだして、足元に10センチのキューブをイメージする。



むっ



「いけたな」


想像以上に自由度が高いのか? 詠唱無しでいけるなら。魔物に気づかれることもないだろう。

あとは結界って見えにくいから色でも付けてみるか?

わかりやすく赤でいってみよう。

先ほどだした結界の横に同じ大きさのイメージをして。



...うん。赤いな。

色もつけることができると...

けど色を付けたら見えやすくなるだけで、そのほかにメリットがなさそうだな?今のところ思いつく事が無い。

あとは魔法っぽく属性をつけてみるか?

赤...火の属性をつけるイメージで。手元に作ってみる。



「赤いな」

さっき出したのと違いがいまいちわからない。 触ると熱いとか?

おそるおそる手を出してみる。


?!


あったかい、これはカイロっぽい。寒いときには便利そうだ。

でも、持ち歩きができなさそうだが......これもイメージか?


基本、結界はその場に固定されていて動かない。


試してみるか。作った結界を動かせるイメージをして。

念じる。


目の高さに結界をだす、重力で落ちたりはしないか。

結界を触ってみる。


「普通に手に持てたな」


手の中に10センチのキューブがある。


ここで手を放したらどうなるのかな? 結界から手を放してみる。


「普通に落ちたな」


つまり、動かせる結界を出したときは、固定されているが、一度触れると重力が働く。

あとは、手を使わずに動く結界を出せるか?

手を使わずに考えるだけで動かせる結界をイメージして。

念じる。


「ふむ、ひとまず結界はできた」


あとは考えるだけで動かせるか。結界が右に動くイメージをする。


「おぉ、動く動く」


頭で考えたように結界がスイスイ動く。MPを見てみるが、動かすことでMPは消費しないようだ。

楽しい。



でも、結界を動かせるとしてどう使う? 棒状にして殴るとか? 結界で殴るぐらいなら剣があるし剣のほうがいいな......でも魔物に近づきたくない。

部分的に結界を纏って防具みたいにする? とっさに結界で自分を包んで身を守るのはありかもしれないが、防具みたいにつけても意味はなさそうだ。


あとは結界に乗って足場にする...? これはいいんじゃないか?

遠距離手段のない相手には無双できそうだ。それこそ今回のゴブリンとか。

試してみるか。


膝の高さぐらいに地面に広く1×1ぐらいの結界をイメージして。

念じる。


うん、できた。あとはこれに乗ってみる。


「よいしょっと」


乗ることはできる、でも足元が透けて見えるのは怖いな。慣れるしかないのか、それとも色をつけて透けないようにするか。

ジャンプしても大丈夫かな...? 高いところで壊れたらやばいし、今確認しとこう。



「ジャンプしても耐えれるぐらいの耐久度はある...と」


これを階段状にして上ってみるか。



ふん、ふん。

結構高いとこまできたな...。

高さはマンション3階分ぐらいか?

怖いな......

この高さになると足元が透けてるのはすごくこわい。降りよう。



あぁ、地面って素敵。

とりあえず今まで出したの全部消しておこう...。



移動できる結界、乗れる結界。これはもう乗って移動するしかないのでは?

まず、膝の高さに魔法の絨毯のように広く、色も青くした結界を作る。


「ふむ、青くすると。うっすらと地面が見えるから、これなら高くなっても行けそうだな」


とりあえず乗ってみる。


「しっかり乗れるな、いい感じだ」


結界に座り。自転車で漕ぐぐらいのスピードで前に進むようにイメージする。


「お、おおぅ」


音もなく進むのは変な感じだ。広場を進む青い板の結界。

風が気持ちいい。上昇もしてみよう。


「おー」


いい景色だ。ちょっと前に見つけた、世界樹っぽいでかい木に夕日がかかってすごく綺麗だ......


「ここに来れてよかったな...」


今日はもう食事してお風呂入って、寝よう。

高度を落とし、地面に降りる。

結界を消してっと。

家に入る前に洗濯物を取り込んどかないと。





◇  ◇  ◇  ◇






食事とお風呂が終わり、あとは寝るだけになったが......

寝る前にあれを試しておこう


結界の持続時間だ。自室の机の上に結界のキューブを出す。これで寝てる間も結界が持続するのかどうかがわかる。


「後はあのゴブリンはどうしようか」


正直、結界で上空にあがり、そこから結界で全部倒せそうではある。

倒す理由はあるかな? ゴブリンの村は家から4~5キロほどだし、近いといえば近いし、遠いといえば遠い。微妙な距離。

後は単純にレベル上げになるかもしれない。


後々襲われるのが嫌だし、倒そう。

決めたならもう寝よう。おやすみなさい。

頑張れ、明日の俺。





名前:ケイ   15歳

LV 3

HP34/34 MP58/58

体:17

力:10

魔:24

守:7

速:14



スキル 言語理解  結界術Lv1



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