第4話 初戦闘です。

4.初戦闘です








まだどこか地球時代の気分が抜けてなかったのだろう。

ここは異世界だというのに警戒を何もしていなかった。



仮称ゴブリンは様子見しているのか、手にもったこん棒を揺らしながらこちらを見ている。



「まずはMPの確認だ。」



MP 50/50



よし、ちゃんと回復してるな。ゴブリンはまだ動かない。先手必勝だ。

右手を前にだし念じる。ゴブリンを包むほどの大きさの結界を。



『起』



「-------?!」

ゴブリンが驚いている。

なんとかゴブリンを包み込めた、が。これからどうしよう?



「-------!」

ゴブリンが結界を叩いている。



「どうやらゴブリンは結界を壊せないようだな。それに結界は音も通さないようだ。ふむ、ついでに考えてたことをためすか......?」

MP残量を確認しとこう。



MP 47/50



「十分にMPはあるな。まずは何を試そう? そもそも結界の中にさらに結界をだせるのか?」

ものは試しに使ってみる。ゴブリンの顔の横に10センチのキューブを念じる。



『起』



「----?!」



ゴブリンがおどろいていて、少し不思議そうな顔をしている。顔の横に何かあるのは理解しているがそれが何かは分かっていない感じだ。かなりまぬけな顔をしている。


「行けたな。次は結界で拘束できるかどうか。」


ゴブリンの左足に狙いを定めて念じる。



『起』



「--------------!!」


結界が左足に発生したからか、ゴブリンはかなり慌てている。

ゴブリンの左足首から下を包むように結界があるが、本人?は何が起きているのか分からず動かない足を動かそうと力んでいる。


「なるほど、こうなるのか。」


ゴブリンは足を抜き出そうと頑張っているが、結界を壊せないので無駄な努力だ。



ここからどうするべきか......一応アイテム袋から剣を取り出しておく。


「結界があるから剣は刺せない。かといってこのまま放置もできない......」


酸素がなくなるまで放置するか...?

ゴブリンの体の中に結界は出せるんだろうか?

試すか。



ゴブリンの心臓を包むように、念じる。



『起』



「ぐっ、なんだ?」


なにか強い抵抗を感じる。体の中に結界はさすがに無理か......?

ゴブリンは結界は壊せないと悟ったのか落ち着いてこちらの様子をみている。


「体の中に結界は無理でも、足についてるように。一部分にひっつけるならいけるのか?」


このまま酸素がなくなるまでまつか? いや、足にいけるなら口に結界をつくればすぐに倒せるか...?

口を塞ぐように結界をイメージして念じる。



『起』



「----?! ----!!」

ゴブリンが口元にでた結界に驚き壊そうと必死になっている。


「お?」



ドサッ

酸素がなくなったのかゴブリンが倒れた。


「これ、死体はどうすればいいんだ?」


そう思っているとゴブリンの体が光りになり消えていった。

消えた後には魔石とゴブリンの物と思われる爪と牙のようなものが転がっている。



「ふむ、死体が消えて。これはドロップ品ってところか?」



『消』



結界を消しドロップ品を拾う。


「汚くないよな?ちょっと触るの嫌だな.....」


指2本であまり触らないようにしてアイテム袋にいれる。

解体しなくていいのはうれしいけど、これはこれでなんかな~。

出したのはいいけど使わなかった剣も仕舞っておこう。




ゴブリンに遭遇するというハプニングはあったが飲み水はこれでいけそうだ。食事のときに飲み切った水袋に川の水を入れておこう。

アイテム袋から水袋をだし川の水を入れ、仕舞っておく。




「川の確認も終わったし、次は食料の確認だな。果実とかあるんだろうか?」


ゴブリンと遭遇した経験を活かし、まわりに注意しながら再び森のほうに歩いていく。


「動物もお肉とかドロップするのかなー、お肉ドロップといえばオーク......?オークの肉かぁオークもいるのかな」


お肉が直接ドロップするんだろうか。地面に肉塊......

なにかに包まれてドロップするとかご都合が起きてほしい。



考え事をしながら歩いていると目の前になにか果実が実っている木が見える。


「おー、果たしてあれは食べれる実なのか。鑑定とかないもんかね」


神様もおまけ特典くれるなら鑑定もほしかったな、でも欲張りすぎか。

今の頭の中読まれたりしないよな?



「あまり変なことは考えないでおこう。それよりも、あの実だ」


片手で持てるほどの大きさの実が5つほどなっている、色は赤でリンゴっぽい見た目だ。

地面にはいくつか落ちた後があり、なにかに食べられた跡まである。


「食べられた跡があるってことは、食べれないことはない。でもおいしいとは限らない......一応とっとくか」


でも、どうやって取ろう? ジャンプしてもとどかなそうだし、木登りなんてもう何十年としていない。

今使える力は結界ぐらいだ、結界で切る? どうやって......?

結界に切断の条件を付与すればいけるか?

果実を包めるぐらいの結界をイメージしてそこに切断を付与するイメージをさらに重ねて。



『起』



「うまくいったか?結界を消せばわかるか。」



『消』



トスッ



地面に実が落ちた。


「これもしかして、切断する結界を使えばゴブリンも楽に倒せた......?」


でも一撃で倒そうとおもったら首を切るしかないわけで、首の切れるゴブリン...うん、グロいな。結界を壊せない相手には窒息の方向でいこう。



とりあえず落ちた実を拾い腰につけているアイテム袋に入れる。


「やっぱり鑑定が欲しい......」


そういえばアイテム袋に手を突っ込めば頭にリストが思い浮かんだな。

わんちゃんこの実の名前もわかる?名前が分かったところで食えるかどうかは別だが。

アイテム袋に手を突っ込む。




水袋×10

携帯食料×50

一般的な剣×5

一般的な盾×5

一般的な杖×5

一般的な片手斧×5

一般的なつるはし×5

一般的な弓×5

木の矢×200

肌着×9

ズボン×4

下着×4

野営セット×2

手鏡×2

ゴブリンの魔石×1

ゴブリンの爪×1

ゴブリンの牙×1

ディーゴの実×1



水は食事で使ったが川で補充したので10のまま、着替えは今着てるから減ってる。

野営セットと手鏡は出しっぱなしだったな...片づけないと...ついつい忘れちゃう。

それにあれはまんまゴブリンだったか。魔石に爪と牙ねぇ。



ファンタジーといえば冒険者ギルド、そういうところで買い取られるか討伐の証明になるとかかな?

そして実。



「うん、名前だけみてもやっぱりわかんない」


なんかこう地球にいたころに読んでたそうゆう系のでは実際にある果物の名前に近かったりしてわかりやすかったのに。そんなご都合はなかったな......

つまりドロップ品のお肉もそのまま落ちるのかな...やだな...



そんなことを一人でやってると、少し遠くで物音がする。


「ん? またゴブリンか?」


ゴブリンぐらいなら余裕だし、様子みにいってみるか?

それにレベルも上げてみたいしな...


「よし、いってみるか」


そういって音がしたほうへ向かってみる。



ふむ、やはりゴブリンか。しかもまた一匹だけ。なんでだろう? 何人かで動いたりそういう知能もないということか...?

草むらに隠れてゴブリンの姿を見つめる。ゴブリンはなにか腰の高さ程度の草に生えている小さな実を食べていてこちらからは後ろ姿がみえる。


「一度切断の結界を試すか...?」


気持ち悪いのは見たくないが、一度ぐらいは試しておかないとな。

現在のMPを確認しとこう。



MP 48/50



さっき結構つかったが、ほぼ満タンまで回復してるな。よほどじゃなければあんまり気にしなくても平気か?



まずは足元を狙って動けないように、両足を同時に拘束できるように大き目につくるか。

ゴブリンに手をかざし念じる。



『起』



「グギャギャ?!」


突然両足が動かなくなりゴブリンが驚きあたりを見回している。


「死に顔なんて見たくないし後ろからやるか」


ゴブリンの首と胴体を遮るように薄い切断する結界をイメージする。

右手を前にだし念じる。



『起』



「ガッ---?!」

ゴブリンが首から血をだし、光になって消えていく。



うげ、きもちわるいなやっぱり。しかもゴブリンって血が青いのか。知りたくもないことを知ってしまった...



『消』



結界を消し、追加がこないか気を付けながらあたりを見回す。


「ふぅ、そこそこ騒いでたはずだが近くにはなにもいないようだな」


ん?なにか違和感を感じる。


「なんだ? うーん」


なにかこう気分が高揚するというか。むずがゆい力が漲るような。


「レベルアップか?」




名前:ケイ   15歳


LV 1→2


HP30/30→HP32/32 MP45/50→MP54/54


体:15→16

力:8→9

魔:20→24

守:5→6

速:10→12



スキル 言語理解 結界術Lv1



ふむ、初めて見たときも、おもっていたが。


「俺って貧弱じゃね?」


確実に後衛ステータスだ。

比較対象がいないからわからないが、確実に力が弱いのはわかる。

あとレベルアップすればMPは全回復するのか。



それにしてもゴブリン2匹で1レベルアップか。こんなに上がりやすいなら少しレベル上げしたほうがよさそうか?

そもそも今、力が9だがこれ20とかになったらどうなるんだ?

単純に今の力の倍。

むきむき?それとも細腕で力が強い系?


「読んでた本じゃそこまでの描写がなかったしなー」


ドアノブとか握りつぶしちゃうんだろうか?

気になる。



俺って後衛よりのステータスなんだよね~ドアノブばきぃ



「いかん、思考が全然関係ないこと考えていた。今日はもう家に帰るか...」


きっとそのへんはご都合が起きるだろう。未来の俺にまかせよう。

日が少し落ちてきた森は暗く危ない感じがするな。

さっさと帰ろ。






◇  ◇  ◇  ◇






なんとか家がある広場まで戻ってきた。出かける前と変わらず何も起きてはいないようだ。

魔物が実はいたりとかしないよな?


「野営セット忘れないうちに片づけとこう」


出しっぱなしだった野営セットをアイテム袋に入れてっと。

干しっぱなしだった洗濯物もさすがに乾いてるだろう。取り込んでおこう。

気づけばもう日が完全に落ちていた。



家の中へ入り遅くならないうちに食事の用意をする。


「食事に変化がほしいな」


昨日から続く同じメニューか...

お肉にパン、悪くはないんだけど。この先も続くとなるとな。しばらくは大丈夫だろうけどもうこの先変化がほしくなるから早いうちに用意はしておきたい。

ランタン型の魔道具の明かりをつけ、食事をする。


明日はもう少し遠出をして散歩できる範囲を広げよう。


冷蔵庫のお肉もまだ30キロぐらいあるし。パンもまだまだある。



「明日はどんなことが起きるだろう?」

地球にいたころは変化もなく退屈な日々だったが異世界では毎日が新鮮で楽しい。

胸が高鳴っているが、目を閉じて寝る。






その日はゴブリンの青い血が滴る肉塊が、ドロップする夢を見た。









名前:ケイ   15歳

LV 2

HP32/32 MP54/54

体:16

力:9

魔:22

守:6

速:12



スキル 言語理解 結界術Lv1




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る