旅支度
出発までは四日。
すぐにでも行動していろいろ準備したいが、今は机に向かって書き物をしている。
まずは背負えるザックを買わないと。目的地の気温がわからないけど、夜も過ごすから温かい服もいる。タオルは体を拭く用と、寒い時に体に巻くように多めに持っていけば服を減らせるだろうか、それは洗濯できるだろうか。何日分だろう…
野宿もするのかな。水と食料も持ち歩かないといけない、そうしたら食器類も必要だ。何日分だろう。途中で買い足したりできるのだろうか。
外のゴツゴツした地面で寝るためには布団はどうしたら。
薬草を持って行って売れば路銀の足しになるのだろうか…。
疑問ばかりが浮かんで、持っていく荷物を決められない。
自分が一日背負って歩ける量もわからない。
必要なものを考えては、紙に書き込んだり消したりしながら、もう半日近く経過している。
うんうんうなっていると、母さんが声をかけてくれた。先ににザックだけでもと、街に買い出しにいくことになった。
街に降りると、仕事終わりの父さんと合流して一緒に仕立て屋へ連れて行ってもらった。
母さんが選んでくれたのは外套と靴。
父さんはナイフとザックを選んでくれた。
外套は大きめで、頭からすっぽり被れて
靴はつま先に鉄板が入っていた。丈夫で荷物を足に落としても大丈夫だ。
母さんと父さんが若い時に考えたもので『蹴られると痛い』『蹴った方は痛くない』を目的に作られた、守衛団でも採用されている一品だ。
ナイフは肘より少し短いくらいで、ベルトからぶら下げて装着できるようになっている。青く光る殺傷能力のありそうな両刃は少し怖いけど、必要なものだし、なによりすごくかっこいい。
ザックと合わせて全部装備すると一気に『旅の装い』になった。お金はこの間預かった分からでははなく、二人から別に支払ってくれた。
家に帰り、早速ザックに手持ちのものを詰めてみた。
タオル3枚
靴下2足
下着1セット
薄手の上着1枚
防寒用の上着一枚
水筒
浅めのスープ皿とカトラリー
ソーイングセット
メモ用紙に紙の束
筆記用具
これで十分なのだろうか、不安だったので爺ちゃんに相談しに行くことにした。
爺ちゃんは薬草の倉庫で書き物をしていたけど、僕が買った装備一式を見せると嬉しそうに目を細めてくれた。
いろいろ相談して荷物に紐とカンテラと燃料を追加した。
「野宿はするの?」
「爺ちゃんは、なるべくしたくないな」
「旅って、狩りをして焚火を囲んで夜を明かすのかと思ってた」
「外で料理をするなら鉄板や鍋がいるだろう。そんな重い物を背負えるか?それを毎日持ち運ぶんだぞ」
「それは無理な気がする…どうするの?」
「お湯で戻すだけの、干した肉や野菜の携帯食を買っていこう、それに野宿はなるべく無しの方向だ」
お湯だけは沸かせるように金属製のコップも荷物に追加した。
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