サニー

 次の日、イーサは少し様子がおかしかった。

 薬草を無駄にもみもみしたり、ぼーっと上を見て唸ったりしていた。


「どうしたの?大丈夫?」

 と聞くと少し考えたあと

「街で買い忘れたものはないか?欲しかったものとかでも」

 と小声で聞いてきた。

「シュワシュワ!!シュワシュワ飲みたい」

「そうか、欲しかったものがあったのか、しょうがないなリンは」

 と今度は声を大きくして言った。

「リンが欲しいものあるって言うし、俺も少し用事があるから街に行ってくるな」

 いそいそと支度を始めた。

 ミスティはなにか心配そうな複雑そうな顔をしてるけど、私はあのシュワシュワしたお水をまた飲めるのが楽しみだ。


 足早に山を下ると薬屋に行く。

 探してる昨日の人、サニーはすぐ見つかった。

「時間あるか?」

 イーサが聞くと、うなずいて昨日と同じお店に行くことになった。

 シュワシュワ水が運ばれてくると二人は昨日と違う雰囲気で話し始めた。


「それで、どうして俺たちを探していたのか聞いて良いか?」

「俺、なにも知らなくて、二人とも急にいなくなって吃驚したし、心配だったんだ」

「…黙って出て行ってすまなかった」

「理由を聞きにきたわけじゃないんだ。ただ会いたかったんだ。二人とも元気そうで良かったよ」

「俺はミスティの様子がおかしいことに気づかなかったんだ。付きまとわれていたのも知らず、あいつは良く声をかけてくれるミスティの友達だと思ってた。ミスティの様子に気づいて、時間が無いような気がして、お前に相談しても迷惑がかかるってことにして、早く町を出ることだけ考えたんだ」

 サニーは聞きながら「うん」と言って鼻をすすった。


「でも、もしかしたらミスティを迎えに来てくれたかと思ったんだけどミスティはそんな仲じゃないと言うから、疑心暗鬼になって話を聞きに来たんだ。疑って悪かった」

「そうだけど…そうじゃなくて、ちょと…」

 サニーは顔を赤くして、いろいろ言ってたけど、私はシュワシュワが美味しいくてあまり聞いていなかった。

 その後二人は薬草のことや薬屋の師匠のこと、元いた町の人達の話を長く話していた。


「俺達は元の町には戻らないし、ミスティも落ち着いた。リンもいてくれるし大丈夫だ。今度は遊びに来てくれ」

 と言って別れた。


 ふと帰り道に思うところあって聞いてみた。

「ミスティも夜は悲しくて怖いの?」

「夜はみんな怖いよな。ミスティも怖い時もあるかもしれないから、助けてやってくれ」

「うん」

 ミスティとイーサが悲しい夜は一緒に寝てあげようと思った。


 帰り道は昨日より明るかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る